留学中は、毎週1回ある図書館に通ってコツコツと史料を読み続けてはノートを取っていたのですが、その図書館の隣にミュージック・ショップがありました。お昼を食べに出たついでなどに良くそこに立ち寄ってはバレエのビデオなんかを購入していました。
で、そこに「掲示板」のようなものがあり、色々な人が自分で作った「宣伝」を貼っていけるようになっています。プロ・ミュージシャンのオーディションのニュースなんかものっていますし、「ピアノ教えます」といった類のものものっています。
そんな中に「バレエの個人レッスンいたします」という宣伝をみつけました。バレエの先生としての資格や経験が書いてあって、自宅で「1時間○ポンド」で教えます…とのこと。いくらだったのかなぁ…。よく覚えてないけど、多分5~6ポンド。10ポンドはしなかったんじゃないかなぁ。当時のレートで1000円からせいぜい高くても2000円ぐらいだったような記憶です。
「この際、こういうのを経験するのも良いかも・…」と思い切って電話をかけてみました。まずは日時を設定し、道順を聞く…。丁度母が遊びに来てくれている時だったので、大学の帰りに寄り道して帰ることに…。
私は「若葉マーク」(イギリスでは緑色のL字マーク)ドライバーなので、地図と首っぴきで、道順を何度もチェックしてそのお宅に伺いました。
普通の住宅街の普通のお宅。そのお宅の前には駐車できず、適当にスペースを見つけて駐車したんですが、急な坂道だったので、ハンドブレーキを何度も確かめたのを覚えています。
先生は、40代か50代くらいかなぁ。物腰はバレエっぽかったけれど、服なんかはちょっとシャビー(薄汚れてるっていうかくちゃくちゃっていうか、あんまりパリっとしてない)な感じです。
レッスンはごくごく普通のお部屋にポータブルのバーを置いてやります。そのお部屋も物が床にごちゃごちゃと置いてあったりして(他人の家のことは言えた義理じゃないんだが)、イギリス人の家にもこういう雑然とした家があるのか~(普段は「およばれ」していくからちゃんと片してあるんだろうけどね)、とヘンな感慨を覚えました。
先生は、なんか「アンチョコ」っぽい本を見ながらバーを組み立てて行きます。う~む、ここでもやっぱ「アンチョコ」かぁ…。イギリスのバレエの先生と「アンチョコ」の切っても切れない関係ってのは、すごいもんがあるぞ!
個人レッスンは1対1だから、やっぱ疲れるわ~。細かい所はよく覚えてないんだけど、個人レッスンだと、普通のレッスンよりずっと「注意」してもらえるなぁと思ったような記憶があります。イギリスの「大人クラス」は個人的注意は「なし」っていう方が基本形だから。
「あなたはアチチュードがきれいだから、次のレッスンまでにアチチュードを沢山使ったアンシェヌマンを考えておくわね」「音楽も何かステキなのを探しておくわ。日本的なものなんかも取り入れてもいいわね」と言っていただいて、次回のレッスンの日時を決めて別れました。「私だけのためのアンシェヌマンなんて、ちょっとステキ」なんて思いながら帰路につきました。