もう一度舞台!(1)更衣室のウワサ

2年間の海外研修を終えてイギリスから帰国したら「もう一度舞台に立つんだ!」とずっと心に決めていました。で、実は出発前から少しずつ「自分でも舞台に立てる」教室、「自分が好きな作品で踊れる」教室を探し始めていました。

忙しい身ですから、いくら作品が好きでも「通える」も大きな要素。「振り付けが好き」で「通える」という2つの条件を満たすところを、タウン・ページやバレエ雑誌に掲載されてるリストなんかでチェックした結果、N教室とTs教室が候補に。

N先生もTs先生もT教室の男性ゲストでよくいらしてたし、Ts先生にはアダージオ・クラスでレッスンを見ていただいたこともある(先生の方は覚えてらっしゃらないと思うけれど)。お2人の踊りを見たことがあるということ、お人柄が分かっている、ということも大きなポイントでした。Ts先生の教室の方が距離的には近かったけれど、N先生の教室の方が交通の便が良い感じだったので、N先生の教室を第一候補にしました。舞台の上の両先生はどちらもステキでしたが、N先生の「魅せ方」「芝居」のうまさというのに惹かれたというのもあります。

で、何故、「帰国したらR教室に帰ろう」と思わなかったかと言うと、それは「更衣室のウワサ」のため…。渡英前にR教室に通っていた時、大人のクラスから発表会に出た人が更衣室で話してたんです。「怒られて怒られて泣いてしまうほど辛い…」って。

この話を聞いて、「R教室で発表会に出るのは小さな子どもがいて仕事もある私には無理」って思ってしまったんですね。R教室は普段の練習もきちんとしているけれど、発表会が『オン・○テージ』に取り上げらたりすることもあるので、大人クラスと言えども「よく頑張りましたね」じゃすまされないんだなぁ…って。だから私には無理だなぁ…って。

でも、後になって、これは「誤解」だったかも…とも思いました。「更衣室のウワサ」はもちろんとても「真実をついている」こともある(多い)のだけれど、「ウワサ」だけで物事を判断するのはとても危険。

未だにR教室の発表会は未経験の私ですが、「私の状況では絶対無理」というほどではなかったのかもしれません。もちろん、もしR教室で発表会に出ようとすれば、とても大変であったことは間違いないと思います。でも、やってしまえば発表会なんて「そんなもんか」と結局自分をそれに合せていってしまうもんだったりするので、本当はあそこですぐにR教室に帰って発表会もR教室で出続けていれば今の私の「カケモチ」にまつわる「悩み」はスッキリなくてすんでいるんですけれどもね…。

「更衣室のウワサ」によって「R教室で舞台に立つことは不可能」…と思ってしまったことが、今の私の「複雑」な、しかしながら、違った2つの教室の魅力を味わえる「幸せな」状況の出発点になっているのです。

「真面目な」初学者のための~ (4)-プリエの罠:その3 

プリエにおいて、初学者を混乱させるものの一つに、プリエとプリエの間に入る、ポール・ド・ブラというのがあるんじゃないでしょうか。でもって、ポール・ド・ブラって「手・腕の動き」のはずなのに、プリエとプリエの間に入るポール・ド・ブラって、なぜか身体を前屈したり、後ろに反ったり、横に曲げたり…っていうのもくっついてたりする。

たとえば、R教室でよくやるパタンで一番単純なヤツは、1番プリエの後、手をアンオーにして前屈、2番プリエの後、手をアンオーにして後屈、4番プリエの後手をアンオーにして前屈、5番プリエの後手をアンオーにして後屈、というパタン。

これに加えて横に身体を曲げる、だの、身体を回す、だの、その身体を回すにしても、前から回すだの、後ろから回すだの、半分だけ回すだの、前屈にしても、ルルベアップして前屈する、だのなんやかやと色々あって、何番と何番の間にどのポール・ド・ブラが入るんだっけ?と、頭が混乱します。

長年やってる私でも(>私だけ?)かなり混乱するんだから、バレエを始めたばかりの人はもっと混乱するよね。

ま、これについては、プリエとプリエの間に「何か」が入る。それは、前に曲げる、後ろに反る、横に曲げる、回す、立つ、のどれかであることが多いので、まずは教室でよくやる基本パタンを覚えつつ、「1番・前→2番・後ろ→4番・横→5番前・後ろ」とかいう風に、おおざっぱにポール・ド・ブラの流れを頭の中で押さえておくと良いかもしれません。

でも、プリエの方のバリエーションも色々ある訳で、プリエとポール・ド・ブラのバリエーションをかけ合わせると、「順列・組み合わせ」的には、そうとうのパタンがありえる訳です。なので、初学者の方は、覚える努力をしつつも、前の人、横の人、鏡に写る後ろの人をカンニングしつつ、チラっとカンニングしただけで、「あ、次は前屈かぁ」と分かる程度に、パタンを頭に入れておく…というところから始めてはどうでしょう?

