コンテンポラリーと私 (2)-従妹とコンテンポラリー

「大人のバレエ前史」にも書いたけれど、「大人のバレエ」が始まる前に、実は、小学校高学年とか中学生とか、昔は「バレエに始めるにはちょっと遅いんじゃ?」と日本においては信じられていた年齢からバレエを始める子たちが、「多少年齢遅く始めても別にいいんじゃ?」という環境を作って来てくれた、というのがあると思います。

私の従妹はそんな一人。

彼女は中学校で体操部に入り、その体操のために、ということでバレエを始めました。

「えー、中学生からでも大丈夫なのぉ?」とこれまたシロウトな発言をした私に、彼女がびたーっと開脚して見せてくれて、「遅く始めてもやってれば柔らかくなるのよ。あんなにかたかった私でもこんな風になったのよ」と言っていたのも、よぉっく記憶に残っています。

私はこの従妹とは仲が良くて、小さい頃は手紙のやり取りをよくしていたし、互いに書いた小説を送りあっていたり、夏休みなんかに互いの家に泊まりあう時は2人で合作で小説を書いたりしていました。

今、彼女は翻訳家&物書きとして生きていますが、私も一応、物書きのはしくれで(>といっても私の「物書き」はいわばバレエ教室の先生の「舞台」のようなもので「それだけでは食っていけない」というレベルですが)、小さい頃、物を書き合っていた、その経験が2人をこんな風にしたのかなぁと思ったりします。

で、この従妹、高校卒業後フランスに行き(>留学ではなく、とにかく「行ってしまった」という感じ)、その後日本に一時帰国して、今度はカナダに留学しました。で、フランスでバレエやらダンスやらを始めてたんですね。

私の方は私の方で別途バレエを始めており、お互いの生活が少し落ち着いて久しぶりに会ってフタを開けてみたら、実は2人ともバレエをやってた!ということが判明。「似たもの従姉妹」です。

で、彼女はバレエよりはコンテンポラリーの方に重きを置いていて、「コンテンポラリーの方がバレエより自由」っていうようなことを言っていて、私は、「ふーん」と思って、いずれ私も齧ってみるかなぁ・・・って思ったりしていました。

彼女は私よりはダンスの素質がずーっとあり(>努力もしたんでしょうが)、時々プロの公演にもちょい役で出たりしていました。

彼女の舞台を見に行った時、コンテンポラリーにはプロでも色々な体型の人がいるのを見て、バレエな身体ではない私でも、コンテンポラリーなら、「世界にひとつしかないこの私」の身体を生かした踊りっていうのがあるのかもなーと思ったりしました。

コンテンポラリーは、バレエよりもずっと激しく身体を使う面もあるのですが、なんていうか、その人の「個性」を生かすっていうか、そういうのもあって、バレエみたいに「踊りに身体を合わせる」というようなことをしなくてもすむ、というか・・・。

イギリスの子ども向けのバレエ雑誌(>『クララ』みたいなやつですが、イギリスではプロの世界がもっと確立しているので、子ども向けとは言え、かなり「プロ志向」です)の「読者の相談コーナー」みたいなところでも、「クラッシックは身体の条件がクラッシックに合致したほんの一握りの人しか出来ないけれど、踊りには他にもさまざまな分野がある。そういうところで自分を生かして行くことも出来ますよ」みたいなことが書いてあったりする。

色々な「限界だらけ」の私だけれど、「踊れない身体の私」だから踊れる踊りっていうか、コンテンポラリーの世界には、そういうのもアリかもなーって思いました。