英語快読300万語 (14)-映画『エミールと探偵たち』に見る時代の変化

SSSの掲示板で『エミールと探偵たち』のことが話題になっていたので、なんだかなつかしくなって、PGRの『エミールと探偵たち』を読んでみました。文献37です。小学生の時に読んで以来でしたが、子どもの頃と同じく、ハラハラ、ドキドキしながら読みました。

レンタルビデオ屋さんで、ふと『エミールと探偵たち』のビデオを発見。そういえば、Qはケストナーを読んだことがないので、借りていってやることにしました。

ケストナーの『エミールと探偵たち』は徹底的に男の子のお話です。活躍するのはすべて男の子。でも、映画では女の子も「探偵」として活躍します。

「エンサイクロペディア・ブラウン」のシリーズでもそうだし、「名探偵コナン」でもそうだけど、最近は「腕っぷしの強い」女の子ってのが、けっこう子どもの物語に登場しますね。これは旧来のジェンダー関係の「脱構築」(>ほりくずす?)でもある訳だけど、でも、これってリアリズムの観点から行くとどうんだろ。「ありえない」設定だと「脱構築」にならないんじゃないだろうか。「物語」の上だから、として、安心して「強い」女の子を楽しむことにはなるが、現実社会のジェンダー関係を変えていくことにはつながらないかもね。

まぁ、それでも、「女の子はいつも待ってるだけ」っていう物語よりは、フェミニズム・ポリティクスの観点からは100倍もマシかもしれないけど。

それに、小学生くらいだと女の子の方が「強い」っていうのもあるから良いのかな? 

若桑みどり『お姫さまとジェンダー』( )では、女の子がプリンセスストーリーで「受身」であることを「刷り込まれる」と分析しているけれど、こういう「強い」女の子のストーリーを読んだ子ども達の心には、何が「刷り込まれる」のかしら?

45.2005年4月19日:Taxi of Terror :OBW0: 700語:868019 語:☆☆☆:PGR1とOBW1だとOBW1の方が好きだけど、PGR0とOBW0だとPGR0の方が好き。OBW0は絵が可愛くないせいか、あるいは別の理由からか、なんとなく読みにくさを感じる。それは、まだ変わってないみたい。

46.2005年4月24日:Doraemon 3 :マンガ: 5000語:873019 語:☆☆☆☆:サクサクと語数稼ぎ。

47.2005年4月25日:Emil and the Detectives :PGR3: 11000語:884019 語:☆☆☆☆:小学生の頃、ケストナーの作品とても好きでした。久々に子どもの頃に戻った気分。

48.2005年5月1日:Bed and Breakfast Star :児童書: 30000語:914019 語:☆☆☆☆☆:継父が失業したため、主人公一家はベッド&ブレックファストで暮らすことになります。キングスクロスあたりで「あんまり安いB&Bに泊まると、一部がホームレスのために自治体によって借り上げられてるなんてことがあるよ」っていわれたことがあるんですが、要するにそういうB&Bなんですね。主人公たちの暮らしは確かに大変ではあるけれど、「食い詰めた」家族に対して、無料であるいは非常に安価に住宅が提供されるという、イギリスの福祉の一面をビビッドに感じられたりもする作品。もちろん、主人公たちは、安B&Bで快適に暮らしている訳じゃないのだけれど、でも、多分日本で突然お父さんがリストラにあってこれまでの家に住めなくなった、という時にこの程度の宿も提供されないんじゃないでしょうか? 
 それはともかく、そんな環境にあっても、主人公は明るくたくましく、母や幼い妹弟を助けて生きていきます。

英語快読300万語 (13)-笑いとは残酷なもの?

OFF3のLaughterを読んだ。笑いの歴史についても知ることが出来る。人類はひょっとしたら言葉を話す以前から笑っていたかもしれないらしい。互いを笑わせて楽しんでいたかもしれないらしい。

しかし、「笑い」の原型は残酷でもある。たとえば、バナナの皮を踏んでころんだ人を笑う、パイをぶつけられて顔がクリームだらけになった人を笑うなど。今ではPC(ポリティカリー・コレクト)のコードに触れるが、昔は障害者を笑ったりもしてきた。

子どもの文学にも、ある種の「欠陥」のある登場人物がよく出てくる。ドラエモンののび太もそうなのかもしれない。

子どもは「完璧」でない登場人物に、自分が「完璧」でないことを赦される思いがするのであろうか。「完璧」でないゆえの辛さを共有するのであろうか。ウィルソンの登場人物なんかはこの系統だ。

だけど、一方で笑いの原型でもあるslapstick 系の登場人物も存在する。たとえば、太っていて大食いの女の子とか。(>「マリア探偵社」のシリーズの「マンモスけいこ」(漢字が分からない)など)