「ちらっとカンニングしただけで」次の動作が「読める」だけでもたいしたもの。

頭ごちゃごちゃして、「うぎ~!!!!」となると、よけい分からなくなるから、「分からなくなったらカンニング~!」と思って、とりあえず「分かるところだけでも」やっていくこと。それが大事かも…。

「真面目な」初学者のための~ (3)-プリエの罠:その2 

「プリエの罠:その1」でも書きましたが、とりあえずは、足のことを考えましょう。で、少し慣れてきたら、手にもチャレンジしてみましょう。

プリエしながら「手をつける」。足だけならともかく、手をつけると頭ぐちゃぐちゃ…になってしまう…。よく分かります。

でも、手も複雑に見えるけど、いくつかのパタンがあります。まずは、①「横(アラセンコンド)→下(アンバー)→前(アンナバン)」とまわす。ビギナー・クラスだったらこのパタンは良く使うんじゃないかな? すなわち、プリエ
しながら、横においた手を下に持ってきて今度は胸の前に持っていく。(ここで動画でもあると分かりやすいんですが…)

これを、プリエしながら、あるいはグランプリエしながらやる。両方一度にやると分からなくなっちゃうようなら、自宅で足だけ、手だけでやってみて、それから両方一度にやってみましょう。

まずは、これが一番簡単な手のパタン。複雑な手のパタンが来ても、「無視」して、このパタンで「やってしまう」という手もあります。実際、ありゃ~!!!となって混乱して何も出来なくなって「何もやらない」よりは、この一番簡単なパタンで「やる」方がお得です。先生が複雑な手のパタンを指示しても、結局このパタンでやってしまってる人、うちの教室には時々います。ただ間違えてるだけかもしれないけれど、意図的にやってるとすれば、「賢い」方法なんじゃないかと思います。

とりあえず、これで、「手は横に置いたまま足を頑張る」→「手は基本のパタンで押し通す」という2通りの「裏技」が出来ることになりました。この2つの「裏技」でしばらくやっていれば、少なくとも、プリエの足だけは「形を追う」
ことが出来るようになるでしょうし、「一番簡単なパタン」でポールドブラをつけてプリエをする、っていうのも、ある程度、「自信をもって」出来るようになると思います。

グランプリエの時の手はたいていこれです。ちょっと変則的なのもあるけれど、うちの教室だと、グランプリエの時の手は9割がたこれですね。

なので、プリエは、簡単なバージョンは、1)ドゥミ・プリエ1回(手は横のまま)→グラン・プリエ1回(手は「横→下→前→横」)、2)ドゥミ・プリエ2回(手は横のまま)→グラン・プリエ1回(手は「横→下→前→横」)、3)ドゥミ・プリエ1回(手は「横→下→前→横」→グラン・プリエ1回(手は「横→下→前→横」)、4)ドゥミ・プリエ1回(手は「横→下→前→横」→グラン・プリエ1回(手は「横→下→前→横」)の4つの組み合わせと考えて良いんじゃないでしょうか?

もっと複雑なポールドブラの時はこの4つの中から一番「近そう」なのを選んでやってしまってもいいんじゃないかな?

ただし、このシリーズの(1)に書いたように、先生の性格を良く見抜いた上でね。でも、たいていの先生なら、初心者が「混乱」するのはきっとよく理解されていると思います。だから、「一生懸命」オーラを出しながら、簡単バージョンにバージョン・ダウンしてやっても、それが「手抜き」でやってるのか、「少しでも上達しようとしてやってるのか」その戦略として、「オール・オア・ナッシング」ではなく「ゼロより1」の戦法を採用してるのね、ということは分かって下さると思います。

もちろん、こういうやり方はダメ!という先生が悪い先生ということではありません。教育には「100%正しい方法」というのはないのです。どの方法にも良い点と悪い点(弱い点)がある。だから、「こういうやり方はダメ!」という先生の下で勉強されれば、そういうやり方でこそ身につく何かが身につくのだと思います。

「真面目な」初学者のための~ (2)-プリエの罠:その1 

私がバレエを始めたばかりのころ、何に「ひっかかった」かなぁ…? それをレッスンで出てくるパの順に解きおこしてみようかと思います。で、私はそれをいかに「いいかげん」で「乗り切ってきたか」を思い出してみようと思います。

私がバレエを始めた教室の場合は、バーが比較的決まってて、パタンが少なかったので、一度覚えてしまえば初心者でもなんとかついていけました。その点ではラッキーだったとも言えるし、本当はバーというのは変化のある方が良い面もあるので、アンラッキーだったとも言える。

それはともかく、「プリエ」は「曲げる」こと。これを「正しく」やるのは至難の技で、私なんぞは、「正しく」の1000歩も1万歩も手前におりますが、大体の教室ではこれを「2番→1番→4番→5番」あるいは「1番→2番→4番→5
番」の順番でやるんじゃないでしょうか。R教室でもN教室でもこのどちらかのパタンです。R教室は2番で始めることが多くて、N教室は1番で始めることが多いけど、これも同じ先生によっても日によって違ったりします。

