英語快読100万語 (3)グレーディッド・リーディングって楽しい

8月7日から、仕事の関係でイギリスに滞在しています。こちらで買えばGraded Readersも安いかなぁ、と思ったら、そうでもないです。日本で買うよりはいくらか安いかもしれないけど、でも、やっぱりこんな薄い本に日本円に換算して500円以上取られるのは、初学者からの「搾取」とも言えるなぁ・・・。

せっかくイギリスにいるのだから、外国人向けの「英語のお勉強」の本じゃなくて、こちらの子向けの本を図書館で読もうかなぁ、あるいは、ごく普通の大人向けペーパーバックを読む、というので行こうか、というのも考えました。

で、まぁ、このどちらもやってることはやってるんですが、たまたま買った、アガサ・クリスティについてのオクックスフォード大学出版Bookwormシリーズの一冊が面白かったので、Graded Readersの方も続けようと思いました。すぐに読み終わるので仕事の合間の「息抜き」に「ぴったり」だし。

出発直前の英会話のレッスンで、グレーディッド・リーディングの話をしたら、先生から、「何もそこまでレベルを下げて読む必要はないんじゃ?」と言われたりもしたんですが、自分の実力より易しいものを読む、しかも内容が面白いものを読むっていうのは、案外楽しいというのを、このクリスティについての本で感じました。

(実は前回5の文献の総単語数をこれまでの積算に足すのを忘れていました。それを足すと、ここまでの積算は33,200語です)

7.
8月10日:Agatha Christie, Woman of Mystery:(OBW2)700語:6400語: 39600語:☆☆☆☆: ケンブリッジのシリーズが本屋にあまり置いてなかったのでオクスフォード大学出版の物も手にしてみたら面白そうだったので購入。
クリスティは英語でも日本語でも何冊か読んでいるし、映画も何本か見たことあるし、去年の夏だったか今年の春だったか、大英博物館で「クリスティと考古学」というエキジビションも見たことがあったので、親しみを感じつつ、楽しく読めた。
クリスティの若い頃の話はあまり知らなかったので、その点でも新しい知識が得られて良かった。易しい英語で書かれていても、情報の知的レベルは決して低くなく、この手のものは、易しい英語で読む方が知識が定着するかもしれない、と思った。
8.
8月14日:Inspector Logan:(CER1)400語:3000語(新作らしく総単語数不明ですが、ケンブリッジのこのステップのものは3400~4800なので、とりあえず3000にしときます):42600語:☆☆☆: まぁまぁ楽しめた。ケンブリッジのものは、使っている語数が少なくても、あんまり無理を感じさせない。
これでケンブリッジのステップ1(400語)の5冊は読破!

9.
8月15日:Glitter Girls: Ballet Babe:イギリス人の子ども向け(6-8歳?): ? : 42600語: ☆☆☆ 仲良し5人組が一緒に色々なチャレンジをするというシリーズの中の1冊。私は少女向きのバレエ小説が好きなのでよく読む。これもバレエ物ということで手にした。
耳なれない、というより目慣れない単語が出てくると、つい目が止まってしまう。なかなか「まとめ読み」(1語ずつ読まずに固まりで読む)出来ないものだ。「pink Macを脱いで」…なんていうのがあると、「あれ? Mackintoshのこと? レインコートだっけ、長靴(長靴はWellington)だっけ?」などと日本語が頭の中に浮かんでしまう。
こちらの子ども向けの本は、易しいように見えて、目慣れない表現や大人は使わない表現が出てくるので、リズミカルに読むのがかえって難しい時もある。総単語数を数えるのは面倒なので、これは総単語数には入れないでおく。

10.
8月16日:Drive into Danger :(OBW0)250語: 1500語: 44100語: ☆☆ 単語数が少ないと表現や話の運びが不自然に感じられて、私の場合はあんまり楽しめない。単語数が少ないものは、むしろ子ども向けの絵本の方が楽しめるのかも・・・。
ただ、知らなかった”a skip”(超でっかいゴミ箱?)という単語が(辞書引くなという指示なので引いてないけど)、次の日の新聞でも使われていた。多分これまでにも出会ってたんだろうけど、記憶の中に定着してなかったんだと思う。案外良く使われる単語なのね~と思った。
こんな風にGraded Readersの中で使われていて意味を自分なりに推測した単語に、別のところでも出会って、その推測を確かめて行く・・・というプロセスは大切だと思った。
知らない単語がいっぱいある文章だと、その場でその語を推測することができても、結局はきちんと意識の中に定着しないんだと思う。1冊に1つか2つしか知らない語がなければ、こうやって、定着していくんだと思う。

