英語快読500万語 (9)―バレエで多読

「私色の多読」を目指して、バレエ物を多く読もうと思っている。しかし、バレエ物を読むと、けっこう切なくなる。バレエを目指す子どもたちの人生が、凡人の目にはあまりに過酷だからだ。

職業としてダンサーを目指すためには、とくにクラッシックの場合だと、すでにローティーンの頃から「プロ意識」が必要とされる。イギリスで子供向けのバレエ雑誌を読んだことがあるが、プロ養成のシステムの確立した国、プロが食っていける国ならではの内容だ。ちょっとびっくりする。

クラッシックのダンサーは16、17、18歳くらいからプロとして舞台に立つ。中にはプリセツカヤのように70歳超えても踊る人もいるけれど、普通は40歳前後まで踊れれば御の字っていう感じだろう。パリ・オペラ座でも女性ダンサーの定年は40歳だという。

デビュー前にはひととおりの「職業訓練」が終わってなければならないことを考えると、10代は非常にインテンシブにその訓練をする時期だ。12~13歳の子が、「職業人」としてかなり成熟した意識を持っている。

一生を通して、そんな「職業意識」を持たずにのほほんと生きている大人も多い中、それは痛々しいくらいだ。

A Dance of Sisters(56の文献)という本を、SSSの掲示板で知って読んだ。胸が詰まる。

この話、バレエをある程度(>かなり?)知っている人が書いているのだと思われるけれど、舞台設定が悲しすぎ。

一体何を狙って書いているのだろうか。プロになるなら教師を選ばないと!っていう教訓? 

舞台はロシア人教師の経営するそれなりに水準の高いバレエ学校なんだけど、このバレエ教師の「言葉」によって主人公は追い詰められ自分を見失って行く。本当に優れた教師なら、こんな言葉ははかないだろう、と思ったりもするが、案外こういう教師は多いのかもしれない、と思ったりもする。

これって、けっこうリアルな世界なのかもしれないなぁと思ったりするととても恐い。

バレエの世界って、かなり「異常」な部分もある。平気で拒食症にかかった人なんかが登場していて、でも、この拒食症にかかった2人の生徒を、ロシア人の教師は、「そこまでバレエにかけてる」っていうことで案外可愛がったりしている。体重コントロールについての指導もかなりむちゃくちゃで、優秀な教師なら絶対にこんなことは言わないだろうけれど、でも、案外、方法は指示しないで「もうちょっと痩せなさいよ!」という先生は多いかもしれない。

この話の舞台はアメリカだけど、ダンサーというのが職業として確立しているからこそ、「痩せなさいよ!」という言葉も、ローティーンの子たちは重く受け止めてしまう。先生の言うとおりに痩せなければ、プロとして仕事の斡旋を受けられないかもしれない。

ここのバレエ学校では、プロになる直前まで生徒を手元に置いておきたがる。勝手にオーディションなどを受けると、その子は「いなかったこと」になってしまう。その代わり、能力があり、教師のプログラムに従って訓練を続ければ、あちこちのバレエ団に口をきいてくれる。

この辺りは、単に「先生に気に入られたい」というような「気持ち」の問題じゃなくて、キャリアの問題が関わってくるので、先生の一言というのも、生徒たちは重く受け止めてしまう。

まぁ、本当に才能のある人、本当にバレエを愛している人たちは、こんなことしないのかもしれないのだけれど、中途半端に才能のある人たちの「人の輪」の中に入ってしまうと、そこは、蟻地獄みたいな世界かもしれない。

バレエってけっこう恐いかも・・・。

ささいなつっこみだけど、この著者、ポアント(>ギャンバ)の底にある、X,XX,XXXを職人のマークと書いているけれど、これ「足幅」(>ワイズ)だよねぇ。

ここまでの総語数、928163語。

56.2006年7月3日:A Dance of Sisters :児童書: 40820語:☆☆☆☆☆:ジャクリーヌ・ウィルソンとは違う意味で胸がつまる話。バレリーナを目指す女の子たちは、10代はじめのころから「職業人」としての意識を持つ。彼女たちのキャリアは17、18歳くらいから始まる訳で、その前に職業人としての「訓練」をすませておく必要があるのだ。しかも、この訓練は生半可なものではない。

57.2006年7月4日:Hello Reader3(4冊) :SR3: 534語:☆☆☆☆:Floffy and the Fire Fighters, Growl! A Book About Bears, Friends Forever, Howl! A Bool About Wolvesの4冊。自然科学物はこういう子ども向けのもので慣れていかないと、単語が身につかないかも。

58.2006年7月4日:The Pit and the Pendulam and Other Stories :OBW2: 5000語:☆☆☆☆☆:ポーの作品。一気に読める。かなり恐い。新刊で単語数が分からないので一応5000語にしておく。

59.2006年7月4日:Starlight Ballerina :児童書: 300語:☆☆☆☆☆:光モノの入った絵がきれい。かなり低年齢の子ども向けの本だけど、でもバレエの厳しさ、その中でのダンサーの孤独が描かれている。

60.2006年7月5日:A History of Britain :PGR3: 8500語:☆☆☆☆☆:イギリスの歴史がコンパクトに分かりやすくまとまっています。でも、必ずしも「通りいっぺん」じゃないです。

61.2006年7月6日:Margot Fontayn: Prima Ballerina Assoluta of the Royal Ballet :一般書: 2000語:☆☆☆☆☆:フォンテンの写真集。多分、ロイヤル・バレエの関係のエキジビションがあったと思われます。その展示物と解説を本にまとめたもの? 著者はロイヤルの学芸員だそうです。フォンテンは、本当に雰囲気のあるバレリーナだと思います。マカロワが、「フォンテンについてテクニックが弱いと言う人がいるけれど、そんなことはない。彼女のテクニックは完璧だった。どんなに難しい技術でも、軽々とやっているように見えるのが本当の技術」というようなことを書いていたのを思い出します。

62.2006年7月6日:Washington D.C. :OFF1:3500語:☆☆☆☆: A Dance of Sistersの舞台がワシントンだったので読んでみました。ワシントンは昔仕事でちょこっとだけ行ったことがあります。スミソニアン博物館なんかをもっとゆっくり見てみたかったなぁ。

63.2006年7月7日:Alice’s Adventure in Wonderland :OBW2:54500語:☆☆☆☆: 『不思議の国のアリス』のリトールド。オリジナルは「言葉遊び」が難しいとも聞く。これを読んでみて、ディズニー映画は案外原作に忠実に作ってあるのかも、と思った。
 
64.2006年7月8日:About a Boy :PGR4: : 21316語:☆☆☆☆☆: PGR4なのに、するするする~っと読めてしまった。PGR1や2でももっと読みにくいのもいっぱいある。英語の難易度って、個人によって感じ方が違ったりするので、なかなかにはかりにくいものかも。これは映画を見たことがある。

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