英語快読400万語 (13)-多読で学ぶ国際事情

長らく「積読」だったBride Price(OBW5)を、ふと、手にしてみました。読み始めたら一気に読んでしまいました。

ナイジェリアが舞台の小説です。第二次世界大戦後まもない、ナイジェリアにおいて、)女性の置かれていた厳しい状況を初めて知りました。イギリスの植民地支配の「痕跡」が文化的な面で深く残っていることも知りました。

すぐお隣の韓国のことも良く知らないけれど(>韓流ドラマはけっこう見るんだけど)、アフリカとなると、さらに知らない。「白地図に国名を埋めなさい」と言われたら、ほぼお手上げ状態。(>私はそれでなくても地理がとても苦手)

それぞれの国の特徴や事情となったら、もう、それこそ、全くの無知!です。

この本を読み終わって、同じく長らく「積読」だった、Burned Aliveも読んでみようかな?という気になり、こちらも、読み始めたら一気に読んでしまいました。こちらは、第二次世界大戦後のヨルダン川西岸のお話で、ノン・フィクション。

女性たちは、胸が苦しくなるような閉塞された状況にあります。男たちは女(>妻・娘)に暴力をふるい放題。「女を殴ってなにがそんなに楽しいんだろう」と思うけれど、それが「当たり前」の社会。

女性の地位や権利が認められないパレスチナの農村で、主人公はコミュニティの「掟」を破ったために、「生きたまま焼かれる」のです。「名誉殺人」ってやつです。

たまたま、彼女は病院に運ばれ、スイス人の国際NGOの人に助けられて、ヨーロッパで新しい生活を始めます。しかし、家族や親戚が殺しに来るかもしれないので、アイデンティティはぼかして書いてあります。

すさまじく閉塞された社会が、まだまだこの地球上に残っているんですね。アルカイダ支配下のアフガニスタンを舞台にした子ども向け小説を読みましたが、その中でも女性や少女がひどい目に合っている様子が生々しく書かれていました。

教育を受けることも出来、自由にモノが言える・・・それだけでも、本当に恵まれています。バレエを習ったり、多読を楽しんだり・・・本当に幸せなことです。

でも、「世の中には大変な目に遭ってる女性がいっぱいいるのね。私はそうでなくて良かった」と「他人事」にしてしまうのは、きっととてもいけないことなんだと思います。

自分に何が出来るのか???と思うと、よく分からないんだけれど、とりあえずはそういうことがあるんだということを「知ること」も大事なことだし、そういうことを「知ってる人」が増えることも、なにがしかの「力」にはなると信じて、多読の中に、こういう社会派のものも入れて行こうと思っています。

ここまでの総語数は、827496語。

56.2005年11月20日:Bride Price:OBW5:20000語:☆☆☆☆☆:イギリスの植民地であったナイジェリアでは、白人の習慣と現地の習慣が混在しいていたみたい。その辺りの事情も興味深かった。娘が結婚する時、父親は「金」をもらえる。これはインドなどの「ダウリー」みたいに娘の側が「金」をつけて結婚させる、というのと違っている。その点もまた興味深い。ナイジェリアにおいては恋愛などはご法度。また、そうではあるが、略奪婚のような風習も残っていたりする。ナイジェリアの黒人の間に元自由人、元奴隷の家系という差別構造も残っており、そういう事情を知ったのも初めてであった。いろいろな国にいろいろな事情があるんだなぁと思った。

57.2005年11月27日:Burned Alive :PB:61000語:☆☆☆☆☆:私、何人かパレスチナ人を知っているけれど、みんな頭が良くてスマートな感じなので、最初、パレスチナ人の集落でこのようなことが起こっていたっていうのがとても信じられなかった。留学中、よく一緒に子どもを遊ばせながらおしゃべりしたパレスチナ人女性は、美しく、聡明で、洗練された女性だった。彼女は、遅れた農村部の公衆衛生の向上という使命に燃えていたけれど、それって、こういう実情があったんだろうか。くしくも、ヨルダン川西岸から来た女性で、イスラエルの占領下にあるためになかなか自由に電話もひかせてもらえないこと、手紙を検閲されることなどを私は彼女に聞かされて知った。彼女の娘もとても強く賢い子だった(>まだ2歳半くらいだったけど)。彼女はきっとパレスチナの指導者になるよ、なんて、私はよく言ったものだった。農村部の、こんなすごい実情は何も知らずに。当時、多読をやって、この本を読んでいたらなぁ。彼女ともっといろいろなこと話せたろうに。

