夢のような日々(13)-3回目の発表会

そして日は巡り、3回目の発表会。これは、私にとっては初めてのポアントでの発表会でもありました。

幕物はジゼル。これまでの幕物は、実は先生がアレンジして「○幕を中心に」というようにしながら、その前後の話も上手に組み入れながら、あるいは別の幕に入ってるVaをうまく組み入れたりしながら…というものでしたが(私はT先生のこのアレンジ能力も尊敬してます)、今回のジゼルについては、きちんと全幕をやることになりました。

くるみ、ドンキに比べ、コールドもストーリー展開にぐっと深く関わっています。1幕ではジゼルが裏切られた事を怒り、ジゼルの狂乱に驚き、死を悲しむ…。2幕では、ヒラリオンやアルブレヒトに対し、冷やかに、しかし妥協なく復讐しようとする…。

私は、中学生と一緒に1幕の村娘、2幕のウィリーを踊りました。主役のEちゃんは、踊りも上手だけど、すごい演技派。当日、「私、本気で気が狂うけど、ビックリしないでね」と、我々に警告があったのですが、まさに迫真の演技…。全員、ジゼルがあまりにかわいそうで踊りながら泣いてしまいました。袖でみんな大泣き…。演技を超えて、みんなの心が一つになった瞬間。

2幕も、その気持ちの盛り上がりのまま、ヒラリオンを翻弄するところでは私も、けっこう本気で「殺してやるわ!」と思って踊っていたかも…。きっと、かなり迫力あるウィリー達になっていたんじゃないでしょうか。

こんな舞台が経験できたのは、私にとって一生の思い出です。本当にすてきな体験でした。

「舞台の上でみんなが一つになる」という快感…。舞台の上で演技を超えて泣けるということ…。もしかしたら、本当は泣いてはいけないのかもしれないけれど。(でも、私がバレエを始めるキッカケになった友人は、かつてプロダンサーとして舞台に立ってた人ですが、イブリン・ハートがゲストでジゼルを踊った時、やっぱりみんな泣いてしまったと言ってました)

大人で始めた私がこんな体験を出来たなんて…。やっぱり今考えても夢みたいです。

小品は、1年前くらいに入門した20歳くらいの女性と2人で踊りました。とても練習熱心な人で、楽しく踊れました。