英語快読200万語 (5)-ポジティブな態度がもたらすもの

CERの5~6の本を数冊まとめ買いしました。やはり読み応えがあり、かつ、面白いです。ケンブリッジ大学出版のGRは良い書き手を集めてるなぁ…と思う。

「GRは、これは一つの文学のジャンル」だ、というのが最近の私の持論なのだけれど、以前の私はそうではありませんでした。GRというものに、「ど~せ、お勉強用の教材でしょ?」とGRを多読するという「方法」に懐疑的な状態で出発した「100万語」の最初の頃は、「面白さ」の評価が厳しくなりがちだった。しかし、それは私の懐疑的な態度が面白さを感じるセンサーを鈍くしていたためとも言える。

「100万語」の途中から、だんだん多読が面白くなり始め、一度、「一貫性は欠くが、今後評価を甘くします」と書いたことがありました。「200万語」の私は、それよりさらに評価が甘くなっている感じがします。どれを読んでもそれなりに楽しめる。どれを読んでも以前より楽しめる。

やはり、そのことに「前向きかどうか」って、そのことの「面白さ」と深く関連しているんですね。

これには異論もあると思うけれど、私は、バレエにおいて、「自分の求める水準以上」の先生だったら「惚れるが勝ち」と思ってるんですが、これも多読と同じかな。もちろんケガにつながるような誤った指導には細心の注意を払って、「従わない」ようにしないといけないけれど、そういう基本的な水準を満たしている先生なら、その指導の「弱点」を見るよりも、「強いところ」「良いところ」を見て、ついていった方がレッスンの満足度が増して、結果として上達にもいいように思います。

「この先生は○の教え方が今一つ」とか「この先生って×な訓練は受けてらっしゃらないんじゃないかしら」と思いながらレッスンするよりも、「この先生の△ってステキ」とか「この先生って□なところをよく見てくださってるのよねぇ」と思いながらレッスンを受けた方が身につく度合いが高いように思います。

まぁ、これは私の場合、「先生に恵まれているから」言えることであるし、教室もカケモチしていてそれぞれの教室で複数の先生に習っているから可能なことかもしれませんが。

多読という方法に懐疑的だった頃の私と、この方法は面白い、と思っている今の私とでは、今の「面白がって」多読をしている私の方が、「発見」も多いし、映像を見たり、異なるGR同士のつながりを考えたり、歴史的背景を考えたり、多読を軸にさまざまなものを楽しんでしまうという「発展」の可能性も広がっている…そう思うのです。

32.2004年7月31日:A Love for Life:CER6:レベル6:28722語:173033語:
☆☆☆☆☆:主人公の女性は子どもが産めない。パートナーとともに養子をもらおうとして面倒な手続きの最中だった。ところが、もうちょっと、というところでパートナーに去られてしまう…。それでも養子が欲しい・・と思う。手続きはさらに面倒になるが、念願かなって女の子が彼女のもとへ来ることになる。ちょっと難しいところのある子だ。新しいボーイフレンドが出来かかるけれど、このボーイフレンドと養女の折り合いが悪い。一方、養女は親友の息子と同級生になることに。その担任の先生に主人公は惹かれるものを感じる。ところが、その先生に、生徒虐待の疑惑が…。シングル女性が養子をもらう困難さ、ボーイフレンドは欲しいけれど養女との折り合いが…など、主人公の切ない心情がよく描けている。担任の先生に虐待疑惑がかかった時に彼が「女性の先生なら何でもないことが、男だというだけで疑いを持たれる」というようなことを言うのだけれど、「女性職」に入っていく男性にも色々苦労があるのだなぁと思わされた。

33.2004年8月1日:Trumpet Volunatry:CER6:レベル6:29378語:202411語:
☆☆☆☆☆:平穏な生活を送っていた音楽家夫妻…。しかし、突然トランペット奏者の妻が疾走。ビオラ奏者の夫は妻のゆくえの手がかりを求めて妻のPCを見る。すると、そこには、音楽学校時代、ワイルドな魅力でもてまくっていた妻の元カレからのメールが…。実は、夫・妻・元カレともに3人は同じ音楽大学で過ごした。でも、妻とはもう10年も平穏な結婚生活を送っていたというのに…。夫は、音大時代からの演奏仲間をふりきって、妻を探しにリオに旅立つ。しかし、妻の疾走の背景には、国際犯罪がからんでいて、事はどんどん深刻に…。妻は危険もかえりみず、元カレの犯罪に手を貸そうとしている。ダイナミックで切なく、読み応えがあります。
  で、このタイトル、実は、失恋の痛手で自殺した作曲家がトランペットのために作曲した曲のタイトルなんだって。(>SSSのHPで知りました)そんなところもとってもオシャレですね。ネットで曲のサワリを聴いてみたが、けっこう有名な曲です。

34. 2004年8月5日:Windows of Mind:CRE5:レベル5:25700語:218111語
:☆☆☆☆☆:イギリスらしい、サーカズムに満ちた短編集。味覚・視覚・聴覚・ゴシップへの嗅覚(?)(>そういえば、最後のオチも「臭い」)・「気」というか、ボディ・アンド・マインドの「マインド」(?)系な感覚(?)…。いずれにせよ、「感覚」をテーマにした5編です。ずっしり心にこたえる感じ。

35. 2004年8月9日:Deadly Harvest :CRE6:レベル6:27346語:255457語:
☆☆☆☆☆:静かで平和な小さな町に赴任した主任警部に昇進したばかりの女性が主人公。警官たちは平和になれきっていて、この町で起こる車荒しなどは町の外から来た人のしわざ・・と決めつけている。もちろん男性たちは、女性主任警部の下で働きたくなんかない。そんな町で、彼らがこれまで経験したことのない殺人事件が発生。しかも、その事件は単なる殺人事件ではなく、もっと大きな犯罪が絡んでいたのです。主人公はこの町に赴任するにあたってボーイフレンドと別れて来ており、慣れない土地でプライベートにも孤独を味わいながら、でも、警察という男社会、階級社会の中で頑張っています。というより、やっぱり警察の仕事が好きなんだと思う、この女性。主人公も魅力的だし、推理小説としてもよく出来ています。

36. 2004年8月14日:In the Shadow of Mountain:CRE5:レベル5:22862語:
278319語:☆☆☆☆☆:主人公の女性ジャーナリストの祖父は、74年前にマッターホルンで遭難しました。その遺体が見つかったという連絡が入り、彼女はスイスへ…。そこで祖父の死をめぐって、彼女の家族と、そしてスイスで祖父が好きになった女性の家族がさまざまに来るしんでいたという「過去」が明かになっていきます。彼女が「食ってく」ために、あるいは、ジャーナリストとして「書く」仕事にまがりなりにも就くためにストーリーを書いている媒体は、センセーショナルにゴシップ仕立てな記事を載せるというタイプ。彼女の家族は、彼女がそういう媒体に文章を載せることを快く思っていません。そして、ボスは、彼女のストーリーをセンセーショナルな形で媒体に載せたい…。そこに彼女自身のロマンスが絡んで、重構造で話は進んでいきます。なかなか良質な物語に出来上がっていると思います。

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