夢のような日々(6)-お金と時間

大人のバレエにとって、「お金」と「時間」の問題は、永遠に解決しない問題です。まれにどちらも持っている方もいらっしゃると思うけど、たいていは、どちらかに欠ける、あるいは両方に欠ける…という苦しい状況の中でみんなやりくりしながら頑張っているのだと思います。

私も、大学院の学生という身分でバレエを始めることが出来たのは、実は、翌年4月からの就職が夏に決まっていて、その就職先に秋から週3回9時-5時でバイトに行っていたからなんです。バイト代もそれなりにいただけるということだったので、バレエを始めても月謝を自分で払うことが出来る見通しが立ったのです。それ以前の奨学金と家庭教師のアルバイトで生活を支えてるっていう状態だったら、バレエを始めることは出来なかったでしょう。

だから、私にとって、バレエとの出会いは「丁度良いタイミング」だったとも言えます。もっと早く始めたかった!!!と思うことはしばしばです。でも、もっと早く出会ったところで、始める条件はなかった…・。私とバレエの出会いは、やっぱりあの時しかなかったんだと思うのです。

4月に就職してからは、とりあえず生活不安はなくなりましたが、フルタイムの仕事、家庭、そして転職のための勉強・…と、今度は時間との闘い・…。小5の時から面倒みてた家庭教師先の子の大学受験もあって、途中で投げ出す訳にも行かず、家庭教師の方も引き続きやってたし。まぁ、当時は子どももいなかったから、こういう忙しい生活の中でバレエも(かなり)やってましたが…。

時々、あの時バレエに使ったエネルギーと時間を自分の仕事のため使えば、もっとまともな仕事人になれてたかなぁ…とも思います。でも、バレエがなかったら、身体か心を壊していたかもしれません。

自分が目指した夢に手が届くのか、届かないのか…。仕事から帰って、あるいは仕事に行く前の1時間、2時間…。転職のための勉強をコツコツと続ける私にとって、バレエは心と身体のバランスを保っていく上で、欠くことのできないものとなっていきました。