英語快読200万語 (2)-今時の30前後のイギリスの女性

CER(ケンブッジ・イングリッシュー・リーダーズ)のシリーズは英語を勉強する「大人」向けに「書き下ろされた」シリーズです。読者として「大人」が想定されてるので、ストーリーもそれなりに「読み応え」あるものが多いです。

 外国語を勉強するということは、「その国の文化を学ぶ」ということであったりもするので、多分、著者は「今のイギリス」というのを意識してストーリーを書いていると思われます。

このシリーズの主人公には、30前後の「揺れる女性」というのが時々登場する。『ブリジット・ジョーンズの日記』が流行った背景には、こうした「揺れる女性」がイギリスには大量に存在するということなのかな?

今のイギリスでは、専業主婦というのは、ほんとうによっぽどの男をつかまえない限り、多分無理な相談。男性の失業率も高く、たとえ一時的にせよ、女性が家計を支えている場合もかなり多いのが現状です。

日本よりは「総合職」的女性が上に行ける可能性はず~っと開かれているけれど、他方、特に野心をもたない「一般職」艇女性の層も厚い。

すごいキャリアを追求出来るだけの教育も受けてなければ実力もない女性(>それが悪いと言っている訳ではありません。すべての人が100メートルを10秒で走れる訳ではないのと同じことです)、あるいは、そんなすごいキャリアを追求するような「しんどい」ことはたとえ能力的に出来てもしたくない女性にとっては、恋愛が人生に占める位置というのは、とても大きいのかもしれないです。(キャリア型女性にとっても恋愛は大切だとは思いますが)

「100万語」で読んだ、All I Wantもそうでしたが、7のJungle Loveも、そんな「平凡」な、でも一生懸命生きている女性の「揺れる心」を描いていると言えましょう。

7.2004年7月11日:Jungle Love:CER5:レベル5:23337語:45685語:☆☆☆☆:
ボーイフレンドとも今一つ盛り上がりに欠けるし、ボーイフレンドがいるのに何となく流されて別の男とも関係をもってしまった主人公は休暇でカリビアンなパック旅行に参加。他の参加者はほとんどがカップルということで、もう1人のシングル参加者のリサと、主人公は同室になります。主人公のジェニファーの一人称で書かれている部分と、同室のリサの一人称で書かれている部分が交互にあって、なかなかおしゃれな形式です。片割れが帰国してしまったちょいとハンサムなイアンをめぐって、ジェニファーとリサの間柄はややこしいことにんたていきます。

8.20004年7月12日:The Amsterdam Connection:CRE4:レベル4:17000語:62685語
:☆☆☆☆:これ、どうやら、Death in Dojoの続編らしい。まずそっちから読めば良かったかな。アムステルダムはほんの少しだけ観光したことがあります。駅前の様子なんかは大体分かっているので、なつかしく読みました。そして、主人公が以前はマンチェスターで働いていたというのも、かつてマンチェスターに住んでいたことのある私にはなんとなくなつかしいです。一つだけ気になったのは、主人公の元上司Maxが20箇所も刺されて殺されたのですが、それに対して、すでに死んでいたところを(強盗に見せかけるために)刺した、という目撃者の証言があった点。警察の解剖では死因は刺されたことによる出血多量ということにされていたのだけど、実際には目撃どおり、死んでから刺されたのですが、その場合、「生体反応がない」っていうんでしたっけ、たしか、現在の法医学では分かるはずですよね。

9.20004年7月13日:Hanna and the Hurricane:PGR0:レベル0:900語:63585語:
☆☆☆(+):底がガラス張りのボートでサンゴ礁ツアーをやっているおじ(い?)さんの元でアルバイトしている若い女性が主人公。もっと安い値段で同種のツアーをやる競争相手が現われ、そのおじさんの会社は潰れそうになります。

10.20004年7月13日:Who Wants to be a Star:PGR0:レベル0:900語:64485語:
☆☆☆(+):主人公は13歳のすごい人気アイドル。でも、華々しいスターの生活に疲れています。で、田舎に住む友達のおばあさんを頼って家出します。テレビもラジオもない生活…。スターになりたい人もいれば、スターから降りたい人もいるのね。

11.20004年7月13日:The Leopard and the Lighthouse:PGR0:レベル0:900語:
65385語:☆☆☆(+):アフリカの小さな島の今は使われていない燈台に大陸から泳いできた豹が逃げ込みました。村長は豹をしとめた者には彼の娘と結婚させる、と言います。『女はみな生きている』という映画を見たのですが、現代フランスにおいて、アルジェリアからの移民(>あるいはすでにフランス国籍をもっているアルジェ系フランス人)の間で、父親同士による「アレンジド・マリッジ」が行われているという設定でした。このGRの話は、結局、娘も気に入っている男が見事豹に麻酔薬を打ち込み、2人は「ハッピリー・マリード」で終わるのですが、しかし、それでも、設定そのものに、根深い、アフリカの「アレンジド・マリッジ」の制度が横たわっているのを感じます。

12.2004年7月14日:Dino’s Day in London:PGR0:レベル0:900語:66285語:
☆☆☆(+):オチは「うまい!」と思わせるものですが、10歳かそこらの子どもがこんな「あくどい」ことしていいのか!という読後の後味の悪さがあります。これもイギリス人特有のサーカズム(皮肉っぽい自嘲を好む性向とでも言うべきもの?)なのでしょうか?

13.2004年7月14日:But was It Murder?:CER4:レベル4:17184語:83469語:
☆☆☆(+):実はこれ「再読」なんだけど、「100万語」の時、記録しなかったみたい。それにしても、1回読んだはずなのに、なんか印象薄くて、途中、「ほんとに最後まで読んだんだっけ?」と思いつつ、最後の最後まで読んで、「あ、やっぱり読んだ」と思い出しました。情けない…と思いつつ、きっと、この作品、私との相性が今一つなんだわ、とも思ったりする。私的には、読者を「だまそう」という技巧に走りすぎてる感じがする。

14.2004年7月15日:The Blue Cat Club:PGR0:レベル0:900語:84369語:☆☆☆
(+):これも、オチは面白いけれど、私的にはあまり後味がよくない。

15. 2004年7月16日:Between Two World:PGR0:レベル0:900語:85269語:☆☆☆
(+):オーストラリアの僻地に飛行機で移動して治療をする移動病院の看護婦さんが主人公。オーストラリアって広いし、移動病院が必要なんですね。

16. 2004年7月16日:The Troy Stone:PGR0:レベル0:900語:86169語:☆☆☆(+)
:家族でトルコ旅行中、主人公は黄色い石を拾うんだけど、そのとたんにタイムスリップ! ギリシャとトルコは今も仲が悪いけど、そもそも「トロイの木馬」の頃から仲悪かったのね。

17. 2004年7月16日:Lucky Break:PGR0:レベル0:900語:87069語:☆☆☆:アメフ
トやってる主人公はケガをしてしまいます。で、ヒマだったりするのですが、町の映画館に彼が好きな女優が来るという…。松葉杖姿ではあるけれど、行ってみることに。すごい人混みの中で押しあいへしあいで、身動きが不自由な主人公は大変な思いをします。で、あこがれの女優さんからとんでもない目に合わされる。最後のオチに救いがあるけど、女優の性格が悪くて主人公がちょっと可愛そう。

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