英語快読500万語 (6)―子ども向けの科学読み物&『砂漠の女ディリー』

Scholasticsの薄っぺらい子ども向きの科学読み物のようなのを見つけて、手に取ってみました。私は文科系の人間なので、理科系の単語って、本当に知らない。「小学生の理科」程度のことも、「あれれれ???」というくらい知らないです。

しかも「小学生の理科」程度のことも、日本語でもすーっかり忘れてしまっていたりするし・・・。英語の勉強も兼ねて、(子ども向きの)理科系の本を読んでみるのも面白いかも。

レッスンメイトに多読を進めたら、あっという間に語数を追い抜かれてしまった。多読は競争じゃないので別に良いのだが・・・。

で、お互い、本を紹介し合っている。

Desert Flower(邦訳は『砂漠の女ディリー』というらしい)は、このレッスンメイトに薦められて読んだ本だ。

すごい本だった。

ワリス・ディリーという黒人のトップモデルの自伝だ。彼女はソマリアの遊牧民の出身で、13歳の時に意にそまぬ結婚をさせられそうになり逃亡する。そして、その後、紆余曲折あって、トップモデルになる。

この自伝には彼女の女性性器切除(FGM)の経験や、それによって、その後の生活でいかに不便を来たしたか、健康上問題があったか、ということについても赤裸々に書かれている。

女性性器切除というのは、中東やアフリカの一部の地域で行われている、女性性器の一部あるいはほとんどを切り取ってしまうという慣習だ。これについては、サーダウィ『イブの隠れた顔』やホスケン『女子割礼』という本に詳しいのだが、21世紀のこの現代でも未だに続いている慣習である。

この手術は幼い時に行われることが多い。しかも麻酔もなしに、医療の専門家の手によることなく、しばしば不衛生な環境のなかで行われる。手術時の痛みのショックや出血多量で死亡することもあるし、同じカミソリを使って何人もの手術をいっぺんにやることもあるのでHIVに感染することもあれば、その後合併症に苦しむこともある。精神的な傷も残る。

最も軽いのはクリトリスの包皮を切り取るだけだが、ファラオニック割礼と呼ばれる最も重いものは外性器のほとんどを切除した上で、経血と尿の出る穴だけ残して膣口を縫い合わせてしまう。それも手術用の針とかじゃなくて、棒切れを(肉に)差し込んどくだけ、とか、そういう野蛮さである。

理由は、「女性は穢れているから(きれいにする)」とか、「性への興味を封じ込める」とか、いろいろあるらしい。「慣習」となっているため、これを行わなければ、「穢れている」女性として結婚できない。女性に雇用機会がある訳でもなし、結婚できなければ、生きていけないことになるので、母親も、手術に加担せざるを得ない。

排尿や生理時の苦痛というのが残ることがある、というのを読んだことはあったのだが、ワリス自身の生なましい経験を読み、この手術がいかに残酷で暴力的なものか、というのを改めて感じた。

トップモデルになるまでの彼女の人生も、それはそれは大変な苦難の連続であった。でも、彼女は明るくて前向きだ。

しかも、超大胆! 時に危ない橋も渡る。事実は小説より奇なり、を地で行くような豪胆で波乱万丈の人生だ。

彼女は、この自伝を書いて以来、反女性性器切除の運動もしており、国連とも関わっている。

しかし、女性性器切除の問題を除いては、彼女は自分の育った文化やアフリカの自然を愛していると言う。家族の暖かさや、みんなで冗談を言っては爆笑した、そういう日々を懐かしく思いだすと言う。欧米の生活の「病理」のようなものになじめない部分がある、と言う。

女性性器切除をするような社会は、明らかに女性に対して抑圧的な社会だ。

だけど、そういう抑圧的な社会から、こんなたくましい女性が生まれ育ったのはなぜなんだろう、と不思議に思った。

どうやら続編もあるらしいので、いずれ読んでみたいと思う。

ここまでの総語数、543654語。

23.2006年4月25日:Time to Discover(6冊):児童書:500語:You Taste with Your Tougue, You Look with Your Eyes, Spiders, Ants, Robin, A Cloudy Dayの6冊を読みました。小さな子ども向けの自然科学の本。写真があって分かりやすく解説されています。でも、案外難しい。You Taste with Your Tongueには「味蕾」と思われる単語が出ていて(>けっこう「まんまぢゃん!」っていう英語だったが、忘れた。後ろはbuds)、こんなのは、なかなかに高度です。Spidersも「節足動物」と思われる単語があり、これもなんていうんだったかは覚えてませんが、なかなか高度ですよね。子ども向きの科学の本を何冊も読んでいるうちに、こういう単語も身についてくるのかしらん。

24.2006年4月28日:Wayside School is Falling Down:児童書: 27651語:☆☆☆☆:留学中同じ寮に住んでたロシア人の友達(イギリス在住)の娘さんに薦められた本。私、この子が1歳の頃から知ってるんですが、こんな風に児童書について語り合える日が来るとは・・・・。多読をやってて良かった! 内容的にはかなりハチャメチャで「ありえない!」ことばっかり起こるんですが、その「ありえない!」の「角度」っていうのが奇想天外っていうか・・・。そこが面白いです。

25.2006年4月28日:A to Z Mysteries:The Invisible Island:児童書:8518語:☆☆☆☆:3人組の探偵が、近くの島に遊びに出かけた。彼らは、そこで、100ドル紙幣と大きな足跡を発見する。今回も3人組は小学生には危険な、なかなか本格的な犯罪を解決することになる。

26.2006年5月10日:Desert Flower :PB:1600語:☆☆☆☆☆:黒人トップモデル、ワリス・ディリーの自伝。すごい話だ。

27.2006年5月11日:Time to Discover(16冊) LR:語:☆☆☆☆:You Smell with your Nose, You Touch with Your Fingers, A Rainy Day, A Stormy Day, A Snowy Day, Monk Rays, Dolphins, Sharks, See Horses, Octopus, Squirrles, Foxes, Penguins, Turtles, Bees, Owls Live in Trees。小学生程度の理科の英単語も案外知らないんですねぇ。

28.2006年5月12日:A to Z Mysteries: The Jaguar’s Jewel :児童書:8550語:☆☆☆☆:おなじみ3人組みの探偵たちが、仲間の1人のおじさんを訪ねてNYに行く。おじさんは美術館で仕事をしている。南米から借りた美術品の展示をすることになっていたのだが、その中のジャガーの置物の目のエメラルドがニセモノにすりかえられていて、おじさんに疑いがかけられてしまった。3人がまたもや危ない橋も渡りつつおじさんの窮地を救う。犯人は本物のエメラルドの方を美術館の事務所の中のとあるところに隠しておくのだけれど、でも、これ、一体どうやって取り返すつもりだったのかな?カギ持ってないはずだったのに。

29.2006年5月13日:A Stranger at Green Knowe :OBW2:5900語:☆☆☆☆:BBSで林望さんがイギリス滞在中に住んでいたグリーン・ノウのモデルとなったマナー・ハウスのことが話題になったので読んでみた。林さん、こんなとこに住んでたのかぁ。林さんの本も読み返してみようかな。

30.2006年5月14日:The Murder of Mary Jones :OBW1:5800語:☆☆☆☆:Tim Vicaryの法廷劇。読者なりの推理をするには提示された「証拠」が少なすぎかなぁと思うけれど、Tim Vicaryだけあって、なかなか読ませるものになってます。何にせよ、使える語彙が400語という中でこれだけの英語が書けるんですものね。すごいです。400語がちゃーんと使いこなせれば、たいていのことは書けるってことですよね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です