ピラーティスと私 (1)-ピラーティスとの出会い

「ピラーティス」という言葉を初めて知ったのは10年以上前のことです。仕事でイギリスに行くたびにパイナップルでレッスンをしていましたが、ある日、スタジオに張り紙がありました。ピラーティスのためのスタジオが出来、セッションが取れるようになったこと、ダンサーのボディ・コントロールにとても有益であること、興味のある人は受け付けで予約が出来ること…。

その時はピラーティスって何のことだか良く分かりませんでした。筋力トレーニングみたいなものかな?ぐらいの感じでした。興味が全然なかった訳じゃないけれど、あえてチャレンジしてみようとも思いませんでした。

イギリスに行っている間は、英語のバレエ雑誌なんかも買って読みますが、そんな中にもピラーティスの記事が時々ありました。身体を整えるのに役立ちそう…そういうイメージは私の中に少しずつ蓄積されていっていたんだと思います。

しかし、実際に自分が「やってみよう!」と思ったのは、実は、これもネットのおかげです。ロンドン在住で日本のバレエ関係のHPの掲示板にカキコミをしている人達に呼びかけて、「国際ミニオフ」をやったんです。3年前のことです。そこに、今私にピラーティスを教えてくれている方も参加されたんですよね。

みんなで一緒にレッスンして、その後、お茶をしました。で、みんなバレエ好きだもんだから、話がはずみました。それぞれ訪問してたHPは微妙に違ってたりするんですが、掲示板上で「顔見知り」だったし。

で、そのおしゃべりの中で、その方がバレエの先生だけでなく、ピラーティスのインストラクターもやられているっていうことを知ったのです。何でも、ご自身がケガでバレエのレッスンが出来なかった時期があって、その間筋力を落とさないためにピラーティスのセッションを取っておられたとか…。で、ケガが治ってレッスンに復帰したら、数ヶ月間をあけたにもかかわらず、以前よりずっと踊りが安定していた…。それで、ピラーティスってすごい!!!と思って、自らも勉強され、インストラクターの資格を取ったんだそうです。

ここからは「受け売り」なんですが、ピラーティスは、バレエの場合であれば(ピラーティスは他のスポーツでもそれに必要な筋肉の使い方を学ぶのに使える。日本でも相撲部屋で取り入れているところがある)、普段のレッスンでは「振り」に気を取られてなかなか筋肉の細かい使い方にまで神経を使い切ることが出来ないけれど、そういう動きの1つ1つを別個に取り出して、ゆっくりと筋肉の使い方を覚えていく…そういうものみたい。で、自分の身体への自覚も高まるし、身体のコントロールも良くなるので、ケガも少なくなる…とのこと。

ピラーティスとバレエを有機的につなげてやれば、バレエのみだったら5年かかることが2年で出来るようになる(!)…というのが、その方の持論。

もちろん、ピラーティスをやりさえすれば魔法のようにバレエが上達する訳ではありません(>注意!!!)。毎回のレッスンの中にピラーティスで学んだことを生かすための工夫をしたり、努力をするのは自分自身。その「主体的関わり」なしに、ピラーティスをバレエに生かすことは出来ません。

でも、私は、その時すでにかなりの年だったし、自分が10年以上バレエをやってきて、それでも、上達は悲しいぐらいにゆっくり・…。だから「残された時間」を考えた時、「5年かかることが2年で」という言葉に「ぐらり」と心が揺れたことは事実です。

で、とにかく、「次回イギリスを訪問した時には絶対やってみよう!」と心に決めました。