「1番と2番どっちが先?」の奥深い意味は私にはまだ謎ですが、ここで「深く追究しない」「いいかげん」が大切。疑問は一度にすべて解決するのではなく「貯金」しておいて、「分かる時期がきたら一つずつ」解決していくのがよろしいかと思います。…という訳で、私もこれについては「謎」のまま放ってあります。いずれ気がむいたら先生に聞いてみようかと思います。

メソッドの違いというのもあるのかな? イギリスでレッスンすると2番が先のところが多い気がするし、1番が先ってのはロシア系? んなことないのかな?T教室はワガノワということでしたが、1番から始めてましたね。

それはともかく、初学者が「混乱」するのは、プリエの時の「ポールドブラ」なんじゃないでしょうか。この「ポールドブラ」は①プリエする時の手の動き、というのと、②○番プリエと×番プリエの間に入る柔軟みたいなヤツの2種類がありますが、①においても②においても、「え~? 次はどうだった? あれ~?あちゃちゃちゃ~?」となる(私もなった…というより今もなる)のではないかと思うのです。

プリエには「ドゥミ・プリエ」と「グラン・プリエ」があるけど、この組み合わせがどんな回数で来るか?というのも初学者には「鬼門」かもしれません。

そこで第一に何回「曲げるのか?」…この回数を把握しましょう。

「ドゥミ・プリエ1回→グラン・プリエ1回」なのか「ドゥミ・プリエ2回→グラン・プリエ1回」なのか。とりあえずは、「これだけ把握!」。それだけでもたいしたもんです。

で、「その時手はどうするのぉ?」っていうのはあると思うんだけど、わからなかったら「無視する」。アラセコンドのまんまやってみてはどうでしょう?

教室によっては怒られるかもしれないけど、怒られたら「どうしても混乱してしまうのでまず手はなしでやってもいいですか?」と聞いてみましょう。そういうの「絶対に!」許さない教室であれば、家で手なしで「自習」してみましょう。

1番から5番まで、「ドゥミ・プリエ1回→グラン・プリエ1回」とか「ドゥミ・プリエ2回→グランプリエ1回」とかいうこともあれば、「2番だけはこの組み合わせを2回」とか「5番だけはドゥミをやらずグランプリエを2回」と
か、ちょっとしたバリエーションはあるけど、まずは、この「脚」の部分に集中して覚えてみてはどうかしら?

で、「手」はアラセコンドのままにするか、あるいは「他人のを見て真似る」。ただし、「脚」だけは「自分で覚える」あるいは「覚える努力をする」。

まずはそうやってみたらどうかな?

私は最初の頃、分からない時は手は「無視」することにしてました。で、だんだん「足」の動きが分かるようになってから「手」をつけるようにしてました。

T先生が「分からなかったら手はアラセコンドのままでいいから足だけまずやってごらん」って言って下さったことが時々あったようなほのかな記憶があるんですよね。で、多分、そのために私は「分からなかったらまず足から覚える」ようにしてきたのかもしれないです。(N教室のS先生も初心者が混乱してると「分からなかったらとりあえず足だけやってみて」っておっしゃいます。だから、この「まずは手を無視して足」というのは、バレエ的にも「妥当」なのかもしれません。)

今でも手も足も両方やると「混乱」しそうな時は「勝手に」「手」を省略しちゃったりすることもあります。あるいは「腰の骨が動いてないか確かめながらやってるフリ」して「腰に手をおいて」(もちろん確かめるためにやってることもあるのよ)、足だけやる時もあります。

全部覚えようという「真面目」が全部ごちゃごちゃになって「訳分からん」になってしまうよりは、「手は省略」という「いいかげん」が「足だけは分かるようになった」という「良い結果」につながることもある…と私は思うのね。

「破滅型」(何もかも真面目にやってすべてが御破算になる)の「真面目」より、「いいかげん」(少しだけでも)の「真面目」の方が成果が上がることもある…。そう私は思うのであります。

「真面目な」初学者のための~ (1)-「真面目」の罠

長い間「大人のバレエ」をやってきて気づいたことの一つに、「大人って真面目!」というのがあります。私の場合は「大人クラス」がない教室でバレエを始めたという「偶然」もあって、ある意味、「いいかげん」にやってきた。今振り返ってみると、その「いいかげん」の良さっていうのもあるのかもしれないなぁ…と思うのです。

私の場合は、子どもの頃から継続している中・高校生主体のクラスでしたから、「出来なくて当たり前」っていう「居直り」の中で、「マイペース」でレッスンを重ねてこられた。「大人のための初心者クラス」で基礎を一つ一つ重ねる…というやり方のメリットは享受できなかったけれど、その代りに「いいかげん」を身につけることが出来たかもしれません。

「いいかげん」と言うと言葉は悪いけれど、もっと良い言葉で言うならば、Cさんのおっしゃる「ソフトな頑張り」という言葉に近いかもしれません。頑張りすぎない範囲で頑張る。「瞬間風速」で頑張るのではなく、「長期的に」頑張る。一見今日「手抜き」してるみたいに見えても、長いスパンで見れば、その「手抜き」が「実は頑張ってる」ことになる。

