12/15- スリランカ視察報告

以下、スリランカに視察に行った倉さんからの報告メールです。

土屋

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スリランカプロジェクトの皆さん

明けましておめでとうございます。
昨年は大変お世話になりました。

さて少し遅くなりましたが、今回のスリランカ・ビジットの報告をさせて頂きます。
ただ、津田さんにお借りしたビデオで撮影した映像がこの報告より何倍も分かりやすく現状を伝えていると思いますので、後日、津田さんに編集して頂く映像を見て頂ければと思います。
スリランカに渡る数日前にディネシと夕食を共にしました。

そこで彼から聞いた話は以下の通りでした。
「もともとのプランとして、ディネシの地元にある教会にコンピュータ・スクールを作って、そこに成蹊からの義捐金を使えればと考えていた。」
「ただ、地元住民からディネシが日本からの義捐金を懐にいれているのではと中傷を受けるようになり、教会との連携に支障が出てきた。」
「ディネシの父親が持つ自宅近くの土地にコンピュータ・スクールを作れば地元住民からの中傷など気にせずに計画を進めることが出来る。」
「すでに教会の敷地内にスクール用の建物が建設中で、今回テンギョウがスリランカを訪ねた時は、教会のスクール用の施設と自分の家の土地とを見比べてどちらに支援してくれるか決めてくれたらいい。」
以上のような話を聞いてスリランカに渡りました。

12月15日夜、ディネシのお父さんが空港に迎えに来てくれました。
家ではディネシのお母さんとお会いし、ご両親がたくさんの食事でもてなしてくれました。
その日はご両親とディネシがいかに他者への思いやりに満ちた青年かということを語り合いました。

12月16日、お父さんがコンピュータ・スクールの計画を話してくれました。
お父さんによると、ディネシへの地元住民の中傷とは別に、教会のコンピュータ・スクールへの寄付について心配があるということでした。
それは、今のスリランカは、まったく公共の施設の指導者たちに信用が置けないということでした。

これは大変ショックな話なのですが、前回ディネシを介してヒッカドゥワの学校に寄付した教科書は、今、学校の図書室に残っていないそうです。
元教師であるディネシのご両親が厳選した教科書は、学校の教師たちが家に持ち帰ってしまい、自分の子供のために使用しているということでした。
同じことが教会のコンピュータ・スクールでも起こり得るというのがディネシのお父さんの意見でした。
もし自分たちの土地で、自分たちが雇ったスタッフで教室を運営していくならば、そういった不正は防げるというのです。

現在、ディネシとご両親は自宅の裏庭に仮の小さな教室を建造中です。
見せてもらった感じですと、コンピュータが10台から15台程度置けそうな広さでした。
とりあえず今年はここから運営を始めたいということでした。

また、自宅からすぐのご両親の土地も見せて頂きましたが、ちょっとしたサッカー場くらいの広さがあり、そこに作りかけの小屋がありました。
そこをコンピュータ・スクールとして建て直し、生徒の数に合わせて随時拡張していきたいとのことです。
教会の教室と比べてもひと回り大きく、広い空き地でのびのびと遊ぶことも出来そうです。

これは感情論になってしまうかもしれませんが、3日間ディネシのご両親と滞在して色々なお話をお聞きしましたが、個人的に心から信頼できる人たちです。
ディネシもまた、自分の考えをしっかり持った若者で、共にプロジェクトを進めていく上で頼りになるパートナーです。

そして、これは僕たちにとって一番大切なことですが、今後、成蹊の学生たちが何らかの形でコンピュータ・スクールに通う子供たちと関わる際、ディネシと組んでいれば融通が利きやすいということがあります。
コンピュータの授業とは別に、何か成蹊の学生たちが教えられるような物事を企画することも出来るでしょうし、ディネシたちならば積極的に協力してくれると思います。
教会の教室とプロジェクトを進めていく場合は、何かこちらから提案する場合、ディネシや彼の家族を通して教会側の都合を伺い、その上で制約も加わるかもしれませんし、なにか求められないとも限りません。
以上のことを踏まえて、ディネシと共にコンピュータ・スクールを作ることが、僕たちのもともとの計画「学校を作ろうプロジェクト」に一番近い形で僕たちの支援を実現できる手段だと思います。
大変遺憾なのですが、スリランカ政府に届けられた天文学的な額の津波援助金は消えてしまいました。

その恩恵を被ったのは政府の人間たちで、今、政府高官の子息たちは高価な外車を買い与えられ、彼らがそれを乗り回すときは、コロンボの大通りが通行止めにされているそうです。
富める者とそうでない者との格差が広がる一方のスリランカで、次世代を担う子供たちに、貧富の差に関係なく社会へ出て活躍する可能性を与えるという点でも、ディネシとのコンピュータ・スクールプロジェクトは意味のあるものだと思います。
僕の個人的な考えですが、今回、皆さんの協力により集まった義捐金を全額、このコンピュータ・スクールプロジェクトに捧げてもいいと思っています。

そして将来、多くの成蹊学生がスリランカを訪れ、現地の子供たちとの交流を実現できることを望みます。
この報告と併せて、今回の訪問中の動画を見て頂き、皆さんのご意見をお聞かせ願えればと思います。
宜しくお願い致します。

今回僕をスリランカに派遣して頂き、本当に有難う御座いました。

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