11.
8月17日: Shakespear:His Life & Play (PG4) 1700語: 13000語: 57100語: ☆☆ 10の本で使える単語数が少ないと表現に無理があると思ったけれど、単語数が多いからといって、面白く読める訳でもない、というのもまた真実なり。英語自体は平明なんだけど、著者の「筆運び」が好きじゃない。「論理の運び」が好きじゃない。7の本なんかはたった800語で、とてもクリアにクリスティを描いていた。結局は書き手の質なのね。
シェークスピアについてそれなりに勉強した人が書いているのだとは思うけど、肝心のところで論証が甘かったり、逆説じゃないのに、しかも、文頭に”But”が多用されている。英会話学校で、”but”をあんまり文頭に使わないようにと指導されたこともあり(必ずしも使ってはいけないということはないらしいが)、大文字で始まる”But”に少し神経質になってるというのもある。
「ネイティブの英語に朱を入れてどうする」とも思うけど、「あのさぁ、それを言いたいなら、こんな風に書き直してみたらどう?」と突っ込みを入れたくなり、フラストレーションを感じながら、でも、知識自体は面白い部分もあり、最後まで読んでしまった。筆者は「知識」はそれなりにあるけど(でも、きっと自分の中でよくこなれてないんでしょう)、多分、あんまり頭は良くなさそう。(すみません口が悪くて)

英語快読100万語 (2)まずは小手調べ

まずは小手調べにペンギンのEasystarts(200語レベル)を数冊読んでみました。薄いし、じゃんじゃん読めます。Anita’s Big Day, Kim’s Choice,Billy and theQueenなど。それから、英語を母語とする子どもを対象としたステップ・リーディングのシリーズの一番易しいやつを数冊(これは本屋で5冊ほど立ち読み)。

ちょっと物足りないけど、でも、まあまあ楽しめます。特に英語を母語とする子どもたち向けのものには、色々新しい発見があったりします。簡単そうに見えて、comeとgoの違いなど、なかなか日本人には使い分けが難しいものについての「感覚」などが、「な~るほど」と納得できたり。

しかし、洋書なので、薄っぺらくてもけっこう高い。こりゃあ、いちいち買ってたら財布がもんたんぞ(教育や教養とは買うもんだったりするけど)。たまたま、仕事で使う図書館にペンギン、ケンブリッジ大学出版、オクスフォード大学出版などのシリーズが入っていたので、今後は、借りて読むことにしました。

酒井さんの本にも数冊読んでスラスラ読めるようだったら、先に行ってよろしいとあったので、このレベルは一応「卒業」ということにして、ケンブリッジ大学出版のシリーズ(これは語彙400語レベルから)を読むことにしました。同僚に推薦されたのと、ケンブリッジのシリーズは他の出版社のものより、冊数が少ないので選ぶのが楽というものぐさな理由。あと、日本ではあまり知られてないけど、ケンブリッジ英検っていうイギリスおよびヨーロッパではとても権威のある英語の資格試験があり、多分、ケンブリッジのものだったら、この試験とちょっとは関係あるかなぁ…というのもあります。いずれ、この英検の一番上のヤツを取りたいと思ってるので(このProficiencyというのを持ってると、ヨーロッパ系の外資なんかでの就職ですっごく有利です。イギリス(やオーストラリア・ニュージーランド)の大学・大学院留学でもこれがあれば英語能力の証明になります)。

ということで、私の記録はケンブリッジ大学出版の出しているシリーズの「ステップ1」から始まります。以下の記録は、「読み終わった日」→「タイトル」→「語彙レベル」→「総単語数」(総単語数はSSS英語学習方研究会の出しているCDのパックを買ったらその中にリストがあって、それを参照しています)→「総計」→「私の面白さランク」(そのリストも面白さが☆の数で示してありますが、私自身のランクとは必ずしも一致しない)→「コメント」という順になります。

1.
2003年8月1日(金):John Doe: 400: 4800:4800:☆☆☆: けっこうどきどきした。イギリスに住んでいる時、私もヨークに休暇ででかけたので、親しみがもてた。”Crime Watch”は好き(?)な番組なので、それと同種の” Crime Seek”という番組が使われるのも、リアルにイギリスを感じられてなつかしかった。

2.
2003年8月2日(土):The Big Picture::400:3400:8200:☆☆:主人公の妻 Sachikoの性格描写に説得力がない。まぁ、中心人物じゃないからいいけど。

3.
2003年8月2日(土):Just Like a Movie:400:3400:11600:☆☆☆:途中もドキドキするけど、最後のどんでん返しのサーカズムがイギリスっぽい。

