剣道と私 (7)―試合

私の剣道もだんだん上達し、同学年の経験者や上級生から誉めてもらうことも多くなった。いろいろな駆け引きや、スキを見つけて打ち込むのは、面白い。

1年生の2学期も終わりに近くなる頃から試合にも出してもらえるようになった。

ところが、これが勝てない!!!!

まぁ、始めて1年も経ってないなんだから、勝てなくて当たり前なんだけど。

2年になって、5月頃にインタハイの予選があった。その頃には、最初4人いた女子が2人になっていた。上の学年に女子がいなかったので、インタハイの予選には女子の部は私ともう一人が出た。男子は2年の部長ともう一人。4人で予選に行った。

部長じゃない方の子に「お前さぁ、練習の時は強いんだから、練習と同じにやれよ。そしたら絶対勝てるはずなんだから」と言われて、「普段と同じ、普段と同じ」と思ってやってみた。

そしたら、4回戦まで進出してしまった。あともう1-2回(>ってここから勝つのは難しいんだろうけれど)勝てればインタハイに出られたんだけど。

そこから先は、いろいろな練習試合があったけれど、面白いように勝てるようになった。私立の強豪校の子には勝てないけれど、普通の公立高校で同じような条件でやってる子にはたいてい勝てる。

まぁ、波もあったけど。

後に、大学に入って、全日本で何度も優勝している方の指導を受ける機会があったのだが、その方は、「強くなるコツは勝つこと」とおっしゃってた。「勝つごとに勝つコツが分かっていく」と。

試合は面白い。私は試合が好きだった。勝てるようになったからっていうのもあるけれど。

あの緊張感と高揚感がたまらない。

私の高校は進学校だったので、部活は2年の夏で終わり。なので、実質1年半の部活だった。

いつ取ったんだったか忘れたが、2年生のいつだったかに初段も取った。

剣道と私 (6)―夏合宿

暑い最中、夏合宿があった。4泊5日だったか5泊6日だったか、けっこう長い。私の高校には同窓会の建てた会館があり、そこに宿泊出来るようになっている。

朝は6時頃からラジオ体操があり、その後、近くの公園まで走る。往復6kmくらいかな? それが終わると朝食。ちょっと休んで午前中の練習。昼食を食べて、しばらく休む。疲れているので眠ってしまうことが多い。3時くらいから午後の練習。夕食。入浴。みんなでおしゃべりしたりして、就寝。

合宿くらいから、ただ打ち込むだけじゃなくて、懸かり稽古(>相手が隙を作ってくれたところに打ち込む)や地稽古(試合形式の稽古)も始まった。ゲーム性が出てきて、ちょっと面白くなってきた。

相変わらず、打ち込まれると痛いんだけど、上手な人だと打ち込まれてもそんなに痛くないことも分かってきた。でも、上手な人も「はずす」ことがあるので、そういう時は、肘や脇にアザが出来る。(>防具がないところを打たれると上手な人でもとっても痛い)

でも、打ち込んでそれが「当たり!」のところに決まるとすごーく気持ちいい。

懸かり稽古や地稽古で動きが激しくなってきたら、今度は足の裏の皮がむけるようになって、これもちょっと「盲点」であった。

うーん、剣道って、「痛いスポーツ」だったのね!!!!

いろいろと、思ってもみなかった、「うそ!!!!」ということはあったのだが、でも、やっぱり面白さもあって、私はだんだん剣道にはまって行ったのだった。

剣道と私 (5)―恐怖の夏休み!

夏休みからは、いよいよ、防具をつけて、稽古をすることになった。わーい!!!

ところが!!!!

防具をつけて、「打つ」ばっかじゃなくて、自分も「打たれる」ことになってみたら、これが痛いのよ!!!!

知らなかった!!!

知ってろよ!!!って感じだが。

剣道は、打つ瞬間に、雑巾を絞るように竹刀を握っている手を絞り込む。ところが、1年生の初心者はこれが出来ていない。なので、1年生だけで、互いに「打ち込み」の練習をすると、すっごーく痛い!!!!

これ、上手な人だと、打ち込まれてもここまで痛くないんだが、上手な人たちは上手な人ち同士で練習する必要もあるし、上手な人は私たちとやる時は「打たれ役」に回って、私たちを「打ち込み台」にしないので、上手な人ならこんなに痛くないっていう「比較」もする機会がない。

そして、防具が臭い!!!!

