夢のような日々(14)-半年間のブランク

3回目の発表会が終わってほどなく、私は職場の友人達と小淵沢のペンションに遊びに行ってました。そこに夫から電話が…。どうやら、私の「引き抜き」の話が持ちあがっているらしい、とのこと。大学院の時お世話になったことのある先生から留守宅に電話があり、すぐに電話を欲しい、ということでした。

で、どきどきしながらその先生に電話をかけると、「まだ正式の話じゃないけれど、どうやら君が引き抜きの候補になっているようだ。近いうちに連絡があるかもしれないので、○○や××といった方面の勉強をよくしておくように」とのこと。

これまでも、お勤めしながら自分の「仕事上の夢」を果たすために、時々就職の応募はしていました。でも、全滅…。林真理子のエッセイに、送っても送っても返されてくる履歴書を、やけになって、「コレクション」した、という話があって、私も送り返されてくる履歴書ファイルを作って、「コレクション」してました。

今回の話も流れてしまう話かもしれないけど、でも、これまでの話よりは、可能性がありそう…。9時5時で仕事しながら、朝早く、あるいは夜遅く、少しずつ少しずつ重ねていた勉強が実を結ぶかもしれない…。1月くらいそんな日が続くと、そのうち体調が悪くなってくる…。たとえ1日に1時間とか2時間のわずかな時間でも、9時5時で働きながら、さらに「仕事」をするのは、とても疲れることです。で、少し休んでまた始める。もう、自分には「目指していた仕事」でプロになるという可能性はないかもしれない…と何度もあきらめかけました。

でも、今回、初めて可能性が高そうな話が降ってわいて、「ひょっとしたら行けるかも…」と思ったとたん、何も手につかなくなってしまいました。しばらくして本当に先方から電話がかかってきて、私が引き抜きの候補の1人にあがっていると聞かされました。その後、面接があったり、書類の提出があったり、実績が足らないので正式
のものでなくても良いからレポートを書くように言われたり、最後の候補者に残ることは出来たのだけれど、正式の採用OKの通知がなかなか出なかったり…。

また、穏便に退職するために、その時の職場の中の信頼できる人にこっそり相談したり…。この半年間はとてもキツかったです。精神的にいっぱいいっぱいで、レッスンもずっと無断欠席のまま…。(>先生 ごめんなさい)

結局、運良く転職に成功。職場のみんなからも祝福してもらうことが出来、めでたく退社にいたりました。一応、自分の目指してきた道でプロになるっていう点では、「夢の実現」が出来ました。バレエにたとえれば、バレエ団に入団できたっていう感じでしょうか。もちろん、本当の「夢の実現」のためには、その先もずっと努力が続くし、実際、今もまだ「夢の途上」にあるのですが…。

就職が決まって、T先生にお電話しました。半年もの無断欠席の非礼を詫び、半年分のお月謝を持ってレッスンに行きました。バレエはやっぱり楽しかった。半年もの間離れていられたのが不思議…。

しかし、半年ぶりのバレエはキツかった…。やってる時はそうでもなかったんだけど、翌日、すごい筋肉痛で、ふくらはぎがパンパンに張り、まともに歩くことが出来ない。階段も手すりに掴まってようやく上り下り出来る状態でした。半年間さぼった天罰ですね、きっと。