今日手を抜いたからこそ怪我なく踊れ明日もバレエが踊れる(頑張りすぎてたら怪我したかもしれない)、今日手を抜いたからこそバレエが嫌にならず1年間続けることが出来る(今日全力疾走していたら「もういやだ!」「限界だ!」となってバレエをやめてしまったかもしれない)…。

「夢のような日々」にも書いたように、私の場合は、T先生が「みんな時間をかけて上手になったのだから焦らないで」「ゆっくり、ゆっくりね」といつも声をかけて下さり、上達を「焦る」という気持ちはもたずにやって来ました。

でも、「大人のクラス」のある教室に移ってみて、「みんな真面目(過ぎ?)だなぁ…」って思わされることがしばしばあるんです。実は、私の職場の若い同僚が同じ教室でバレエを始めたのですが、その人もとても真面目。

「レッスンについていけないので、お暇な時間にバレエを教えて下さいね」と彼女に頼まれ、どういう順番で何を彼女に伝えよう…と思った時、自分の来し方を振り返り、「初学者」は「どこでつまづくのか?」を考えてみようかと思い立ちました。

「大人のクラス」でバレエを始めるのは、もちろん、私みたいに「子どもクラス」で始めるよりは、「基本」を身につけるという点でずっとメリットがあります。同じ立場の人たちと励ましあえるというメリットもある。

ただ、一つデメリットがあるとすれば、「他人と比べやすい」環境にある…ということかもしれないなぁと思うんです。私みたいに「あまりに立場が違う」人と一緒にレッスンしていた場合は、「あまりに違う」ので比べようがない。比較自体が無意味。

でも、自分と同じように大人で始めた人、自分よりずっと年上の人が、自分は頭がこんがらがって手足もこんがらがってしまいそうな複雑なパ(慣れればそんなでもなくても)を軽々とこなしている…。「なんで私だけ出来ないの?」となる訳です。

軽々とこなしているように「見える」人たちも、時間をかけてそこまで来たり、実は軽々なんかこなしてなくてただ「ごまかす」のが上手くなってるだけのこともあります。どのパがどの程度難しくて、それが出来るようになるのにおおよそどのくらいの時間がかかるか…なんてことの「見通し」も「全く立たない」。だから、本当は「出来ない」のが「当たり前」でも、無駄に「出来ない自分」を責めてしまったりする。そんな構造があるような気がします。

「大人のバレエ」はそれでなくとも色々な「限界」を抱えながらのバレエ。そこに「真面目」という心理的な「負荷」を加えるのは、せっかくのバレエの楽しみを感じる心を曇らせてしまうような気がします。もちろん、「真面目」は大切。でも、「真面目の罠」にはまらない…それも大切な気がします。

長期的には「真面目」に、でも短期的には「いいかげん」であることを自分に許す…。

短期的に「真面目」でも、長期的には「挫折」という場合だってあるんです。大人のバレエは同じ「真面目」でも「長期の真面目」を目指すべきだと思うんです。

たとえば、レッスンで、「ちゃんと出来る自信がない限り動こうとしない」という「真面目な」人がいます。「いいかげん」でも「何となく動いてみる」方が、結局は「得る」ところが大きいと思うんです。特にバレエみたいに「身体を動かす」系は「とりあえず」動いてみることも大切。(私の通うR教室のM先生も「分からなくても何となくでもいいからとりあえず動いてみて」ってよくおっしゃる)

大人の場合、「頭で理解する」もすごく大切なんだけど、「完全に頭で理解しない限り動かない」では、結局その「真面目」が「やらない」という「不真面目」な結果や「上達しない」という「不幸」な結果になってしまったり、「私にはバレエは出来ない」という「諦め」、あるいはバレエを「やめちゃう」っていうよな「挫折」を生むことになっちゃうなぁ…と、「真面目」な人々を見ていて残念に思います。

真面目なあなたには、上達の素質は充分あります! その真面目が裏目に出ないようにしましょう。その真面目に「いいかげん」のスパイスを加えて、「大人の真面目」を身につけましょう。

注:このシリーズはあくまでも私の「個人的」体験、あるいは「個人的」考えに基づくものであって、「正しい」バレエの知識に基づくものではありません。バレエ的に「誤った」ことも書いてあると思います。「ご利用」の際には「鵜呑み」にせず、「批判的」に吟味した上で「利用しても大丈夫そう」と思った時のみ「ご自分の責任において」試してみてね。「Q母さんのおかげで私のバレエがメチャクチャになってしまったじゃないの~!」と言われても、無責任なようですが、責任は取れません。

あと、自分の先生の思想や性格をよく見抜いた上でやることも大切です。先生によっては、私の助言に従って、たとえば、「今日は脚を重点にやるから、ポールドブラはずっとアラセコンドのまんまやっちまえ」なんてことをすると、逆鱗に触れちゃうタイプの先生もいらっしゃると思います。自分の先生の性格を一番よくご存じなのは、自分自身なので、その辺りはきちんと判断して下さいね。