これも、知ってろよ!!!という感じだが、私は、剣道って、なんか「さわやかで清潔」なイメージがあったのだ。

高校に入って運動するなら武道かな?と思った時、「柔道ってなんか不潔そうだし」と思ったのだが、柔道の方がよっぽど清潔。だって、防具って、肌に直接触れてるのに洗濯しないんだよぉ!!!! 柔道の方がずーっと清潔!

という訳で、夏休みの練習は、毎回、「あぁぁぁ、なんで剣道部なんかに入っちゃったのかなぁ」と思い、とりあえずはバスに乗るのだが、バスに乗っている間中ずーっと、「このバス降りたら帰ろう」と思っている。でも、やっぱり乗り換えて次のバスに乗ってしまう。で、「このバス降りたら今度こそ帰るぞ!」と思うのに、やっぱり行ってしまう。

学校について更衣室に行く。着替えないで帰ろうと思うのに、着替えてしまう。体育館に行く前に帰ろうと思うのに行ってしまう。防具をつけてる間も、この防具つけたら、「やっぱり帰りますって言おう」と、思うのだが、立ち上がって練習に入ってしまう。

打たれて痛いのはイヤ!!!!っていうのはあったのだけれど、でも、それでも、すでになにがしかの剣道の面白さというものにはまっていたのかもしれない。

剣道と私 (4)―剣道部に入部!

そんな訳で、高校入学と同時に剣道部に入った。

すでに中学までに剣道の経験のある者は防具をつけて稽古に入っていたが、私を含め、7-8人の初心者は、2年生が、基礎から練習を見てくれた。

まずは素振り。それからすり足(>剣道は足を地面から離さずにすって歩くのです)の練習。先輩がかかげてくれている竹刀を打ち込む練習。防具を着けて、練習台になってくれる先輩の面やら小手やらを打ち込む練習。

先輩たちも親切で、それなりに楽しくやっていた。剣道部に入って正解だったかも!

剣道と私 (3)―T先生の一言

私が、運動と無縁な生活から、運動部に入る「勇気」が持てたのには、もうひとつ大きな契機がある。

それは体育のT先生の一言だ。

私が、「出来ない」「苦手だ」と思い込んで、「思い切り」やってないのを見抜いたT先生が、マット運動の時だったか何だったか、ちょっと補助して下さって「ほら、出来るじゃない。あなたは本当は出来るのよ。出来ないって思い込んでいるだけ」と言って下さったのだ。

「出来ないって思い込んでいるだけ」・・・。そうなのかぁ、私の「運動苦手」は「思い込み」だったのかぁ・・・。

T先生にとっては、教師としての日常的な一言に過ぎなかったかもしれないんだけど、私にとっては、人生を変えた一言だったなぁと思う。

数年前に中学の同期会があり、その時、T先生とお会いすることが出来て、このことのお礼を言うことが出来た。T先生は何と!「大人のバレエ」をやってらっしゃり、そのことでも話がはずんだ。

このT先生の一言があってから、私は、「出来ないって決めつけないでやってみよう」と思うようになった。

剣道と私 (2)―キャリアを持つには・・・

私は、小さい頃、身体が弱かった。大きな病気で入院して「あきらめてください」みたいなことを言われたこともあるらしい。

で、これまた、今思うと、本当にそんなに弱かったんかぁ???と思ったりするが、「身体が弱かった」と言い聞かされて育ってきた。

たしかに、ちょっと弱い所はあり、特に扁桃腺が弱かったので、冬には高熱を出す風邪を引くことが多かった。胃腸も弱く、今でこそ、ベン○、下○なんてものは、ほとんど無縁だが、ペン○にもなりやすく、またお腹も壊しやすかった。

高校受験が近くなると、多少は将来のことも考えるようになる。当時の私は、将来何か仕事に就きたいと思っていた。ハッキリとした考え、シッカリとした考えはなかったのだけれど。

しかし、私は自分の体力が心配であった。「お前は身体が弱い」と言われて育ってきたので、こんな身体で将来仕事が出来るのだろうか・・・と思ったのだ。自分自身、自分の身体の「芯」のところでの弱さは自覚しており、今よりずっと女に厳しい当時にあって、この世の中を渡り歩いていくには「まず、体力」と思ったのだ。

