英語快読100万語 (15)-ダイアナは成績が悪かった

オックスフォードのファクト・ファイル・シリーズは言ってみれば東大学出版会みたいなところが出してる「テキスト」な訳ですが、こういうものの中で、「ダイアナは学校に通ってるころは成績が悪かった」というようなことを平気で書く…。私はイギリスのこういうお国柄がけっこう好き。

何故そういうことが平気で書けるかと言えば「成績は悪かったけれど、ダンスが好きだった」とか「小さい子の面倒見るのが好きだった」とか、ダイアナの別の資質をきちんと認めているからだったりもするのだと思うし、「お勉強ができる」だけが人間の価値じゃないってことが、きちんと了解されているからだったりするのかもしれません。

日本において、同様なことが書けるでしょうか。皇室の方々のすべてがお勉強が出来る訳じゃないってことは、クチコミでかなり津々浦々まで伝わっております。これはこれですごい恐いことのようにも思うけど、そんなみんな知ってることなのに、「○○宮はお勉強はあまり得意ではないようですが、お心の優しい方で××がとてもお上手です」でもいいぢゃん!と思う。

王室報道に関しては、近年「やりすぎ」の感もあり、批判精神はありつつも節度あるかつてのイギリスのジャーナリズムはどうした!と思ったりもするのだけれど、でも、これ、ダイアナっていう特別にニュース・バリューのある人物が王室に嫁入りしたというのも大きかったのかも…。

54.2月21日(土):Diana, Princess of Wales (OFF1):400語:3200語:565332語: ☆☆☆☆:
同じことの繰り返しが何度も出てきて文章はちょっと冗長で垢抜けない感じですが、カミラのことなんかにもきっちり触れてるし(まぁ、イギリス王室の場合、もうこれは公然の秘密ではなく、公然の事実だけれど)、なかなか上手にまとめてあるなぁって思いました。

55.2月21日(土):England (OFF1):400語:3200語:568532語:☆☆☆:
なかなか良質なイングランド案内。短い割に突っ込むべき所はさりげなく深く書かれていたりする。私は何度もイギリスに行ってる割には、「旅行」というものをしていないので、今の仕事が一段落ついたら是非ゆっくり観光してみたいと思ってます。その際にはこの本も参考にするつもり。

56.2月22日(日):Lady in White (CER4):1900語:19000語:587532語:☆☆☆☆ :
ジャンルが「ゴースト・ストーリー」だから文句言ってはいけないのかもしれないけれど、読み終わった時に「で、結局真相は?」っていう不完全燃焼感があります。が、およそ「趣味の読書」というものは「途中」楽しければそれで良し!という性質のものなのかもしれません。途中は思いきりドキドキできます。

57.2月22日(日):Scotland (OFF1):400語:3200語:590732語:☆☆☆:
夫が3月から長期海外出張で9ヶ月スコットランドに滞在します。なので、夏休みにスコットランドに行く予定です。スコットランドはエジンバラとグラスゴーをちょっとだけ観光しただけですが、ハイランド地方とか島々とかにも行ってみたいなぁ。ベン・ネベスにも登ってみたいかも…・。

英語快読100万語 (14)-レッド対ブルー

(13)でも書いたように、古い時代の文学を読むときにはその時代背景が分かってないと理解できない…というのはあるのだけれど、現代物の時も同じですよね。50にあげた文献はマンチェスター・ユナイテッドの歴史やら現在やらを説明した本なんですが、中にマンガも含まれていて、その題名も「レッド対ブルー」。

この本、初版が2001年になってるから、2000年公開のThere’s Only One Jimmy Grimble(日本では「リトル・ストライカー」というタイトルでDVDが出てるらしい)のパクリかい?っていうマンガだったりはします。その後の展開や結末は全く違うけど。この映画はどうやら日本では公開されてないみたいですが、私はイギリス出張中に見ました。ロバート・カーライルがサッカー・コーチ役として出ています。この映画なんで日本で公開されなかったかというと、多分、まさに「背景」が分からないとよく分からない映画だからかなぁ?

