英語快読500万語 (4)―どどーっと、ジャクリーヌ・ウィルソン

仕事の関係で久しぶりにイギリスに来たので、本屋に行った。改めて児童書の棚に行くと、ジャクリーヌ・ウィルソンがこちらでいかに人気があるか、よく分かる。

日本で買うより安いので、いっぱい買い込んで、仕事を終えて宿に帰ってから読んでいる。

15.2006年3月13日:Clean Break:児童書:67000語:☆☆☆☆☆:ジャクリーヌ・ウィルソンも少し飽きたかなーと思うんだけれど、読み始めるとついつい読んでしまう。主人公は母・義父・異父妹・弟と母方の祖母の家に住んでいた。実父は暴力男だったけれど、義父は義娘の彼女にもとっても優しい。しかし、幸せなクリスマスの晩、義父が他の女と恋愛関係にあることが判明。義父は家を出てしまう。離婚・再婚の多いイギリスでは、こんな風に「半分血がつながってる兄弟姉妹」ってのが普通なんだろうな。昔、The Sppiting Imageという、サッチャー首相やらエリザベス女王など実在の人物に「そっくり」な人形が登場する人気風刺番組があった。日本だったら即問題になりそうだけれど、そこはイギリスは「大人の国」。この”spiting image”という表現が出てきて、「あぁ、そういう意味だったのね!」とストンと分かった。

16.2006年3月19日:The Suitcase Kid:児童書:32000語:☆☆☆☆☆:両親が離婚することになった。両親のどちらと一緒に住むか?という話になるが主人公は選べない。結局、スーツケースをもって、両方の家を一週間ごとに行ったり来たりすることに。父親は新しいガールフレンドと、母親は新しいボーイフレンドと一緒に住んでいる。どっちも子持ち。血のつながらない兄弟姉妹と一緒にスペースを分け合って暮らさねばならない。どちらの家にも主人公の居場所はない。父親のガールフレンドは妊娠中で半分血のつながった弟か妹がもうじき生まれる。現在イギリスでは7割の結婚が離婚にいたるらしい。血のつながった両親との関係も、彼らの新しい伴侶との関係も、血がつながった兄弟姉妹との関係も血がつながらない兄弟姉妹との関係も、半分血がつながった兄弟姉妹との関係も複雑だ。

17.2006年3月21日:The Mum-Minder :児童書:9100語:☆☆☆☆☆:ミッドターム・ブレイク(イギリスの学校は学期半ばに1週間お休みが入ります。これって教師にとっても生徒にとっても良い制度だと思います)に、チャイルド・マインダーをやってる母親がインフルエンザでダウン。主人公は母親を助けようと張り切ります。母を思うやさしいしっかり者の女の子の話です。

英語快読500万語 (3)―メアリ・ヒギンズ・クラークの新作

メアリ・ヒギンズ・クラークのものは、1年に1度か2度イギリスに行く度に本屋で探しては買っていた。でも、日本でもちゃーんと書店に並ぶのね。前にも書いたけど、彼女の作品はハッピィ・エンドだっていうのが分かってるので、安心しながら(?)ドキドキできる。

最後、どうなるか見えないドキドキは、それはそれで楽しいのだが、疲れる。仕事の合間の「息抜き」の読書には、メアリ・ヒギンズ・クラークのものは、本当に手ごろ。

ここまでの総語数、194336語。

8.2006年2月23日: No Place Like Home :PB:110000語:☆☆☆☆☆:主人公は10歳の時に銃で母親を殺し、元継父にケガを負わせたということで裁判にかけられ、その後、名前を変え、親戚の養子となって暮らしていた。本当は、母親に暴力をふるおうとしている元継父から母親を助けるために銃をかまえていたのだが、元継父は彼女に向かって母親を投げつけて来て、銃が暴発したのだ。そして、自分に向かってくる元継父から身を守るために発砲したのだが、母親を殺してしまったショックから、裁判で自己主張することは出来ず、まわりは元継父の言い分を受け入れてしまった。その後主人公は成人し、一度結婚したが未亡人になる。夫は遺言で、彼女のアイデンティティを隠し通すように、と言う。息子を「殺人者の息子」にしたくなかったのだ。主人公は再婚して幸せに暮らしているが、再婚相手に自分のアイデンティティを隠したままであることにうしろめたさを感じていた。そんなある日、夫が彼女の誕生日プレゼントに、と言って、家をプレゼントする。インテリアデザイナーの彼女に「この家を好きなようにしていいよ」と。ところが、その家か彼女が育ち、母親を殺してしまった家だったのだ。その後、昔の事件との関係をにおわす形で次々と殺人事件が起こる。主人公は、どんどん追い詰められて行く。どうなるんだ!!!とはらはらどきどきしながら一気に読めます。

9.2006年2月25日: ORT6&7(6冊) :ORT6&7:4324語:☆☆☆☆:多分、イギリスの小学校での授業の内容とも関連してるんでしょうね。第二次世界大戦中の疎開の話などが取り上げられています。イギリスの小学校の歴史の授業が、いろいろなプロジェクトを子どもたちに課す形で行われていることが良く分かります。低学年の場合は、工作をしたりして、当時を実感させるんでしょうね。日本でこういう授業をするとしたら、どんな形になるんでしょうね。「じゃあ、今日は江戸城をみんなで作ってみましょう。日本の城は、お堀っていうのがあってね・・・」みたいになるんでしょうか。