で、高校に入ったら、なにか運動部をやろうと心に決めた。自分の将来を切り拓くには、まずは身体を鍛えなくちゃ!!!と思ったのだ。

運動能力に自信がなかったので、団体競技は他人に迷惑がかかるし、即消去。

テニスや卓球もちっとは考えたが、ボールゲームは自分には無理そうな気がした。

剣道だったら、そんなに運動神経必要なさそうだし(>と当時の私には思えた。実際そういう面もある)・・・激しくなさそうだし(>けっこうきつかったりもする)・・・個人競技だから、みんなに迷惑かからないし(>って団体戦ってのもあったのだけどね)・・・それに、曽祖父が剣道の先生だったってことは他の物よりは少しは素質もあるかしれないし(>って、他に何も出来るこがなかったので剣道の先生してただけだけど)・・・これなら私にも出来るかも・・・。

中学の頃、仲の良かったN君という男の子が(>付き合っていた訳ではない)剣道やってて、剣道の魅力をよく聞かされた、というのもあるかもしれない。

で、高校に入学して、思い切って剣道部に入った。

これは、私にとっては、人生における「革命」であったかも。自分的には、「最も向かない」分野に飛び込むことだったので。

剣道と私 (1)―運動音痴

私は子どもの頃、運動が苦手だった。

・・・というより、そう「思い込んで」いた。

生まれた頃、私は、母の実家に住んでいた。女の子の初孫だったこともあり、また同居している唯一の孫ということもあり、祖父母がめちゃくちゃ可愛がってくれた。未婚の叔父、叔母も同居しており、この叔父、叔母からも可愛がられた。

母が勤めていたので、昼間は祖父母が面倒を見てくれた。預かった孫にケガでもさせたら大変・・・と、私は、大事に大事に育てられたのは良かったのだが、危ないことはさせてもらえず、結果、同じ年頃の子どもに比べ、運動能力が低かった。

着物姿が可愛いと、着物を着せられていることも多く、それだと動きにくかったので、運動神経が育たなかったんだよ、ともよく言われた。

「女の子だから」というので、「運動が出来ないというのも可愛い」と思ったのか、「Q母は○歳になっても△も出来なかったんだよ」みたいに繰り返し繰り返し言われて、私は、自分には運動能力というものがないと思っていた。

なので、体育は苦手であった。というより、苦手であると思い込んでいたため、いろいろなことを「思い切り」やるということがなかった。体育は「思い切り」やらなければ、出来ないことばかりなのに。

とは言え、今客観的に振り返って見れば、実のところは運動能力が全くペケという訳ではなかったようで、徒競争なんかは、まぁまぁだったし、鉄棒も跳び箱もボールゲームも、そこそこにはこなしていた。

今思えば、客観的には、そこそここなしていたのに、自分の「意識」だけが「苦手」だった。

なので、運動部に入るなんていうのは、あんまり考えたことがなかった。

それでも、剣道にはなぜか興味はあったようで、中学の時、ちょっとだけ心を動かされた。

私の母方の曽祖父は、武士だったので明治維新で食い詰め、しかも幕府側だったので冷や飯状態で、まともな仕事には就けず、仕方なく剣道の先生をしてようやく糊口をしのいでいた。祖父も剣道が強かったという話を聞かされていたり、伯父も剣道が強かったりというのがあって、剣道というのは、なんとなく、私には親しみを感じる世界だったのだ。

なのだけど、私の中学の剣道部は、裸足で!学校の外をマラソンする、というのをやっていて、私はそれに「うぇー!!!」となってしまって、入らなかったの。あれが靴を履いてのマラソンだったら入っていたかも・・・。

惜しいことをした、と思っている。

私の中学の剣道部の顧問はそうとう強い人だったので、あそこで始めていれば、まだ女子剣道がそれほどは盛んでなかった頃だし、けっこう上まで行けたんじゃないかなぁと思うの。ちっ!!

イギリスでびっくり (17)-ソーセージ・サンドウィッチ

イギリスには、日本で言えば、多分、定食屋に近いような「昔ながらの」カフェがある。コーヒーや紅茶だけを飲むのもOK。サンドウィッチのような冷たい食事もあるけど、「ハンバーガーとチップス」とか、「オムレツとチップス」というような暖かい食事があるのが特徴かな?

大きめのテーブルと安っぽいビニール張りのソファーみたいなのが置いてある。全然おしゃれじゃなくて質実剛健!という感じ。

でも、おしゃれなハイ・ストリートのカフェとは違った温かさと庶民性がある。

で、そういう「昔ながらの」カフェに入って、メニューにあった「ソーセージ・サンドウィッチ」というのを頼んだことがある。

私の頭にあったのは、ハムと同じノリで薄切りになった直径の大きなソーセージとレタスか何かがはさんであるサンドウィッチ。

でも、出てきたのは!!!