58.2005年12月6日:ORT5(18) ORT5:50080語:☆☆☆☆:Qと一度読んだというのもあるのかもしれないけど、LLLよりもスムーズに読める感じ。なんでかな?

59.2005年12月10日:ORT5(18) OBW4:108540語:☆☆☆:なんか今ひとつ分からない部分もあったんだけど、あとで書評を見たら、GRには珍しく俗語が多いとあり、グロサリーを見てから読むことが勧めてあった。再読してみようっと。

60.2005年12月10日:ORT4(17冊除The Play): ORT4:2561語:☆☆☆☆:ORTの中には日常良く使われる表現だけど、外国人として英語を勉強してきた者にはなじみの少ない表現がいっぱいある。そういうのにちょっとずつ慣れて行くと足腰が強い英語が身につく感じがする。

61.2005年12月10日:ORT6&7(9冊除The Treasure Chest): ORT4:6328語:☆☆☆☆:上に同じ。

62. 2005年12月10日:The Scarlet Letter: PG2: 8200語:☆☆☆(+):ちょっと訳あって、ビデオを見たのだけれど、OBWで読んだ話とずいぶんと違うなぁと思って、PGRのやつを読み返してみた。同じものを違うリトールド版で読むのというのはなかなか面白い。

英語快読400万語 (12)-LLLがダメならORTがあるさ!

LLLを「捨てた」ことは、案外、心理的に響いていたみたいで、なんとなーく挫折感があって多読が進まない状態が続いていた。「400万語はLLLで英語の足腰を強くするぞ!」って、かなり張り切ってスタートしたので。

ちょうどこの頃、ポリープが発見されてそれを取ったりして(>生活に制限が加わったのはたった2週間でどってことなかったのだが)、その組織検査の結果待ちだったり、どよよーんとした気分で過ごしていた、というのもあるだろう。そもそも「病院に行く」という行為自体がとっても疲れるし・・・。

組織検査の結果はシロではあったが、「放っておけばいずれガンに発展した可能性を含むタイプ」のポリープであったらしく、本当に幸運な命拾いをしたのであった。

そんなこんなで、なんとなく気持ちの晴れない日々を送っていたのだが、ある日、「LLLがダメなら、ORTを読めばいいぢゃん!」と思った。

ORTは「親子で多読」でQと一緒に読んでいる。でも、全巻は読んでない。(>買ってない)

幸い、職場にORTがあるので(>そもそも私が多読を始めたキッカケは職場の教育サーヴィスの一環として多読の導入が検討されていたからであった。私は直接の関係者ではないのだが)、その意味では、SSSの言う「恵まれた環境にある人」である。

読み始めてみると、やっぱり私はORT派なのかも・・・と思った。こっちの方が絵が可愛くて、絵に遊びがあって好きだし、Qと一緒に歩んで来た道をしみじみと振り返ってなつかしむことも出来る。あぁ、ここでQはこんなことを言ったなぁ・・・などと、思い出されて感慨深い。

ここまでの総語数、713545語。

49.2005年10月30日:ORT1(18冊):ORT1:126語:☆☆☆☆:やっぱり、私、ORTの方が好きかも。絵が可愛いしほのぼのしている。Qとは読まなかった本文が絵だけのものも含め18冊読破(?)。

50.2005年11月4日:Sally’s Phone:OBW0:1300語:☆☆☆☆:短いけれどなかなか楽しめる。これがストーリーとして成立するということはイギリスにもサリーみたいに「男の好みに合わせる」恋愛する女の人も多いってことなのかな?

