ピラーティスと私 (4)-フィットネスクラブ

第1回のセッションを受けて以降も、半年に一度から1年に一度、イギリスに行く度にセッションを受けて来ました。(>ここ2年くらいは諸般の事情で受けてないんですが:2006年1月現在)

その間の私の進歩については、次にセッションを受けた時に、師匠に詳しく聞いてくるつもりですが、少しずつ、本当に少しずつ、私の身体への意識は変わっていったと思います。

その後、日本でも少しずつピラーティスという言葉が聞かれるようになりました。

そしてフィットネスクラブでもピラーティスのクラスを置くところが出てきました。

同僚が職場が法人会員になってるフィットネスクラブでピラーティスやヨガのクラスに通い出して、ちょっと見違えるほど痩せました。通いだして半年で6kg痩せたそうです。で、そこでぴたっと止まったそうなんですが、ピラーティスって、要するに「自分の適正」なところに身体を整えてくれるんだなぁって思いました。

彼女は、いつもピラティス、エアロビ、ヨガというように2つか3つのクラスを取り、合間にジムでマシンを使ったエキササイズやったり泳いで帰ったりするみたいなので、半年で6kg痩せたってのも、むべなるかな…なんですが。

で、「ピラーティスすごくいいですよぉ。私、骨盤の位置がずれてたらしいんですが、それが直って来て身体がラクになりました」と言う彼女にピラーティスのクラスに連れていってもらいました。

イギリスで受けたセッション同様、まずは腰の位置を水平に保つというのをチェックします。そして腹筋など、基本のメニューをやります。

イギリスでの個人セッションとは異なり、「目に余る」誤ったやり方をしていない限りは注意されないので、自分でよほど気をつけてやらなければなりませんが、そのあたりはレギュラーになってセッションの前や後に質問すれば補えると思います。

ピラーティスは身体の奥の方の筋肉を鍛えるので、定期的にクラスに通い、それをバレエと有機的に結び付けていけば、バレエの軸も安定してくると思います。

その後、超細々ですが、たまーにフィットネス・クラブのピラーティスに出ています。

ピラーティスと私 (3)-ファースト・セッション後のレッスン

ピラーティスの成果を忘れないうちに…ということで、次の日もダンスワークスにレッスンに行きました。クラスはレナートの「ビギナーズ」。ピラーティスでやった動きの復習には、あまり複雑なパを使うクラスじゃない方が良いと思ったので。

で、「肩の力を抜く」「肩を下げる」っていうのが、あっという間に分かってしまいました。「そうだったのか!」という感じ。ふっと今までの自分のバレエから解放された感じ。

師匠に後で報告すると、「力を抜く」は一度でも分かる、でも「筋肉を使う」が分かるには時間がかかる…とのこと。

その後日本に帰ってからのレッスンでも、たま~に肩が上がってしまうけど、以前みたいには上がらなくなりました。

でも、ある時、またレッスン中に肩が上がりそうになっちゃったんです。で、「あ、どうしよう!」って思ったとたんに、下腹に力が入って、そしたらぐっと肩が下がった。「あ、下腹に力を入れるってこれ?」とちょっとビックリ。今ごろそんなことが分かったのか!と思われる方もいらっしゃると思うけど…。

で、レッスンの後、K先生にそのことお話ししたんです。先生も「そういえば、この頃肩上がらなくなったわね~」って言ってくださって、「そうそう、下腹をいつもそんな感じに踊るといいのよ」と言ってくださいました。

それ以来、K先生も、私がピラーティスで注意されたことをレッスンで生かそうとしていることに目を配って下さるようになり、私の方も、何かを「発見」するたびに先生に報告する…と、レッスンとピラーティスは日本での先生との関係の中でも有機的に生かされるようになっていきました。もう一つの教室の方でも、先生にピラーティスのセッションのことをお話ししたら、興味を持って下さり、私がレッスン中に改善しようとしていることをバックアップして下さってます。

ピラーティスって不思議…。毎回のレッスンで師匠の注意を全部生かしている訳じゃないんだけど、クルーシャルな所で、ふっと師匠の言葉がよみがえってくるんです。それは、師匠によれば、ピラーティスってインストラクターが生徒に「言葉を埋め込む」ということをしているから。「埋め込まれた言葉」が、時々、クルーシャルなポイントに来た時、ふっと身体の中によみがえるんです。たとえば、バーでプリエしてる時に、「あ、タックインしない、って師匠が言ってたのはこれだな」とか…。

ピラーティスを始めてから、1回1回のレッスンの深さが違ってきたと思います。私にとっては、とても貴重なピラーティスとの出会いでした。ピラーティスと出会ってから、自分の身体を以前より感じられるようになったし、自分の身体を感じること、色々試しながらレッスンすること、が面白くなってきました。

セカンド・セッション以降の進歩は、ファースト・セッションほどドラスティックじゃないんですが、それでも少しずつ着実に私の身体とバレエは変わりつつあると思います。

ピラーティスと私 (2)-ファースト・セッション(2000年8月)

バレエの上達が早まるかも…という「よこしまな」(?)気持ちにとらわれた私は、オフ会で師匠(=ケンチャンとマリノッチの母上)とお会いした半年後にイギリスを訪れた際に、予約を入れ、初のセッションを受けることになりました。場所は師匠の自宅のスタジオです。