イギリスの朝食に出てくるソーセージ(>フランクフルトくらいの大きさだけど、もっと柔らかい)を、朝食同様にソテーしたものを縦半分に切ったものを焼いてないパンに敷き詰めて挟んだだけの、超野蛮なもの。

えっ!!!!!

という感じ。

しかし、これ、イギリス人には、「おにぎり」みたいなものなのかも。あるいは、お茶漬けとか?

子どもの小説なんかで「ベーコン・サンドウィッチ」っていうのがよく出てくるけど、ベーコンをジュウジュウ焼いてパンにはさむっていうもの。

イギリス人にとっては、万能薬みたいな食べ物らしく、「気分が落ち込んでたけど、これで元気が出る!」「すっごく疲れちゃった。ベーコン・サンドウィッチでも食べないとやってられない」っていうタイプの食べ物らしい。

ベーコンの焼ける香りをかいでいるあいだに、だんだん神経が休まってくるらしい。

うーん。

まぁ、これさえ食べれば元気になる!っていう国民的食べ物があるのは、きっといいことよね。

イギリスでびっくり (16)-スポーツクラブのプールにオフィーリアが?

イギリスに滞在中は時々スポーツクラブでヨガやピラーティスのクラスに出て、運動不足を解消する。ロンドンだとバレエも出来るんだけど、地方だと「大人のバレエ」はとっても不自由なの。

いつも行くスポーツクラブには、かなり立派なプールがある。スイミングもやろうかなぁと思いつつ、なかなか手が出ない。

クラスが始まる前に、プールで泳ぐ人々をなんとなくぼーっと眺めていることが多い。

日本では、プールで「帽子をかぶること」が「義務化」のようになっているところが多い。(>のではないかと思う)

でもね、ここのプールでは、帽子かぶってる人の方が少数。

でね、びっくりしたのは、ロングヘアーの人が髪をまとめることもせずに泳いでるの。頭を水につけるたびに、髪の毛がふわ~、ふわ~と円形に広がる。

うーん、なんか、オフィーリアの入水自殺のようだ。

私、むかーし、漫画で「ハムレット」を読んだことがあるんだけど、オフィーリアが死んじゃうとこで、水の中に髪の毛がふわーっと広がった絵があって、なんか、それが想起されるんだよね。

あんまり衛生的じゃないなぁ。このプールの水を飲むのはちょっとイヤかも・・・。(>泳いでると少しは飲んじゃうし)

イギリスのプールの水の衛生度が低いってのが、何年か前にニュースになってたしなぁ。

でも、みなさん、自己流で気持ちよさそうにのーんびり泳いでいて、それにはなかなか好感が持てる。そうだよね、形が変でも、トロトロしてても、水に浮くのはそれだけで気持ちいいもんね。

日本でプールに行くと、みんなもっと「きれいな形」で泳いでいる気がするし、あんまりゆっくり泳いでいると、迷惑だったりする。

イギリス流スイミングでトロトロ泳げば、水飲むこともないかな。今度は水着も持って来ようかな。

イギリスでびっくり (15)-イギリスの地震(>幽霊ですか????)

日本と比べればイギリスでは地震は極めて少ない。でも、地震がない訳ではない。地震への備えがないので、たまーに震度3くらいのが来ると、煙突が崩れ落ちたり・・・ということが起こったりするらしい。

2007年夏、産業革命で有名な街マンチェスターで震度2くらいの地震があったと言う。翌日のニュースは、キャスターたちが、なんだかおおはしゃぎな感じ。これって、「沖縄で雪が降った」という感じの興奮なのかしらん。

「今朝、マンチェスターで地震がありました。被害はありません。いやー、マンチェスターの人たちはシェイキーなス1日のスタートを切ったということですねぇ」って感じ。

翌々日の新聞にも続報が。

当日、マンチェスターのホテルに泊まっていた人の中には「幽霊が出た」とフロントに言いに来た人もいたとか・・・。それも複数・・・。

うーん、幽霊ですか・・・。

新聞報道によれば、イギリスでも地震はあるが、プレートの位置が違うので日本のような大きな地震は起こらない。最近、イギリスでも地震がよくあると報道されるが、それは地震計の性能が良くなって、小さな地震でも観測出来るようになったからだ・・・とのこと。

ふぅん。

一応イギリスでもあちこちに地震計は設置されているのね。