4.
2003年8月2日(土):Help:400:3400:15000:☆☆☆:ちょっとイージーだけど、それなりに楽しめた。

5.
2003年8月3日(日):Apollo’s Gold:800:10000:21600:☆☆☆☆:仕事のしすぎで体調崩し、医者にも上司にも「絶対休暇をとらなくちゃダメ!」と言われてでかけた島で事件に遭遇するんだけど、それにしても、事件はともかく、こういう休暇の取り方はうらやましい。日本人には絶対的に欠けてるものだけど、きっと人生には必要な時間だと思う。

6.
2003年8月3日(日):Double Bass:800:8200:29800:☆☆☆:ダブルバスってコントラバスのこと? 辞書引いちゃいけないって言うから引いてないけど。でも、コントラバスだけじゃなくて、チェロより大きい弦楽器の総体? だって、大きさは色々だっていうから…。これもそれなりにドキドキできます。

英語快読100万語 (1)ものは試し

(2003年7月24日の日記に加筆修正したもの)


今、私が担当している仕事の1つ(他にもいっぱい担当してる仕事はあるの、ぐすん)に関する会議で、英語の教育サーヴィス提供も懸案になっており、その中で、 「英語が読めるようになるにはどうすれば良いか」という話が出ました。TESLと言う、「外国人に英語を教える方法」の研究の中でも、実はリーディングの分野ってとっても遅れているそう。リーディングの上達がどのようなプロセスでなされるか、ということは実は「ブラックボックスなのだ」とさえ言われているそうです。

で、その会議で出た話によれば、「自分の能力より低い(!)ものを多読」するのが重要・・・とのこと。そっか!と、目からウロコが落ちた気がしました。

私は仕事で英語をかなり読まなければならないのですが、どうも読んでる割には上達が感じられないんですよねぇ。それに、仕事を離れてもミステリーなんかもよく読むし、メアリー・ヒギンズ・クラークのものなんかは、出版さているものすべてを英語で読んでます。この会議で検討している方法では、100万語読めば相当読めるよう
になるっていうんだけど、私、メアリー・ヒギンズ・クラークのものだけでも100万語読んでると思うぞ~!

で、「私、ミステリーなんかも良く読むのに、あまり上達感がないんだけど、それって、自分の能力以上のものを読んでるってことかしら?」(辞書なしでも筋は分かるけど、どうも細かいところでよく分かってない)と聞くと、「そうです(きっぱり!)」というお返事。

確かに、日本語が読めるようになったプロセスを考えてみるならば、一方で、読書している時に分からない言葉が出てきたとして、何となく「こういうことかな?」と思って読み進め、何度かその言葉に出会ううちに、「そうだこういうことだ」とその言葉の意味がインプットされていった、というのがあると思います。

他方で、国語の時間に教科書の分からない言葉を辞書でひいてノートに書いていくっていう宿題があって、また、授業の中で細かくテキストを精読する、という作業をする。

結局、この2つが合わさって、日本語の読解能力が身についてきた、と考える時、前者の「乱読」の部分が、英語については圧倒的に欠けているかもしれません。私の場合、量はそれなりに読んでいるけれど、自分の英語能力より「高い」ものを読んでいるので、結局、知らない単語、分からない単語に出会って、文脈から類推したとしても、それが「身についていかない」のだと思います。

で、推薦されている方法としては、グレード分けしてある英語のテキスト(gradedreading)の一番低いところから沢山読む・・・ということ。

最初、この話を聞いた時には、「いまさらなぁ」と抵抗があったんです。たとえ簡単なものでも、「英語の勉強用」のものじゃなくて、実際にイギリス人が読むもの・・・そういうのを読みたいっていうか。(英語を母語とする子どもが英語の読みを習得するためのstep readingのシリーズもあります)

でも、よくよく考えてみれば、実際自分の英語の実力は「不充分」なのだし、その現実を認めてとにかくやってみようかな・・・と思い、何冊か、グレード付きのテキストの1番簡単なのを買ってみました。う~む、良いかもぉ・・・。一番下のグレードだと分からない単語はほとんどないですが、でも、その分、英語の自然な流れとか、そういうのが感じられるかも・・・。

リスニングについて「シャワーをあびるように聞く」、というのがあるけど、読むのも「シャワーをあびるように読む」ってのが大事なのかも・・・。

ま、どうなるかは分かりませんが、しばらくこの方式を続けてみようかな、と思っています。興味のある方、私と一緒にやってみません?

この方法を推賞しているグループのHPがあります。アドレスは以下。
http://www.seg.co.jp/sss/

また、参考文献としては、酒井邦秀『快読100万語! ペーパーバックへの途 』 (ちくま学術文庫)。