つまり、マンチェスターという町には、マンチェスター・ユナイテッド(レッド)の他に、日本じゃあんまり有名じゃないけれど、マンチェスター・シティ(ブルー)っていう有名なクラブがあるんです。ユナイテッドの試合がある日はマンチェスターの町に赤のユナイテッドのユニフォームを着たサポーターがぞろぞろいるし、シティの試合のある日は青いシティのユニフォームを着たサポーターがぞろぞろいるし、ユナイテッド対シティの試合のある日は、自分がどっちのサポーターを「カムアウト」しながら町を闊歩するのはかなり危険でもあるが、そうやって「思想信条」のために危険をかえりみずサポーターの使命をまっとうするのもまた「立派」な行為だったりはする訳です。

「リトル・ストライカー」の男の子も、ユナイテッド・ファンの子たちにどんなにいじめられても、ブルーのユニフォームは捨てない。「思想信条」のために、身を張るのが正しいサポーターのあり方だったりはするのです。

実はシティの方が歴史的には「名門」らしいし、地元には根づいているのですが、最近はこのクラブ、浮き沈みが激しく、プレミア・リーグから出たり入ったり、一番ひどいときはセカンド・ディヴィジョンまで落ちたりもしてるんですが、この浮き沈みが激しくはらはらさせるところもシティの魅力だったりはします。

で、このマンガの中では、シティ・ファンの一家の娘が向かいに越してきた家のユナイテッド・ファンの同級生と一緒にユナイテッドの試合を見に行って帰宅すると、父親がそれを叱るんですね。で、「たかがサッカーじゃない」という母親に、「サッカーは単なる楽しみじゃない。重要なことなんだ。サッカーは人生そのものなんだ」みたいに言うところがあるのね。

イギリス人にとって、サッカーって「宗教」みたいなところがあって、たとえばカソリックとプロテスタントが人殺しもいとわずに闘い続けているように(>北アイルランド問題)、どこのサポーターかってのは、その人の生活にとってかなり大切なことだったりする。ユナイテッドのサポーターの人にうっかりシティのサポーターだと言うとあまりよろしくないし、その逆もまた真なり。

私の知り合いはマンチェスターに住んでいる時、シティの雑誌(各クラブはサポーターのための雑誌を発行している)をリビングのテーブルの上に置いておいたら、何かの修理に来た電気屋さんが、それを見て、それまで愛想良かったのに、とたんにとたんに無口になったんだって。で、ピンときた彼は、「いや~、これはたまたまユナイテッドのチケットが手に入らなかったからシティのを見にいったんだよ。一度はサッカーを見てみたいと思って。本当はユナイテッドのファンなんだ。ユナイテッドの試合を見てみたいなぁ」と言ったらとたんに機嫌がよくなった…というようなことがあったそうです。

このマンガによって、そういうイギリスの「文化」を学ぶことも出来るし、そういう「文化」を知っていると、このマンガをより深く、リアルに味わえたりする…。

英語を学ぶことは、まさにイギリスの文化(やアメリカの文化)を学ぶことだし、英語の単語を日本語に置き換えて、文法的には「正しい」訳が作れても、それが何を「意味」するかは、イギリスの文化が分かってないと分からない…。言葉を学ぶことで文化を学び、文化を学ぶことで言葉の理解が深まる…。そういう風に、「文化と言葉」の間を往復しながらやっていくのが語学の勉強というものなんでしょうね。

50.2月15日(月):Manchester United(PG3):1200語:7300語:543032語:☆☆☆:
ペンギンのシリーズは、何となく「掘り下げ」が浅い感じで、また、一つの一貫した視点で書かれておらず、その点が私的にはちょっと物足りなかったりするのだけれど、小刻みに話が変わったり、マンガが挿入されてたりする点が「気分が変わっていい」という人もいるのだと思います。ま、「好み」の問題ですね。私は、ユナイテッドのファンという訳ではないのだが(ベッカムのファンであったりはするが。あ、でもベッカムは移籍しちゃったわね)、オールド・トラフォードのユナイテッドのスタジアムや博物館にも行ってて(試合は生で見たことはない。ユナイテッドの試合のチケット入手は超困難)、バックステージ(?)ツアーも体験してるので(選手控え室で「ベッカムはいつもこの辺りに座る」というところに座ってきたりもしてる)、かなり臨場感を持って読んだりはしました。

