本の好みは人それぞれだと思うのだが、OBW3とCER6を比べると、私の場合、CER6の方がラクに読み進めるかも・…。というのは、英語レベルの問題というより、ストーリー展開の「好み」なのだと思う。
CER6はストーリーに引かれてぐいぐいと読める。OBW3はもちろん面白くないことはないのだが、CER6のようなスピード感がない。英語自体のスピード感っていうか…。
私には英語の良し悪しを論じる力などはないのだが、多分、英語自体もCERの英語が好きなんだと思う。
「違いは何か?」と問われれば、答えることは出来ないのだが…。
私にとっては、CERの英語はす~っと入っていける英語だがOBW3の英語は私にはゴツゴツとひっかかりのある英語・・というか。まぁ、それでもPGRのシリーズよりは、OBWの方がずっと好きだし、OBWの中でもTim Vicaryのものはすごく好きだ。多分、リトールド物の英語に「ひっかかり」を感じるのかなぁ…。
日本語だったら、ある程度、「文体」の好みっていうのを語れるのだけれど、英語の場合は、出会う度、読む度に「あ、これは好き」とか「あ、これは読みやすい」とか、逆に「あれ? なんか読みにくいなぁ」とか、1回ごとに「感じる」ことしか出来ない。
英語における「文体」というものが分かっていない。
ま、難しいことは専門家に任せておいて、私は自分にとって読みやすいもの、面白いものを探してずんずん読んで行けばいいんだけどね。
58.2004年12月20日:On the Edge::OBW3:レベル3:11000語:701310語:
☆☆☆☆:主人公は何物かに誘拐された。意識を失っていたけれど、目覚めると、そこは自分の家ではない。自分の髪の色がもとの色と違っているし、自分の両親だという「見知らぬ」大人がいる。自分は誰なんだ? 僕の名前はこんな名前じゃなかったはず? でも、やっぱり僕は「見知らぬ」両親の言うとおりの彼らの子? 主人公のアイデンティティはだんだん揺らいでいく。ミステリーとしても楽しめるし、「アイデンティティのもろさ」というような哲学的テーマを考える書物としても楽しめるかも…。
59.2004年12月23日:The Last Sherlock Homes Story:OBW3:レベル3:11000語:
712310語:☆☆☆☆:イギリス犯罪史上最大の犯罪ともいえる切り裂きジャックによる連続殺人事件にホームズが挑む。これはドイルの作品ではなくて、別の人が1970年代に書いたもの。ワトスンが残した記録が彼の死後発見された、という形で書かれている。
60.2004年12月27日:The Crown of Violet:OBW3:レベル3:11069語:723379語:
☆☆☆☆:直接民主主義時代のアテネが舞台。書き手はなかなかにフェミニストな視点もあり、「市民」の中に「女性」が含まれてはおらず、女性の行動がさまざまに制限されていたことへの問題意識が作品を貫いている。ソクラテスその人が登場人物に出てきたりして、当時のアテネの雰囲気が生き生きと感じられる。
61. 12月28日:Love Story:OBW3:レベル3:8594語:731973語:☆☆☆:大変若い
頃に映画見たことがあります。その時はあんまり感じなかったけれど、これって「フェミニズムの第二の波」を準備することになったような状況? つまり、大学って「相手を見つける」ところになってて、女性の方は学業をやめてバイトで彼を支え、卒業と同時に「ジューン・ブライド」になるのが女の子の一つの「コース」となっていた・・というような状況。(このあたりの事情については、岩男寿美子他『女性学事始め』(講談社現代新書)をご参照下さい。ちょっと古い本ですが) アメリカ的にはOKなのかもしれないけれど、主人公の女の子のちょっと「意地悪っぽい」物言いが気になる。お金持ちのおぼっちゃまにはそれが新鮮だったのかもしれないけど。
62. 2004年12月29日:Robinson Crusoe :OBW2:レベル2:7300語:739273語:☆☆☆
(+):実は、『ロビンソン・クルーソー』は私の専門分野で昔から良く言及される素材だったりはします。私の属する(>あんまり自覚もないのだが。まぁ、先生筋をたどっていくと…ということで)「学派」(>今やその勢力は壊滅状態ともいえるが)の祖も、『ロビンソン・クルーソー』についてその著作の中で何度も言及されております。最近はポスト・コロニアルな状況の中で、「フライデーの位置付けってどうよ!」という研究も盛んなようであり、私の属する学派の祖は批判されたりもしております。