英語快読400万語 (14)-児童文学の難しさ&息子の薦める本

たまたま、Qと「メアリー・ポピンズ」のDVDを見る機会があったので、原作を読んでみるかなぁ・・という気になった。子どもの頃、何度も読み返した本なので、きっと楽に読めるかな?と思ったのだけれど、案外苦戦。

ジャクリーヌ・ウィルソンのものなどに比べて、「英語自体の難易度」では計れない難しさがあるっていうか。児童文学においてもリアリズム系は(>ジャクリーヌ・ウィルソンは超リアリズムと呼ばれるのかな?)、英語がよく分からなくてもなんとなく筋が想像出来るっていうか、「パンダ読み」がしやすい。

「両親が今日も言い争っている。Aは悲しかった。涙が流れた。」の続きが「なぜ愛し合って結婚したはずの2人は永遠に愛し合い続けられないのだろう、と彼女は思った。」とか、「私は大人になっても絶対に結婚なんかしないわ!と彼女は思った。」とか言うのだったら、「話の流れ」として多少分からない部分があっても先に行ける。

でも、この続きが、「すると、その涙の一粒一粒が突然キラキラと光りだした。そして、部屋がぐるりと揺れたかと思うと、またたくまに彼女はダイヤモンドのようにきらめく光の粒の中にいた。」とか、あるいは、「するとその涙が気味の悪いベタベタした緑色の物体に変化した。彼女の目の色は一瞬うつろになったかと思うと、次に金色に輝きだした。その宇宙から来た生物は人間の涙を媒介に人の身体に侵入して行くのだった」というようにつながっていくと、かなり英語自体が分かってないと「話の筋」が読めない・・・というか。

しかも、そういう風に話が流れて行く時って、外国語として英語を学習した者には「なじみのない」単語が多く出てくる気がするのよね。

多分、そんな訳で、子どもの頃夢中になって読んだメアリー・ポピンズだったのに、今ひとつ???でした。で、なんとなく消化不良な感じが残ったので、久々に日本語の翻訳を読んで、また原作を読んでみようかな、と思っています。

ちなみに、映画では、バンクス夫人はサフラジェット(>イギリスの女性参政権運動の中の過激派。投石などの暴力も辞さない。また、ハンガーストライキもやる)の活動で忙しい、という設定でしたが、原作の方はそうはなってなかったです。

映画と原作はかなり違うのね。

ところで、「親子で多読」の方は、超ゆっくりペースなのだが、Qは最近、英語の古くて渋い歌(>ビートルズとかPPMとか)にはまっていて、歌詞カードを見ては覚えたりしている。まぁ、これも多読であろう。

先日一緒に本屋に行って、それぞれ「読みたい物」を買った。

QはOBW1のThe Wizard of Ozを買った。私、OBW1は8割方読んでると思うが、これはなんとなく手を出さずにいたもの。で、Qが「面白かったよ」と言うので、借りて読んだ。

うーん、Qが自分で選び、一人で読み、私に薦め、それを私が読むっていう「新しいパタン」が生まれたというのもうれしいことだ。

63. 2005年12月27日:Mary Poppins: 児童書: 48000語:☆☆☆☆(+):久しぶりに息子とディズニーの「メアリ・ポピンズ」を見た。「サウンド・オブ・ミュージック」を見て、ジュリー・アンドリュースって歌うまいねぇ、ということになり、こっちも見ることにしたのだ。これは2人でイギリス暮らしをしてた頃、字幕なしのもので、2人でよくみていた。当時のQは、多分ほぼ理解してたんだと思う。私は、筋は終えても細かいところはキャッチすることは出来ていなかったけど。原作の方は、なかなかに手ごわかった。ジャクリーヌ・ウィルソンみたいに「リアリズム」の作家の方が使う言葉、表現が「日常目にする」ものが多くなるのかな? 

64. 2006年1月2日:The Prince and the pauper : PG2: 9400語:☆☆☆:マーク・トェインって一体!!! この話、子どもの頃に読んだ時には、これが、「トム・ソーヤ」の作者によるものだということも知らなかったけど、まさか、実在の王子を主人公にしちゃった話だなんてことは、さらに全く知りませんでした。ひゃー、驚いた! 主人公はヘンリー8世の息子エドワードなんだって。後にエリザベスI世になる、エリザベスも「親切なお姉さん」っていう設定で出て来てます。いいのかぁ! そんな他所の国の王室の実在の人物を使って小説書いちゃって!! 
これって、日本に置き換えて考えるなら、中国人やら韓国人やらが勝手に、「桓武天皇と乞食」みたいな話を書いて、登場人物も実在の歴史的人物のオンパレードっていう設定になってるっていう訳で、なんかなーって感じです。

65. 2006年1月8日:The Princess Diaries : MMR3: 15000語:☆☆☆☆(+):イギリスの本屋でもよく見かけるので、人気シリーズらしいっていうのは知っていた。GRになってたのでふと手に取ってみた。CDが無理やりくっついてたので、どうしようかなぁと思ったが、音声教材と一緒に聞いてみるのもたまには良いかも・・・と、高めだったが買ってみた。音声を聞きながらと思ったけれど、少し聞いた時点で、先が気になり、まずは読んでしまった。

