夢のような日々(11)-「うれしい驚き」その2:ポアントのお許し

バレエを始めて1年ぐらい経った頃から、18歳くらいで始めた大人組のレッスンメイト達から、「そろそろポアントいいんじゃない? 先生に言ってみなよ」なんて言われるようになりました。

私はマーゴット・フォンテンの本に、大人から始めた人は、「永遠に」「絶対に」ポアント履いちゃいけないって書いてあったので、10代で始めるならともかく、29歳で始めた私がポアントを履くなんてことは、「絶対に」あり得ないことだと思ってたので、「え~、まさか~」とか言ってました。

でも、心の片隅には、「ひょっとしたら?」という気持ちがゼロではなかったかもしれません。そんな私の気持ちを察したのか、ある日先生が、「今はルルベがまだ低いけど、ルルベがこれくらい(とやって見せてくれた)高くなったらポアントね」と言ってくださいました。そっか、ルルベが高くなればポアント履いていいんだ! でも、そんな日が本当に来るのかどうか…・。自分の前に本物の大人で始めてポアントを履いている人の前例というものを見ていないだけに、信じたいような、信じてはいけないような…そんな気持ちでした。

当時は、特にポアントへの「煩悩」もなく、「ひょっとしたらポアント履けちゃったりするのかも…」という可能性にも心をオープンな状況にしつつ、日々素直な気持ちでレッスンに取り組んでいました。「絶対履きたい!」とも思わなかったし、「絶対に履ける訳ないわ。ぐすん」とも思わなかったし。今みたいに情報がなかったので、その分、心静かに、あるがままに、すべてを受け入れてバレエを楽しんでいた…という面もあるかもしれないです。

そして、2回目の発表会が終わって最初のレッスンだったかな? 先生に、「ルルベがずいぶん高くなったから、ポアント履いていいですよ。買ってらっしゃい」と言われました。レッスンが終わると、レッスンメイトが「良かったね~」とわらわらと寄ってきて、ポアント購入のアドバイスをしてくれました。

バレエを始めて2年目、週2回のレッスンを2年間重ねてのことでした。