私は:小学校4年生くらいから「シリーズ物」でQにお話を作って聞かせているのだけれど(>最近は英語で話してやることも多い)、その主人公はよそ様にはお聞かせできない、ポリティカリー・インコレクトな「ダメな子」だ。のび太は気持ちがやさしかったり、「救い」があるけど、私の話の主人公は徹底的に「ダメな子」。子どもって、「ダメな子」の話を聞きたがるところがあるような気がする。

笑いの本質がそもそも「残酷」なものを含んでいるからなのだろうか?…と、このLaughterを読んで考えさせられてしまった。

42.2005年4月18日:Laughter:OFF3: 5600語:844319 語:☆☆☆☆☆:たった5600語で笑いについてたっぷりと学べます。写真も沢山あって、とても充実した1冊。

43.2005年4月18日:Three Men in a Boat:OFF3: 18000語:862319 語:☆☆☆☆:SSSの掲示板で「おバカ系」とあったので、読んでみた。仕事に疲れた3人の男が、ストレス解消しなくちゃ!と、テムズ川をボートで旅する話。舞台は19世紀末とか20世紀初頭なのかな?今の日本の「働きすぎ」社会のレベルから見たら、「仕事に疲れた」と言ってもたいしたことない仕事量なんだろうけど、でも、「じゃあ、ストレス解消しないとね」と、きっぱり休暇を取れる状況や、日常を離れ非日常を「演出」し「体験」出来る「技」は、日本人が見習いたいところ。私もなんかもう24時間ダラダラ仕事から離れられないような生活してるからさ。イギリス人を見てるととっても上手にキッパリクッキリ休みを楽しんでますよね。で、休んでなお、私の業界について言えば、彼らの方が圧倒的に生産性が高いです。(>まぁ、業界の「仕組み」が違うし、業界全体が欧米中心に出来ているので、日本人の参入にはハンディもあり、単純な比較は出来ない面もあるんだけど。)

44.2005年4月19日:Draemon 4 :マンガ: 5000語:867319 語:☆☆☆☆:マンガはラクに語数が稼げていいですねぇ。

英語快読300万語 (12)-「多読」でDVD鑑賞

多読で読んだ物に触発されて、DVDを借りてきて見たりする機会も増えている。PGRも今は、オリジナルを中心に読んでいるが、いずれ映画をストーリー化したものにも手を出せたらと思っている。PGRは映画物が多いから、これまた新しい世界が広がりそうで楽しみ。

37の文献では、サン・スーチーなど「勇気ある生き方」を貫いた人々の話が収録されているのだが、なかにエリン・ブロコビッチの話も入っていた。これ、ジュリア・ロバーツが主演の映画になっていて、レンタル・ビデオ屋さんで、ずいぶん長い間、「人気第1位」の棚に置いてあったっけ。その時には全く食指が動かなかったのだけれど、この37の文献で読んでみて、映像も見てみようかな?という気持ちになった。本の方も映像の方もなかなか面白かった。

こんな風に、多読を契機に、それまで「食指が動かなかったが見てみれば面白い」映像に出会えるのも楽しい。

37.2005年4月12日:Stories of Courage:PGR3: 10300語:779819 語:レベル3:☆☆☆☆:作家の大江健三郎と彼の障害者の息子との交流を含め、有名無名の人々の勇気ある生き方が紹介されている。

38.2005年4月13日:Draemon 2:マンガ: 5000語:784819 語:☆☆☆☆☆:マンガは気楽に読めて、語数稼ぎにいいです。ちょっと気になるのは、のび太が「ママに叱られちゃうよ」という時、”be scolded”が多用されていること。アメリカ英語ではこれをよく使うのかな? イギリス英語ではあんまりこれは使わないように思います。

39.2005年4月16日:Billy and the Queen:PGR0:900語:784819 語:☆☆☆☆:久しぶりのレベル0。実は再読(>記録はしてない)なのに、時間を計ったらやっぱり4分じゃ読めません。(>レベル0を4分で読むのがSSS的に「上級」の基準ということみたい)

40.2005年4月16日:Photo of the Tall Man:PGR3: 10000語:795719 語:☆☆☆☆:それなりに楽しめる話だったんですが、すぐに感想を書いておかなかったら、ストーリーが思い出せない。ちょっと気晴らしに「読み捨てる」には手頃っていう感じかな?

41.2005年4月16日:Best Friends:児童書: 43000語:838719 語:☆☆☆☆☆:生まれた日も生まれた病院も同じ、という2人の女の子のお話。イギリスは階層による住み分けが日本より断然厳しい。親の都合と親の階層の違いによって、2人は(>特に貧しい方である主人公)は傷ついていく。