実は、とても恵まれたことに、私はセッションを受ける前に師匠とバレエのレッスンもご一緒させていただきました(その後もセッションの前には必ずレッスンを何等かの形で見ていただいています)。ダンスワークスでトレバーの「アドバーンスト」のクラス。私にはアドバーンストは難しすぎるんですが、このクラスは少し前までは「ジェネラル」で、レベルは変えてない…ということで思い切って。バーは師匠の隣に陣取って…。

師匠はバレエ教師の冷徹な目で私の現在のバレエの問題点を厳しくチェックしてくださってまして、そのことは後でよぉっく分かりました。こんな風に、バレエの方も見ていただいた上でセッションを組み立てていただける…というのは、本当に恵まれたことだと思います。アマチュアなのに、こんなに恵まれてていいのかしら…。

次にスタジオに場所を移して、まずは、カルテの作成。用紙に生年月日やバレエ歴、身長、体重などの基礎データを自分で記入。その他、身体で痛みを感じるところや、調子の悪いところなんかの欄もありました。

あとは、色々な動作をしながら、師匠がカルテに色々な(私には不明な専門的なこと)を書き込んで行きます。これが大切な私のカルテになって積み重なっていくのです。

初めてのセッションで言われたことは、バレエの時、「肩が上がってる」ということ。で、これを下げるには、まずはムダな力を抜くことと、ワキや背中などの筋肉を使って下げる…ということ。

その他、プリエの時の脚の付け根の折り方や、諸々。それら筋肉の使い方を、床に寝たり、機械を使ったりして、ゆっくりの動作で繰り返し練習します。

あ、あと、フロアでの腹筋のやり方。私は腹筋の上の方だけしか使えてなくて、腹筋をもっと「長く」使うことが大切ということ。これなんかは、バレエのレッスンで一斉にみんなで腹筋してると、誤った使い方してても、先生の目をすり抜けちゃいますよね。私も長年、フロアでやる腹筋の時、腹筋の下の方を鍛えずに上の方だけ鍛えて
たみたい。

やりながら色々な発見がありました。

でも、びっくりしたのは、その次の日に受けたレッスンででした。

ピラーティスと私 (1)-ピラーティスとの出会い

「ピラーティス」という言葉を初めて知ったのは10年以上前のことです。仕事でイギリスに行くたびにパイナップルでレッスンをしていましたが、ある日、スタジオに張り紙がありました。ピラーティスのためのスタジオが出来、セッションが取れるようになったこと、ダンサーのボディ・コントロールにとても有益であること、興味のある人は受け付けで予約が出来ること…。

その時はピラーティスって何のことだか良く分かりませんでした。筋力トレーニングみたいなものかな?ぐらいの感じでした。興味が全然なかった訳じゃないけれど、あえてチャレンジしてみようとも思いませんでした。

イギリスに行っている間は、英語のバレエ雑誌なんかも買って読みますが、そんな中にもピラーティスの記事が時々ありました。身体を整えるのに役立ちそう…そういうイメージは私の中に少しずつ蓄積されていっていたんだと思います。

しかし、実際に自分が「やってみよう!」と思ったのは、実は、これもネットのおかげです。ロンドン在住で日本のバレエ関係のHPの掲示板にカキコミをしている人達に呼びかけて、「国際ミニオフ」をやったんです。3年前のことです。そこに、今私にピラーティスを教えてくれている方も参加されたんですよね。

みんなで一緒にレッスンして、その後、お茶をしました。で、みんなバレエ好きだもんだから、話がはずみました。それぞれ訪問してたHPは微妙に違ってたりするんですが、掲示板上で「顔見知り」だったし。

で、そのおしゃべりの中で、その方がバレエの先生だけでなく、ピラーティスのインストラクターもやられているっていうことを知ったのです。何でも、ご自身がケガでバレエのレッスンが出来なかった時期があって、その間筋力を落とさないためにピラーティスのセッションを取っておられたとか…。で、ケガが治ってレッスンに復帰したら、数ヶ月間をあけたにもかかわらず、以前よりずっと踊りが安定していた…。それで、ピラーティスってすごい!!!と思って、自らも勉強され、インストラクターの資格を取ったんだそうです。

ここからは「受け売り」なんですが、ピラーティスは、バレエの場合であれば(ピラーティスは他のスポーツでもそれに必要な筋肉の使い方を学ぶのに使える。日本でも相撲部屋で取り入れているところがある)、普段のレッスンでは「振り」に気を取られてなかなか筋肉の細かい使い方にまで神経を使い切ることが出来ないけれど、そういう動きの1つ1つを別個に取り出して、ゆっくりと筋肉の使い方を覚えていく…そういうものみたい。で、自分の身体への自覚も高まるし、身体のコントロールも良くなるので、ケガも少なくなる…とのこと。

ピラーティスとバレエを有機的につなげてやれば、バレエのみだったら5年かかることが2年で出来るようになる(!)…というのが、その方の持論。

もちろん、ピラーティスをやりさえすれば魔法のようにバレエが上達する訳ではありません(>注意!!!)。毎回のレッスンの中にピラーティスで学んだことを生かすための工夫をしたり、努力をするのは自分自身。その「主体的関わり」なしに、ピラーティスをバレエに生かすことは出来ません。

でも、私は、その時すでにかなりの年だったし、自分が10年以上バレエをやってきて、それでも、上達は悲しいぐらいにゆっくり・…。だから「残された時間」を考えた時、「5年かかることが2年で」という言葉に「ぐらり」と心が揺れたことは事実です。

で、とにかく、「次回イギリスを訪問した時には絶対やってみよう!」と心に決めました。