66. 2006年1月10日:The Lady in the Lake : PGR2: 7100語:☆☆☆(+):チャンドラーの作品。いきなりPBは大変だから、GRで好みかどうかのあたりをつけて、気に入ったものをPBで読むのもいいかも。

66. 2006年1月10日:The Princess Diaries 2 : MMR3: 15000語:☆☆☆☆(+):プリンセス・ダイヤリーズの第二弾。ミアの母親が妊娠して、ミアは長年の夢だったお姉さんになることに・・・。

68. 2006年1月15日:The Wizard of Oz : OBW1:5900語:☆☆☆☆:むかーし、TVで古い映画を見たことがあったような気がするけど、断片的にしか話を覚えていなかった。こういうお話だったのね。上にも書いたけれど、これは、Qが先に1人で読みました。ついにQの読んだ本を後から私が読む、ということも起こるようになったのね、と感慨深いです。

英語快読400万語 (13)-多読で学ぶ国際事情

長らく「積読」だったBride Price(OBW5)を、ふと、手にしてみました。読み始めたら一気に読んでしまいました。

ナイジェリアが舞台の小説です。第二次世界大戦後まもない、ナイジェリアにおいて、)女性の置かれていた厳しい状況を初めて知りました。イギリスの植民地支配の「痕跡」が文化的な面で深く残っていることも知りました。

すぐお隣の韓国のことも良く知らないけれど(>韓流ドラマはけっこう見るんだけど)、アフリカとなると、さらに知らない。「白地図に国名を埋めなさい」と言われたら、ほぼお手上げ状態。(>私はそれでなくても地理がとても苦手)

それぞれの国の特徴や事情となったら、もう、それこそ、全くの無知!です。

この本を読み終わって、同じく長らく「積読」だった、Burned Aliveも読んでみようかな?という気になり、こちらも、読み始めたら一気に読んでしまいました。こちらは、第二次世界大戦後のヨルダン川西岸のお話で、ノン・フィクション。

女性たちは、胸が苦しくなるような閉塞された状況にあります。男たちは女(>妻・娘)に暴力をふるい放題。「女を殴ってなにがそんなに楽しいんだろう」と思うけれど、それが「当たり前」の社会。

女性の地位や権利が認められないパレスチナの農村で、主人公はコミュニティの「掟」を破ったために、「生きたまま焼かれる」のです。「名誉殺人」ってやつです。

たまたま、彼女は病院に運ばれ、スイス人の国際NGOの人に助けられて、ヨーロッパで新しい生活を始めます。しかし、家族や親戚が殺しに来るかもしれないので、アイデンティティはぼかして書いてあります。

すさまじく閉塞された社会が、まだまだこの地球上に残っているんですね。アルカイダ支配下のアフガニスタンを舞台にした子ども向け小説を読みましたが、その中でも女性や少女がひどい目に合っている様子が生々しく書かれていました。

教育を受けることも出来、自由にモノが言える・・・それだけでも、本当に恵まれています。バレエを習ったり、多読を楽しんだり・・・本当に幸せなことです。

でも、「世の中には大変な目に遭ってる女性がいっぱいいるのね。私はそうでなくて良かった」と「他人事」にしてしまうのは、きっととてもいけないことなんだと思います。

自分に何が出来るのか???と思うと、よく分からないんだけれど、とりあえずはそういうことがあるんだということを「知ること」も大事なことだし、そういうことを「知ってる人」が増えることも、なにがしかの「力」にはなると信じて、多読の中に、こういう社会派のものも入れて行こうと思っています。

ここまでの総語数は、827496語。

56.2005年11月20日:Bride Price:OBW5:20000語:☆☆☆☆☆:イギリスの植民地であったナイジェリアでは、白人の習慣と現地の習慣が混在しいていたみたい。その辺りの事情も興味深かった。娘が結婚する時、父親は「金」をもらえる。これはインドなどの「ダウリー」みたいに娘の側が「金」をつけて結婚させる、というのと違っている。その点もまた興味深い。ナイジェリアにおいては恋愛などはご法度。また、そうではあるが、略奪婚のような風習も残っていたりする。ナイジェリアの黒人の間に元自由人、元奴隷の家系という差別構造も残っており、そういう事情を知ったのも初めてであった。いろいろな国にいろいろな事情があるんだなぁと思った。

57.2005年11月27日:Burned Alive :PB:61000語:☆☆☆☆☆:私、何人かパレスチナ人を知っているけれど、みんな頭が良くてスマートな感じなので、最初、パレスチナ人の集落でこのようなことが起こっていたっていうのがとても信じられなかった。留学中、よく一緒に子どもを遊ばせながらおしゃべりしたパレスチナ人女性は、美しく、聡明で、洗練された女性だった。彼女は、遅れた農村部の公衆衛生の向上という使命に燃えていたけれど、それって、こういう実情があったんだろうか。くしくも、ヨルダン川西岸から来た女性で、イスラエルの占領下にあるためになかなか自由に電話もひかせてもらえないこと、手紙を検閲されることなどを私は彼女に聞かされて知った。彼女の娘もとても強く賢い子だった(>まだ2歳半くらいだったけど)。彼女はきっとパレスチナの指導者になるよ、なんて、私はよく言ったものだった。農村部の、こんなすごい実情は何も知らずに。当時、多読をやって、この本を読んでいたらなぁ。彼女ともっといろいろなこと話せたろうに。

58.2005年12月6日:ORT5(18) ORT5:50080語:☆☆☆☆:Qと一度読んだというのもあるのかもしれないけど、LLLよりもスムーズに読める感じ。なんでかな?