とここに来て下さってる方はみなさん、そういうネットにおける「自己責任」みたいなことはご承知の方ばかりだと思うけど、念のため。

イギリス・バレエ・ライフ (8)-タレント・ショウ

隣の教会の教室の子ども達が「タレント・ショウ」に出るから良かったら見にきてね…と、プリントをもらいました。イギリスのバレエ教室の「舞台」って是非是非見てみたいって思ってたので、行ってみることにしました。

これまた家からかなり遠いところだったので、地図をよぉっく調べて、Qを連れ、ちょうど来てくれていた弟のガールフレンド(今は義妹)にもナビとして一緒に来てもらいました。

いやぁ、「タレント・ショウ」って・…。日本で言うと「NHKのど自慢」をずっとださくしたみたいなやつ? 感じとしては、映画『サウンド・オブ・ミュージック』に出てくる音楽祭をもっとずっとださくした感じでした。歌だけじゃんくて、色々な出し物があります。

でもね、こういう催しが、ちゃんと「タレント(才能)」発掘の場所になっているし、「芸能人」を目指す人にとって、「○○タレント・ショウ」で入賞っていうのはちゃんとした「経歴」になっていくんだろうなぁ。

「芸能」の世界と言っても、そこにはすごく「階層性」があって、それこそローザンヌみたいなものから、こういう「地元密着型」のものまである。そして「芸人」の世界もロイヤルで踊るような人から、場末のミュージック・ホールで踊る人までいる。この「タレント・ショウ」は、そういうどっちかというと「下」の方の「芸人」発掘の場っていう感じがしました。

会場もだだっぴろい体育館みたいなところにパイプ椅子で、客層もあんまりミドルクラスっぽくない労働者階級風の人が多い。

教会の隣のバレエ教室も、通ってくる子ども達の親の階層は、ミドルクラスの中から下、さらにその下のワーキングクラスっていう感じなのかなぁ。で、NBTの子どものクラスのパフォーマンスなんかだと、日本のバレエ教室の発表会(ほどは派手ではないと思うが)のような雰囲気なんだろうが、こういう町の教室の子が舞台に立つとな
ると、ずっと違った雰囲気になります。

うちの教室の出し物は、小品を子ども達が踊るっていうものでした。衣裳もレオタードにちょっと加工した感じの簡単なもの。子ども達は一生懸命に可愛らしく踊っていました。

お金持ちの家の子のバレエとお金がない家の子のバレエ、純クラッシックな世界、あるいはコンテンポラリーにしてもアカデミックな感じの世界…。そういう踊りの世界とは別に、すごく「庶民」のレベルの「ごちゃごちゃした」「垢抜けない」踊りの世界がある。そこにはそこ独特の猥雑な活気もあったりはするのだけれど…。

イギリスのバレエの世界は、私はほんの垣間見ただけなので、よく分かってはないんですが、非常に階層性があり、旅行者としてオープン・クラスに出ているだけ、ロイヤルみたいな一流バレエ団の舞台だけ見ているだけでは決して見ることのできない、長くイギリスに住んでみないと「見えない」世界がある…って思いました。

次にイギリスに長期に住む機会があったら、ターム制の学校に所属して、子どものクラスなんかも見学させてもらったり(出来たら子どものクラスに参加させてもらったり)して、イギリス・バレエ事情をもうちょっとちゃんと把握してみたいなぁって思ってます。

ちなみに地図をしっかり調べたはずが、随分と道に迷い、あちこちで人に聞きながらようやくたどり着きました。で、帰り道、何度も何度もパッシングされて、弟のガールフレンドに「なんでかしらねぇ」と言うと「初心者だからってバカにしてるんじゃないですかぁ?」とのこと。きっと私の運転がトロいからなのね~と思ってたのですが…。

な、な、なんと! 実は、ライトつけずに走ってたのよ! こわいよ~! 道路には灯りがついてるから自分はライトつけてなくても困らない。後で友達にこのことを話すと、「あのさ、初心者はパッシングされたら、まずは自分に悪いところがないかよぉっく反省しようね」と言われてしまいました。

イギリス・バレエ・ライフ (7)-燈台もと暗し 

私達が住んでいた寮の隣は教会でした。私たちの寮がそもそも、その昔、その教会によって寄付された建物だったんです。

で、ある日なんでだったかいつもより早く家に帰ったんです。そしたらおだんご頭のレオタード姿の女の子たちがわらわらと教会から出て行く…。あらら? ひょっとしてお隣の教会でバレエ教室やってる?