10.2006年2月27日:Circle Games :CER2:7500語:☆☆☆☆:短編集。新刊で語数が分からないので、CER2の一番語数の少ない本よりさらにちょい少なめの7500語で計算しときます。同じ作者の短編集は他のレベルにもあるんだけれど、そっちの方が面白かったかも。使える語数の制限があると話の展開に制約があるのかもしれないし、作者によって、「レベル○」あたりが得意ってのもあるんでしょうね。この人はある程度上のレベルの物の方が得意なんじゃないかな? あと、舞台を無理に外国にしないで、イギリスにしておいた方がこの人の持ち味が出ると思いました。

11.2006年3月3日:Washington Square :PGR2:6800語:☆☆☆☆:タイトルだけは何となく知ってたけど、こういうお話だったんだ! 芝居でも見てみたいな。

12.2006年3月6日:Next Door to Love :CER1:4500語:☆☆☆☆:イギリスは離婚・再婚も多いから恋愛事情も親子関係も複雑。私なんかはハタから見ていて、みんなタフねーと思ってしまったりする。過去に色々あっても、全然めげずに新しい恋愛に突入するしさ。

13.2006年3月8日:Blood Diamond:CER1:4900語:☆☆☆☆:主人公はジャーナリスト。ダイヤモンドを利用して武器密輸を図る人々の動きを告発しようと試みるが、相手の罠にはまってしまう。テンポがよく、挿絵も多いので読みやすい。

14.2006年3月9日:Who was Wolfgang Amadeus Mozalt:児童書:8000語:☆☆☆☆(+):今年はモーツアルト生誕250年ということで、モーツアルト流行。子ども向けの伝記シリーズにモーツアルトのものを見つけたので読んでみた。英語は平易だけれど、内容的にはなかなか濃い。

英語快読500万語 (2)―CERの新作

CERの新作が出た。CERは一応完読してしまったので、新作が出るとうれしい。GRの中では、私はCERが一番好きだ。

A to Z Mysteries の方が、Encyclopedia Brownよりも好みかな? 手軽に読めるのがいい。

引き続きORTも読み進めている。

ここまでの総語数、149677語。

1.2006年2月2日:A to Z Mysteries: The Empty Envelope:児童書:7200語:☆☆☆☆:女の子1人と男の子2人の3人組が活躍するシリーズ。子どもが探偵役の割には、犯罪の規模が大きいかも。

2.2006年2月4日:A to Z Mysteries: The Falcon’s Feathers:児童書:8000語:☆☆☆☆:同じく、けっこう危ない目に合いながら3人が活躍。Falconって? 絵からするとタカ? でも、タカはhawk?気になったので辞書を引いたが、falcon∈hawkらしい。そもそも日本語でもよくこのあたりの違いが分かってないかも・・・。なので、ま、いっか。 

3.2006年2月6日:ORT6&7(6冊):4324語:☆☆☆☆:イギリスのジョークって、日本人には分からないことも多いけど、ORTのレベルから積み重ねて行けばだんだん分かるようになる?

4.2006年2月9日:ORT7(6冊):52534語:☆☆☆☆:このレベルを読む頃、イギリスの小学生は歴史の時間にローマ時代のことを習うんでしょうね。イギリスのかなりの地域はローマ帝国の支配下にあったこともあるので。学校でのプロジェクト(>子どもたちが自分でいろいろ調べたり、場合によってはそのテーマについて理解するために工作したりする)の様子なんかも分かって興味深いです。

5.2006年2月15日:Hotel Casanova:CER1:3600語:☆☆☆☆(+):CERの新作。イタリアのホテルで働くしっかりと「人生設計」(>26歳で結婚!30歳で自分のホテルを持つ)を持つ青年が、まだ21歳なのに、ある女性と出会ったことから、計画が狂って行き、人生の歯車自体が狂って行く。最初のうちはゆったりと話が進むが、途中からテンポが加速し、どんどん恐くなって行く。

6.2006年2月15日: Don’t Stop Now:CER1:3600語:☆☆☆☆:ソーホーのイタリア系移民が経営するネットカフェが舞台。主人公はこのカフェ経営者の娘が好きで、毎日のようにここを訪れる。しかし、どうやらこのカフェで何やら困った事態が進行しているようだ。

7.2006年2月18日: Within High Fence :CER2:7700語:☆☆☆☆(+):主人公はasyram seekersの収容所で働いている。ボーイフレンドは金回りが良いらしく、「別に働かなくてもいいぢゃん」と言う。彼女は夜のシフトで働いているので、すれ違いになるしね。なので、毎日出勤時に互いにくらーい雰囲気になりがち。でも、主人公は「自分で金を稼ぐ」っていうのをやりたい。本当は主人公の夢は物書きになることだった。でも、ボーイフレンドは「君に出来るわけないぢゃん」と言った。で、主人公は夢を諦めてしまったのだ。そんな主人公が収容所で出会った難民の青年にだんだん心引かれて行く。イギリスには、たくさんのasyramu seekersが入国してくる。こういう収容所も人があふれていて、なかなか運営が大変みたいだ。ブレアは、難民受け入れの基準を厳しくしてきているみたいだし。(>それでも日本よりはずっと受け入れているんだろうけれど)フランスの収容所から逃げ出してユーロ・トンネルの中を歩いてイギリスに入国しようとする者も後をたたず、いろいろ対策が取られている。『ベルリンフィルの子どもたち』の中にも、アフリカのどこかの国から来た難民の子がいた。正確に覚えてないけれど、彼は政治的理由で親が殺されたんだったかなんだったか、まだ高校生くらいなのに、大変な光景を生き抜いて来て、かつ現在も異国で苦しい生活をしている。日々、命の心配をせずに生きることが出来ない人が地球にはいっぱいいるんだよね。