51.2月16日(火):Forty Years of Pop(OFF2):700語:3600語:546332語: ☆☆☆☆:
「お勉強物」でも、なんか私ペンギンのものよりオックスフォードの物が好きだなぁ。これ、「好み」の問題だから、ペンギンが好きな人には申し訳ないけれど。最後に「こういうの読むのもいいけど、それより今からコンサートに出かけたり、CDかけて、実際のポップ・ミュージックを聞いたら?」みたいにあって、こういうとこが私、イギリス臭くて好きかも…。

52.2月19日(木):Christmas in Prague(OBW1):400語:4800語:551132語: ☆☆☆☆:
去年の夏、『グッバイ・レーニン』という映画を見ました。日本ではもう公開になったのかな? 東欧に生きた人々のドラマというのは、それはそれは深い傷跡を人々の人生や心に残していたりはする。もちろん、日本に生きていたって人生はそんなに甘くはなかったりはするのだが。私が定宿にしているB&Bのナイト・ポーターは5歳の頃ハンガリーからイギリスに逃げてきた人です。この夏初めて聞かせてもらった彼の波乱万丈な人生の話と重ね合わせてこの話を読むならば、これはとてもリアルな話でもあります。

53.2月20日(金):Chemical Secret (OBW1):1000語:11000語:562132語:
☆☆☆☆:オックスフォードのGRで私が好きなのは、最初のキャプション。これがなかなか「深い」んですよねぇ。犯罪には二種類の関わり方があって、「目を開けて」関わることもあれば「目をつぶって」関わることもある。「見て見ないふり」して次世代に「つけ」を先送りしてしまうというようなタイプの犯罪(環境問題なんかね)もある。なるほど…。「見てみないふり」…これは私も色々な場面で日常的にしている。これが積み重なると社会全体がダメになって行くんですよね、いずれ…。

英語快読100万語 (13)-ディープ・ボイス&50万語突破!

超久々に英会話のレッスンに行きました。私は近くの英会話学校で超細々と個人レッスンを取ってます。個人レッスンは融通がきくのがいいけど、仕事やプライベートが忙しくなってくるとついつい足が遠のいてしまいます。

で、酒井先生は辞書を引いちゃいけないとおっしゃるが、ネイティブに聞くのもいけないのかな? GRを読んでいて、どうも「よ~分からん!」ということがいくつかあって、とりあえず、せっかくレッスンに行くので「質問」してみることにしました。

一つは、「ディープ・ボイス」とはどんな声か? 高い声じゃないことは分かる。単に低い声? 太い声? どすのきいた声?

先生に聞くと、「こんな声」とやってみてくれて、「ベッカムみたいなのの反対の声」と説明してくれました。ふむふむ。

こういう、音で聞いたり、目で見たりしないと分からないものってそもそも辞書を引いたところでよく分からないですよね。「オリーブ・スキン」なんてのも、ちょっと分かりにくい。

英会話学校に行くことの良さは、そんな時、「デイビットみたいな声」とか「リンダみたいな肌の色」って、そこのスタッフを例に説明してもらえることかな?

もう一つは、(10)でも書いたので話がだぶりますけど、ギャスケル夫人のCranfordに出てきた、ポッシュなご婦人たちのソサエティの話で「見えない」部分があったのですよね。

一応彼女たちは「アイドル・ウーマン」(働かなくても暮らして行けるいいとこのお嬢様や奥様)であるという点で結ばれてるんだけど、そのグループ内にも貧富の差があって、でも、比較的お金のない婦人の家に招かれたりした時には、その家があまり裕福でないことに気づかないフリをする、というエピソードの一つとして出て来た、 ある家にお茶に呼ばれて、メイドがティー・カップとポットをソファーの下から取り出したけど「全く気づかないフリしておしゃべり続けた」…という場面。これのどこが貧乏を象徴しているの?

まぁ、英会話の先生はイギリス史の専門家でも英文学の専門家でもない人だったので、「う~ん、分からないけど、考えられる理由としては、食器棚を買えなくてソファーの下に食器をしまってたってことかなぁ?」と言ってました。う~む。これは英文科を出た友人にいずれ聞いてみよう。「ソファの下に食器をしまう」ってのが、あまりお金のない家庭で頻繁になされていたことなのかどうか…。ある「行為」「動作」が何を象徴することなのか、が分からないと、「意味わからん」ということになっちゃいますよね。