イギリスでは教会ってコミュニティ・センターの役割も果たしているんですね。で、隣の教会で水彩画だのロシア語だの教えてるのは知ってたんですが、バレエを教えてるとは知らなんだ。

で、そうこうしているうちに、近くのスーパーに「大人のジャズ・バレエ教えます」の張り紙が…。イギリスでは、新聞の売店やらスーパーの売店の「掲示板」というのも重要な情報交換の場。不動産情報や車の売り買いの情報なんかもよく出ています。

それで、とりあえず行ってみました。そしたらね~、生徒が私1人だったのよ。で、「バレエの部」と「ジャズの部」に分かれてて、最初のバーはバレエ。フロアになるとジャズの動きが入るって感じだったかな? バレエの部分はなんとかついていけるんだけど、ジャズの方になるととたんに動けない…。

それはともかく、「生徒が集らなくてクラスが成り立たないかもしれないので、良かったら10代の子たちのクラスに来てみる。すっごく上級だけど…」と言われました。「すっごく上級」に恐れをなしたが、とりあえず行ってみることに…。

10代の半ばぐらいの女の子が2人という小規模クラスでしたが、とりあえず一緒に動いてみる。先生は「あら、あなたグレード○ぐらいはあるわ」と驚かれていました。多分イギリスで大人でバレエを始めて、グレード○(残念ながらなんだったか覚えてない)まで行くのって大変なことなんでしょうね。日本だったらそんなことないと思うけど。

ここはIDTAという、RADよりはワンランク下というか、あるいは目指してる物がちょっと違う協会のメソッドに基づく教室です。だからバリバリクラシックというよりは、もうちょっとマルチにダンスが出来る教師を養成してるって感じです。

クラスは本部から送られてくる「シラバス」に沿って進みます。ちょうど試験の直前だったので、ほとんど「試験対策」って感じで、バーも当日の試験で出るもの、フロアも試験で踊るアンシェヌマンでした。

女の子たちはバーからポアント履いてたので、先生が「すっごく上級」とおっしゃる通りに「上級」のクラスだったのかもしれません。でも、日本の10代半ばだったら、もっと踊るなぁ…という感じ。

ただ、日本の10代半ばの子たちが、「えいや!」と色々な技が出来ても、イギリスでやってるみたいに「ていねいに、ていねいに」同じパを「くりかえし」「きちんと」「モノにしていく」っていうような練習を(部分的にでも)重ねているかっていうと、必ずしもそうでもないかもしれない。きちんと積み重ね方式のところももちろん沢山あると思うけれど。

こういう「ゆっくり」の練習を重ねた上で、「身体の条件が良く、素質のある子たち」だけが、専門教育に入り、徐々に難しい技にもチャレンジしていく…それがイギリス・システムなのかしら。

2人いる子のうち1人は確かに「それなり」に上手でした。彼女はフルタイムの学校に合格して先生への道を進むようでした。もう1人の子は「3歳からやってる」にしては「ちょっとなぁ」とも思ったが、ま、日本でも「小さい頃からやってる子」みんなが上手な訳じゃないもんね。

ITDAの方がお月謝とか受験料も安いみたいで、RADの学校に習いに来る子供達の階層差というようなものも、あるいはあるのかもしれないです。RADの方は身体の条件もとても厳しいみたい。ITDAの先生は主要な専攻が「バレエ」じゃなくてむしろタップだったりコンテンポラリーだったりっていう人も多く、そのためっていうのもあるかもしれませんが、スタイル的にも必ずしも「バレリーナ!」って感じじゃない先生も多いんですよね。

実際、この教室を主宰しているア○先生も、助教授のヘ○ンも、バレリーナにしては、ではなく、普通人としても「太目」、というより「太い」だった。少なくとも日本人の基準からすれば・…。タップとかの場合、こういう体型の方がいいのか
なぁ…。そんなこともないと思うけど、いつだったかネットでレエ学校を探した時、バレエよりタップなんかの方が主流の学校の先生達の写真が全員「太目」でした。

でも、まぁ、この教室に出会ったことで、「かけもち」によって「なんとか週1回」をキープできるようになり、とりあえずは良かったです。

そうそう、この教室で助教をやっていたヘ○ンとは、後にMTSというやはりMにあるシアター・ダンス系の学校で再会することになります。バレエの世界って狭いですねぇ。

イギリスでは色々なことをグレードで計るので、たとえば、NBTのワークショップに出た時なんかも、バーやフロアのレベルを決めるために、まず、参加者のグレードを言わされます。で、私は、いちいち「大人から始めたんだけど、10年以上やってて、そこは大人から始めた限界はあり、ちゃんとは踊れないけど、そこそこは踊れます」
などとくどくどと言い訳がましく説明しなくちゃならないのね。なので、いずれグレードを取ってみるのもいいかなぁと思います。シラバスに沿って体系的に勉強してみるっていうのも、バレエを体系的に理解するのに役立ちそうだなぁって思います。

イギリス・バレエ・ライフ (6)-個人レッスンその後の顛末 

ところが、家に帰ると実は大変なことになってたの。

実はこの時Qは水疱瘡にかかってたんですが、これ、通常はなんていうことなくケロっと治ってしまう病気なんだけど(医者も3日もすれば治るって言ったし、保育園の先生も「あ、水疱瘡ね。3日くらいしたら出てらっしゃい」って感じだったので)、たま~に、「菌がいたずらするplay a trick」ことがあって、色々面倒なことになることがあるらしいのね。

元気だったし、ほとんど治りかけたし、たまたま母が遊びに来てくれている時だったので、「この機会に」と思って「遊んで」帰ったら、その日の昼間突然「おばあちゃん。ぼく歩けない」と言ったそう。でも、元気に床に座って自動車のおもちゃを動かしたりして遊んでいるし、本当かな?と思って立たせてみると立てない…。

