夢のような日々(12)-パドブレ問題とカケモチ

いつからカケモチを始めたのか、定かな記憶はないのですが、レッスンを重ねるうちに「大人のバレエ」の限界を感じるようになりました。私のように小さい頃からやってきた人と一緒にレッスンしていると、彼女たちにとっては「何でもないこと」が???なのです。

アラベスクなどの大きなパはまだ分かる(ちゃんと出来るということではない)のですが、特に???となるのが、パドブレなどのつなぎのパ。どなたかが、バレエの掲示板で書いていたように「あれもパドブレ、これもパドブレ、みんなパドブレ」…。

で、バレエを始めて1年少しした頃からでしたでしょうか、当時ポチポチとカルチャーなどで開かれ始めた「大人のためのバレエ」のクラスにも出るようになったんです。そこで、ゆっくりとこれまで習ってきたことを復習したり確認したり…。

大人がバレエを始める時、初心者ばかりのクラスが良いか、上手な人のいるクラスが良いかというのは、一概には言えないけれど、やはり「基礎」の補習は必要だと思いました。教室の方でも、私のためにレッスン中に特別に説明してくださったり、自分で本を調べたり、色々してましたが、それだけでは、やっぱり不明なことも多くて…。

特に、ポアントを履くようになってからは、ケガが恐くて(フォンテンが「大人は履いてはダメ」と言ってたし、「本当は履いてはいけないんじゃ?」という気持ちがどこかにあって)、大人のためのポアント基礎をやっている教室を探してそこにも通いました。

それらのクラスで、実は大人のバレエの世界が広がりを持ち始めていることを知りました。私より年齢の高い人も、少なかったけど、いました。子どもたちと一緒の活気のあるクラスも楽しいけれど、こうやって基礎をじっくりやるのもまた色々な発見があって楽しく、私はますますバレエにはまっていきました。

ある日、お教室の方で着替えている時にレッスンメイトにカルチャーのクラスのことを何気なく話すと、「し~っ! ここはカケモチ禁止なの。先生には言っちゃダメよ」と教えてくれました。イギリスでレッスンしてくるってお話しした時、「ヘンなクセがつくと…」とおっしゃってのは、そういうことだったのか…と、ようやく分かりました。バレエの世界には色々な「しきたり」もあるんだなぁ…ということが、少しずつ分かってきました。

でも、実はレッスンメイトたちも、けっこうこっそりとカケモチしていて、カケモチ情報もお互いに交換するようになりました。カケモチがバレたら、教室をやめることになるかもしれないけれど…。でも、やっぱり、当時の私は、自分に「基礎」を補うことがどうしても必要だと思ったのです。