舞台を重ねる (15)―まさかの幕物第二弾:5回目のVa大会&「くるみ割り人形」

もう一生踊ることはないだろう、と思っていた幕物を、もう一度踊る機会が与えられた。

R教室での5回目のVa大会は、Va大会10周年記念ということで、「くるみ割り人形」をやることになったのだ。

大人のクラスは貴婦人とトレパックをやることになった。

振り付け・演出はH先生。海外でも踊ってらしたH先生の振り付けはとっても洗練されていておしゃれだ。

貴婦人もけっこう踊る場面がある。しかも、振りはかなり難しい。

トレパックも楽しい振り付けだ。

R教室の大人はとにかく「バレエ体温」が高い。みんな週3―4日は当たり前っていう体制でバレエに取組んでいる。舞台前ともなれば、最低でも週4日はレッスンに参加するし、朝と夜のダブルヘッダーで臨む人も多い。

一度R教室の発表会も経験してみたいなぁと思いながら、私が二の足踏むのは、そこに理由がある。

しかし、この時ばかりはそうも言っていられない。幸い職場と教室は近い。

なので、昼休みに速攻で職場を抜け出し、朝のレッスン後に行われる練習に服のまま出て、マーキングさせてもらう、という形で練習回数を稼いだ。

何と言っても舞台の練習は「場にいること」がとても大事。振りの変更やら動線やらの説明もあるから、出来るだけ回数多く「場にいること」が命だ。

「服のままマーキング」であっても、「やるのとやらない」のは大違い!

N教室のレッスンを終えてから、「くるみ」の練習だけにかけつける、というのも何度もやった。

イギリスに行っている間に練習が始まってしまい、みんなみたいにレッスンに出られない状態なのに「出遅れ」だった。でも、そこについてはレッスンメイトが丁寧に振りを教えてくれた。

みんなと同じだけレッスンに出られない私を、多くのレッスンメイトが助けてくれた。

ありがとう!

R教室の朝のクラスには仲の良い友達も多く、みんなで励まし合って、舞台を作り上げることが出来た。本当にすごーく楽しかった。

気の合った人たちと励まし合い、支え合いながら作る舞台って楽しい!

上手な子どもたち、年下のお姉様たちと同じ空間に立てたことも感激であった。この子たちの足を引っ張ってはいけない!と気持ちを引き締めて臨んだ。

R教室ではカケモチ組も多く、あちこちで舞台経験を積んでいる人も一部いたが、N教室での「眠り」の時同様、幕物の経験はない人も多かった。

なので、私としては、舞台を盛り上げる!を思い切り意識して頑張った。

まだあんまりマイムに慣れてない子どもたちにもじゃんじゃんマイムで語りかけ、貴婦人した。ほとんど「でしゃばり」状態。

「足をひっぱらない」が第一だけれど、私のほんの少しの幕物経験を舞台成功のために生かす!ということも考えて…。

大人にこんなチャンスを下さったR先生や丁寧に指導してくださった助教の先生方への感謝の気持ちもこめて「私が出来ること」は何でもやろう!と思った。

この舞台は、私がこれまでで一番頑張った舞台かもしれない。

見に来てくれた夫も「今まで見たなかで一番良かった」(>「私の踊りが」じゃなくて「作品が」ということ)と言ってくれた。