母の方は大慌てで寮の中の他の部屋の人のドアをノックして助けを求めたそう。1歳の娘を連れて留学してる仲良しのパレスチナ人母学生が、「私は今から授業だから連れていってあげられないけれど」と時間が空いてるトルコ人を見つけだし「あんた、これこれこうなんだからこうしなさい!」と指図してくれて、そのトルコ人のお兄さ
んが医者につきそってくれました。(そのあ兄さんは後から「病気が治りますように」ってお守りもくれたりして、本当に優しい人だったなぁ。寮のみんなにも本当に助けられました)

で、近所の医者からは「熱のせいだと思うけど、明日になっても歩けなかったらまた来なさい」って言われたそうで、様子を見てたんですが、結局翌朝になってもQは歩けるようにならず(元気は元気だったんですが)、医者に連れていくと、すぐ大きな病院に紹介状を書いてくれ、その足でその病院へ。しかし、その病院では空き室がな
く、また別の病院に行ってそのまま入院することになりました。

結局、10日間ぐらいで歩けるようになり本当に良かったんですけれど、そんなことがあったので、「また来週」という個人レッスンは当然のことながらキャンセルし、「退院したらまた電話します」と言ったものの、その後そのまま立ち消えになってしまいました。ちょっと心残りです…。

「Qがこのまま歩けなくなったらどうしよう」って本当に心配でしたが、ほんと、たまたま母が来てくれてる時で助かりました(>私、悪運が強い女と呼ばれております)。水疱瘡なので「うつる」病気だし個室でしたが、費用はすべて無料で、「病気になった時お金の心配しないで治療に専念できるってなんていいんだろう」って思いました。枯れたりといえどもやっぱりイギリスは「福祉国家」です!

私も結局そのままQの退院までずっと病院に泊まってたんですが、家族用のシャワー室なんかもちゃんとあったりして、GNPだけでははかれないイギリスの「豊かさ」のようなものも感じました。

入院した日は近所の医者→近所の大病院→遠い大病院と移動したり、それぞれのところで検査なんかもあって、落ちついたのは夜の11時くらいだったんですが、「お母さんも疲れたでしょう?」って紅茶をいれて持って来てくれたり、そういうところの心遣いがとても細やかで、ホロリとさせられました。

他方で、「ひぇ~、ほんとか~!」と思うようなこともあったんですけどね。イギリスの病院の食事は子どもと言えど、ちゃんと「本人が」「チョイス」出来るんです。この点は「さすが!」と思いました。

でも、「今日のメニューは○○と・・…××だけど、どれとどれがいい? 2つ選んでいいよ」と言われてQが「チップス(じゃがいものフライです)とスパゲティ」と答えたら、「はいはい」とお皿によそってくれたんだけど、その「スパゲティ」はほんとに「スパゲティ」だけの「つけあわせ」のスパゲティで、「これじゃ、炭水化物ばっかじゃないか~! 栄養指導はしなくていいのか~!」と思ったんですけど、ま、この「自己責任」ってのが、イギリスなんですよね~。

うちはたまたま母が来てくれてたので、お弁当作って届けてくれたりして栄養補給できたけど(>いやいや、母にはほんとお世話になりました)、病院食でこんな栄養の偏ったもの出していいのか~!!!!(>イギリス!)

イギリス・バレエ・ライフ (5)-個人レッスンに挑戦! 

留学中は、毎週1回ある図書館に通ってコツコツと史料を読み続けてはノートを取っていたのですが、その図書館の隣にミュージック・ショップがありました。お昼を食べに出たついでなどに良くそこに立ち寄ってはバレエのビデオなんかを購入していました。

で、そこに「掲示板」のようなものがあり、色々な人が自分で作った「宣伝」を貼っていけるようになっています。プロ・ミュージシャンのオーディションのニュースなんかものっていますし、「ピアノ教えます」といった類のものものっています。

そんな中に「バレエの個人レッスンいたします」という宣伝をみつけました。バレエの先生としての資格や経験が書いてあって、自宅で「1時間○ポンド」で教えます…とのこと。いくらだったのかなぁ…。よく覚えてないけど、多分5~6ポンド。10ポンドはしなかったんじゃないかなぁ。当時のレートで1000円からせいぜい高くても2000円ぐらいだったような記憶です。

「この際、こういうのを経験するのも良いかも・…」と思い切って電話をかけてみました。まずは日時を設定し、道順を聞く…。丁度母が遊びに来てくれている時だったので、大学の帰りに寄り道して帰ることに…。

私は「若葉マーク」(イギリスでは緑色のL字マーク)ドライバーなので、地図と首っぴきで、道順を何度もチェックしてそのお宅に伺いました。

普通の住宅街の普通のお宅。そのお宅の前には駐車できず、適当にスペースを見つけて駐車したんですが、急な坂道だったので、ハンドブレーキを何度も確かめたのを覚えています。