51.2005年11月9日:Surprise:IRB3:1242語:☆☆:詩の本。詩って私には難しい。

52.2005年11月9日:George, the Drummer Boy :IRB3:1022語:☆☆☆:アメリカ独立戦争を、アメリカ駐在のイギリス兵の側から見たもの。IRC3には、このようにアメリカ史を複眼的に理解させようというものが数多く含まれている。最後のところに、同じ歴史を勝者・敗者の側から見て、一致することもあれば、異なることもある、というようなことが書かれている。アメリカ史でも、独立戦争は「アメリカ側」から描かれることが多いはず。そこをあえて、イギリス兵側から書いたところがとても教育的かも。ストーリーとしての質やディテールの描きこみはいまひとつだけど。

53.2005年11月13日:ORT1+(12冊):Stories&A:ORT1+: 510語:サクサクサク。

54.2005年11月15日:ORT2(18冊):Stories&A&B:ORT2: 1089語:サクサクサク。

55.2005年11月17日:ORT3(18冊):Stories&A&B:ORT1+: 1389語:サクサクサク。

英語快読400万語 (11)-同じ作品を異なるGRで読む楽しみ

PGR3で読んだSense and SensibilityをOBW5で読んでみた(>47)。同じ作品を異なったGRで読むっていうのも、これまた面白いかもしれない。

PGR3のバージョンを読んだ後に、この作品の映画化されたものである「いつか晴れた日に」を借りてきて見た。エマ・トンプソンがまだ10代の役をやるのは、なんぼなんでも無理があるなぁ・・・なんてのも、こうやってGRを読んだ後だと余計に生々しく感じたりする。

まぁ、この映画自体はとても良く出来た映画だと思うけれど。借りたDVDの中に、この作品が賞を取った時にエマ・トンプソンがジェーン・オースティン風の英語で挨拶してバカ受けしていた。

ここまでの総語数、706367語。

45.2005年9月20日:Draemon 7:マンガ:5000語:☆☆☆☆:ちょっと息抜きと語数稼ぎ。

46.2005年9月24日:Three Short Stories of Sherlock Holmes :PGR2:9500語:☆☆☆☆:多読をやってるレッスンメイトはシャーロック・ホームズを原書で読んでみたけれど、けっこう読みにくかったって言ってました。昔の英語だからかな? いずれ私も原書で読んでみたいな。

48.2005年10月4日:Sense and Sensibility: OBW5:24500語:☆☆☆☆☆:同じ作品のリトールドを違う版で読むのもまたおもしろい。いやー、18世紀末くらいの結婚って、ちょうど「恋愛結婚」というか、ロマンティックラブ・イデオロギー誕生の頃っていうか、「愛情とお金」の問題のせめぎあいという「新しい」問題の始まりの時なのかしらね。まぁ、ジェーン・オースティンが「お金」にうるさい女だったというのも逆にあるのかもしれないが。なにしろ『ジェーン・オースティンとお金』っていう本があるんだって。

48.2005年10月20日:The Diamond Girls:児童書:55000語:☆☆☆☆☆:ジャクリーヌ・ウィルソンの新作。それぞれ父親の違う4人姉妹と母親の(貧しい)母子家庭に男の子が産まれることになった。母親は占いに凝っていて、占いに従い「引っ越す!」と言う。そこからドタバタといろいろなことが起こる。引越し先の隣の家はお金のある家だが、どうも母親が娘を虐待している模様。その子と仲良くなった主人公はそのことで心を痛める。「家庭」という閉塞された空間が悲劇の場に転じた時、その中に閉ざされた弱者の苦痛は痛ましい。印象に残ったのは、イギリスでは、こんな風に次々と別の子どもを産む母親とその「大」家族が、政府からの「手当て」で生きていけるということ。イギリスの母子家庭への給付はその昔、「母親は家にいるべき」という考え方から、「母親が働かなくても子育てできる」額に設定されたと聞く。母親のほぼ100パーセントが働いている(>働かなければ食べていけない)日本の母子家庭とは、大きく異なっている。この母親も、今は出産直前直後なので仕事のことは出てこないけれど、妊娠前も働いてた様子はないし、その後も働く気はなさそう。日英母子家庭比較論としても興味深い一冊。