59.2005年12月10日:ORT5(18) OBW4:108540語:☆☆☆:なんか今ひとつ分からない部分もあったんだけど、あとで書評を見たら、GRには珍しく俗語が多いとあり、グロサリーを見てから読むことが勧めてあった。再読してみようっと。

60.2005年12月10日:ORT4(17冊除The Play): ORT4:2561語:☆☆☆☆:ORTの中には日常良く使われる表現だけど、外国人として英語を勉強してきた者にはなじみの少ない表現がいっぱいある。そういうのにちょっとずつ慣れて行くと足腰が強い英語が身につく感じがする。

61.2005年12月10日:ORT6&7(9冊除The Treasure Chest): ORT4:6328語:☆☆☆☆:上に同じ。

62. 2005年12月10日:The Scarlet Letter: PG2: 8200語:☆☆☆(+):ちょっと訳あって、ビデオを見たのだけれど、OBWで読んだ話とずいぶんと違うなぁと思って、PGRのやつを読み返してみた。同じものを違うリトールド版で読むのというのはなかなか面白い。

英語快読400万語 (12)-LLLがダメならORTがあるさ!

LLLを「捨てた」ことは、案外、心理的に響いていたみたいで、なんとなーく挫折感があって多読が進まない状態が続いていた。「400万語はLLLで英語の足腰を強くするぞ!」って、かなり張り切ってスタートしたので。

ちょうどこの頃、ポリープが発見されてそれを取ったりして(>生活に制限が加わったのはたった2週間でどってことなかったのだが)、その組織検査の結果待ちだったり、どよよーんとした気分で過ごしていた、というのもあるだろう。そもそも「病院に行く」という行為自体がとっても疲れるし・・・。

組織検査の結果はシロではあったが、「放っておけばいずれガンに発展した可能性を含むタイプ」のポリープであったらしく、本当に幸運な命拾いをしたのであった。

そんなこんなで、なんとなく気持ちの晴れない日々を送っていたのだが、ある日、「LLLがダメなら、ORTを読めばいいぢゃん!」と思った。

ORTは「親子で多読」でQと一緒に読んでいる。でも、全巻は読んでない。(>買ってない)

幸い、職場にORTがあるので(>そもそも私が多読を始めたキッカケは職場の教育サーヴィスの一環として多読の導入が検討されていたからであった。私は直接の関係者ではないのだが)、その意味では、SSSの言う「恵まれた環境にある人」である。

読み始めてみると、やっぱり私はORT派なのかも・・・と思った。こっちの方が絵が可愛くて、絵に遊びがあって好きだし、Qと一緒に歩んで来た道をしみじみと振り返ってなつかしむことも出来る。あぁ、ここでQはこんなことを言ったなぁ・・・などと、思い出されて感慨深い。

ここまでの総語数、713545語。

49.2005年10月30日:ORT1(18冊):ORT1:126語:☆☆☆☆:やっぱり、私、ORTの方が好きかも。絵が可愛いしほのぼのしている。Qとは読まなかった本文が絵だけのものも含め18冊読破(?)。

50.2005年11月4日:Sally’s Phone:OBW0:1300語:☆☆☆☆:短いけれどなかなか楽しめる。これがストーリーとして成立するということはイギリスにもサリーみたいに「男の好みに合わせる」恋愛する女の人も多いってことなのかな?

51.2005年11月9日:Surprise:IRB3:1242語:☆☆:詩の本。詩って私には難しい。

52.2005年11月9日:George, the Drummer Boy :IRB3:1022語:☆☆☆:アメリカ独立戦争を、アメリカ駐在のイギリス兵の側から見たもの。IRC3には、このようにアメリカ史を複眼的に理解させようというものが数多く含まれている。最後のところに、同じ歴史を勝者・敗者の側から見て、一致することもあれば、異なることもある、というようなことが書かれている。アメリカ史でも、独立戦争は「アメリカ側」から描かれることが多いはず。そこをあえて、イギリス兵側から書いたところがとても教育的かも。ストーリーとしての質やディテールの描きこみはいまひとつだけど。

53.2005年11月13日:ORT1+(12冊):Stories&A:ORT1+: 510語:サクサクサク。

54.2005年11月15日:ORT2(18冊):Stories&A&B:ORT2: 1089語:サクサクサク。

55.2005年11月17日:ORT3(18冊):Stories&A&B:ORT1+: 1389語:サクサクサク。