先生は、40代か50代くらいかなぁ。物腰はバレエっぽかったけれど、服なんかはちょっとシャビー(薄汚れてるっていうかくちゃくちゃっていうか、あんまりパリっとしてない)な感じです。

レッスンはごくごく普通のお部屋にポータブルのバーを置いてやります。そのお部屋も物が床にごちゃごちゃと置いてあったりして(他人の家のことは言えた義理じゃないんだが)、イギリス人の家にもこういう雑然とした家があるのか~(普段は「およばれ」していくからちゃんと片してあるんだろうけどね)、とヘンな感慨を覚えました。

先生は、なんか「アンチョコ」っぽい本を見ながらバーを組み立てて行きます。う~む、ここでもやっぱ「アンチョコ」かぁ…。イギリスのバレエの先生と「アンチョコ」の切っても切れない関係ってのは、すごいもんがあるぞ!

個人レッスンは1対1だから、やっぱ疲れるわ~。細かい所はよく覚えてないんだけど、個人レッスンだと、普通のレッスンよりずっと「注意」してもらえるなぁと思ったような記憶があります。イギリスの「大人クラス」は個人的注意は「なし」っていう方が基本形だから。

「あなたはアチチュードがきれいだから、次のレッスンまでにアチチュードを沢山使ったアンシェヌマンを考えておくわね」「音楽も何かステキなのを探しておくわ。日本的なものなんかも取り入れてもいいわね」と言っていただいて、次回のレッスンの日時を決めて別れました。「私だけのためのアンシェヌマンなんて、ちょっとステキ」なんて思いながら帰路につきました。

イギリス・バレエ・ライフ (4)-怒り心頭に達す!!!! 

そんな訳でNBSとSMBSをカケモチしつつ、何とか週1回のレッスンを細々と続ける日々が続いていました。

しかし!!!!!

ある日レッスンに行くと、「今日はRADの子ども達の試験のことで忙しいからテープかけるからみんな自習してて。どうせいつも同じなんだから分かるでしょ?」と、先生はあたふたとテープをしかけて別室に消えてしまったのでした!

な、なに? これ?

バレエは「子ども中心」…。それは良い。それは仕方のないこと。

でもさ、これはないんじゃない? アンフェアだよ! たとえば、「来週は子どもたちのRADの試験のことで忙しいので、申し訳ないけれど大人のクラスはキャンセルさせてくださいな。もし、自習でも良いという方がいらっしゃればどうぞおいでください。テープをかけます」って、そういう風に言うならいいよ。でもさ、なんなのよ! これって!

そっちの都合でレッスンをキャンセルするんだから金返すとか、せめて「謝る」ぐらいしろよ~!

みんなで思いきり腹を立て、レッスンというより自習が終わって外に出てから輪になってぶ~ぶ~文句を言い合いました。「ひどい!」「アンフェア!」「金返せ!」 「許せない!」「バカにしてるよね!」って。

このクラスの大人ってほんと踊れる人が多かったの。だからよけい「ひどい!」って思った。こんなに踊れる人たちに「ちゃんと」教えないことにずっと腹を立ててたから。

「私けっこうあちこちで練習してるけど、大人でこんなに踊れる人の多いクラスってないよ。みんなこんな上手なのに、この扱いはひどい! もっとちゃんと教えてくれればみんなもっともっと上手になれるにに!」って私も思いきり言い散らした。そしたら、みんなは、”You are kind.”って言ってたけど…。(誉められたら”You are kind.”って言うのかぁ…って思ったりしたのだった)

で、このクラス時々、「時間ないからこれは片側だけ」って、バーも片側だけの時があったのね。私これもどうも気持ち悪くて…。

そんなことがあって「不愉快」だったので、もうこの教室は「更新」しないでそのままにしてしまいました。クラスのみんなは好きだったけど…。

「大人を教えたくなければ教えるな~!」「教えるならちゃんとやれ~!」と思いました。

ただ、ずっと後になって(2年間の滞在を終えて帰国してからずっと経って)、NBSが大人のクラスを閉じてしまった時、「どんなにひどいクラスでも(NBSのクラスはとても良かったけどね)、大人は教えたくない先生が教えるとしても、それでもやっぱりクラスがないよりはあった方が良いのだろうか…」とも思ったけれど。

でも、このクラスは私のバレエ人生「最悪のクラス」でしたね。大人に子どもと同じ情熱をささげなくてもいい。だけど、大人に「○%」のエネルギーと時間を割こうってきめたら、その「○%」の枠内で「100%」誠実にやってほしい。

どんな仕事でも全部を完璧には出来ない。だから、自分の時間やエネルギーを「配分」する訳です。その「配分」の中に「大人のクラス」っていうのを置くならば、それがたとえ全バレエ教育の0.1%であっても、その0.1%は「100%で」、つまり、0.1%をちゃんと0.1%に、決して0.05%とか0.01%とかにしてほしくない…。

それをやってもらえない教室には生涯二度と通うまい…。大人に「いやいや」教える教室には絶対に行くまい。大人を「バカにする」教室にはビタ一文払わんぞ!

…そう固く決心したのでした。