そして、同じく、相対的に「貧しい」ことの例として、その家の女主人が実は午前中かかってやいたお菓子をメイドが出してきた時、女主人は「一体なんのお菓子かしらん?」と何が出てくるか知らないふりをし、みんなは、実は女主人が手づからそのお菓子を焼いたことは知っているが、そんなことは全く気づかないフリをした…というもの。

たしかに、「家事が出来る女」というのはいやしい身分の出身であることの象徴という時代があり、この時代もそうであったのは事実でしょう。いいとこの奥様は家事をするのではなく、家事の采配を振るうのが仕事でした。でもさ、メイドの「管理」するのが仕事だと考えれば、何のお菓子が出てくるか知らないってまずくないのかな?
あるいは、「女中頭」を雇えるくらい裕福なら、そういうのはいちいち指図しなくてもいいってこと?

これも、その英会話の先生は、「う~ん、よく分からないなぁ。どっかから買ってきた、という方がお金持ちっぽいのかな?」とのことだったので、これも英文科を出た友人に聞いてみることにいたします。

結局、「英語を読む」というのは、「文化を読む」ということであったりするのですね。「ソファーの下から食器を出して」というメイドの動作が「正確」読めて、ちゃんとどういう動作か頭の中で想像できたとして、「で、だから?」「それってどういうこと?」ってなった時、その「意味」するところは、時代背景が分からなければ分からない。

以前、同僚から言われたように、昔の文学を英語で読もうとするとたとえ大衆文学であっても(いや、大衆文学であればなおのこと?)、読みにくいのは、そんなところに理由があるということなのでしょうね。

あ、そうそう、ようやく50万語を越えました。折り返し地点です。

46 2月8日(日):Staying Together (CER4):1900語: 18000語:507332語: ☆☆☆☆:
結婚を前にイギリスに短期語学留学した日本人女性が主人公。ケンブリッジのシリーズはストーリーの前に舞台となる地域の地図があって、私はこれ、気に入ってるんですが、この本の日本地図は、何と!!!! 本州と四国、本州と四国がつながっていて、日本のメインアイランズは北海道+本州(四国・九州つき)の2つになってるぞ~! 日本のメインアイランズは4つじゃなかったんかい~! こんなことでいいのか! 世界のケンブリッジ!

47.2月11日(水):How I Met Myself(CRR3):1300語:14000語:521332語: ☆☆☆☆:
本の背表紙に「ゴースト・ストーリー」と表示があったんですが、それを読まずに読み始めたため、雪のブタペストでビルから出て来た男にぶつかってころんだ主人公がその男の顔を見るとそれは自分自身であった…・っていうドラマティックな冒頭を読んだ時、「まさかさぁ、双子の弟がいたとか言わないよね」とか思ってしまったりもして、その後も話の展開がどっちの方向に行くのか全然見えず、しかし、そのために、「一体どっちの方向に行くんぢゃい!」とハラハラしながら読めて面白かったかも…。ヨーロッパは狭い地域に色々な民族や言語がごちゃごちゃと混在してるし、第二次世界大戦の時も敵味方入り乱れての闘いだったから、その傷跡も未だに残ってたりするし、人の移動も激しいから、小説の舞台には事欠かないなぁ…と思いました。戦争の傷跡を今も生きている人には「ふざけんな!」と言われそうだけど。

48.2月12日(水):White Death(OBW1):400語:7100語:528432語:☆☆☆☆:
身に覚えのない麻薬が荷物に入っていた!!!! これ、外国で起こると、まじで死刑になることあるから恐いですよね~。身に覚えがあるならまだしも…。中国から日本に麻薬持ち出そうとした男性が執行猶予なしの死刑判決になりましたよね。この男性は身に覚えがあるんでしょうが。この本読んだ直後に判決が出たので、この主人公が置かれた状況ってほんとリアルなのね~と改めて思ったりしました。

49.2月12日(水):White Death(OBW1):400語:7300語:535732語:☆☆☆:
犯人あてクイズな本だったりします。登場人物がごちゃごちゃしてて登場人物の描写がいま一つうまく出来てないので、分かりにくい。犯人あての「ヒント」も単純だし。でもって、そもそもこの犯罪は成立するのか? 気づかれないように睡眠薬を与えて眠らせて殺す程度に睡眠薬を与えることは出来ても、殺すほどの睡眠薬を本人に気づかれないように与えるっつうのは無理なんじゃないでしょうか。