「ペザント」ってちょっと音が取りにくい…。音符とステップの関係がちょっと見えにくい…。私的には、ビデオを見てたりして、なんかそんな感じがあるんです。特にアチチュードからソテに移るところのちっちゃなパ。
で、以前からも何度か日記なんかでも力説しているように、「大人のバレエ」はこれまでの自分の人生の中で身につけてきた「知恵」や「技術」をバレエの中にも生かしていくことが必要!というのが私の信条なので、「これは一つ『ペザント』の楽譜をゲットしてピアノで弾いてみよう」と思いました。音符の下にパを書き込んでいけば、音とパの関係も分かるし…。
なんていい考えだ!と、自画自賛してたんですが、これが案外思うように行かない。イギリスにいる間にMの市立中央図書館で検索をかけてみる…。ここには楽譜のセクションもあるんです。で、1件ひっかかったピアノ楽譜を手に取ってみると、それは「ジゼル」の「ハイライト」で、「ペザント」の部分がない…。
楽譜屋さんで検索してもらって、現在売り出されている楽譜はない…とのこと。オケのスコアもない…とのこと。
そもそも、ペザント・パ・ド・ドゥの部分はブルグミュラーの作曲っていうけど、ペザントVaの「速いバージョン」と「遅いバージョン」の両方ともそうなんだろうか??? 謎は深まるばかり…。
う~む…。そうだ! ここは餅屋は餅屋。バレエピアニストさんのHPに行ってみよう! ということで、「稽古場のピアノ」(http://www3.azaq.net/bbs/500/hisari/)におじゃまして、掲示板でSOSを出したら、すぐに分かりました。別冊ショパンの『バレエなるほど面白読本』っていう本の中に楽譜が入ってるそうです。この本、昔持ってたかも…。でも今持ってない…。ということで、バックナンバーを探さなくちゃならないんだけど、でも、ま、とにかく所在が分かったのですっごく安心しました。で、作曲者はこのゆっくりバージョンもブルグミュラーさんとのこと。
とりあえず、これで一安心。で、ロンドンの大英図書館に仕事で行ったついでに、「ジゼル」を検索してみました。大英図書館には楽譜のコレクションがあり、非常に古い手書きの楽譜なんかも収められています。大英図書館所蔵の古い楽譜の写真を使った絵葉書なんかもショップで売ってたりしますが、昔の楽譜は玉が丸じゃなくて菱形だったりしてます。
ほんとは、こういうことのためにパスをもらってる訳じゃないので、「職権乱用」とも思ったけど、ま、アマチュアには「知」への接近の権利がない・・・というのも横暴である、そもそも大英図書館に収められた英知は人類全体の財産である・・・と自分を正当化し、調べてみると1件ありました。それは、1841年出版のもので、作曲者はブルグミュラー。「バレエ、ジゼルの中のお気に入りの旋律(a favourite air)」(多分「旋律」でいいのよね?)という題名で、オーダーして手に取ってみると、うれしいことに、それは、なんとペザント・パドドゥのピアノ楽譜でした。1841年出版ってことは、ジゼルの初演の時にすでにペザント・パド・ドゥは挿入されてたってこと?(これについては、キーロフ版のLDについてた解説で1841年初演にも入ってたことが判明)
で、はやる心を抑えてページをめくってみると、Vaは速いバージョン(ラ シ(♭)シ(ナチュラル)レドファラシ(♭)ドファラシ(♭)レドラフ ァ)でした。ふ~む。
じゃ、「ゆっくりバージョン」って、作曲者は誰で(どうもこれはブルグミュラーさんらしいんだけど)、いつから、どこのバレエ団で、どんな理由で採用された訳???? 謎は深まるばかり・・・。
まぁ、でも、せっかく1841年発行っていう「ありがたい」楽譜を実際に手 にさせていただいたので、最初から最後まで頭の中で弾いてみました。ソ ロバンの暗算じゃないですが、私は手を動かさないと頭の中で音楽鳴らせ ないので、机をそっとたたきながら・・・。
で、思ったんですが、「楽譜を見る」というのは、価値あることかも。と いうのも、ブルグミュラーさんは、この速いバージョンにおいて、右手の 十六分音符の連続に対し、左手はたとえば最初の2小説は「ファラド」を 四分音符+八分音符×2という伴奏にしてます。つまり「ちゃ~んちゃん ちゃん」。そして最初のところにアクセントをつけている。
「ちゃ~ん」と2拍分おさえるのでもなく、「ちゃんちゃん」と四分音符 を2つ重ねるのでもない。このことを「踊り」に反映させることは大切か も。
最近思うのだけれど、バレエを踊るということは、楽譜の「表現記号」 (っていうんでしたっけ?)を踊るということかもしれない・・・。だか ら、ドルチェとかソット・ボーチェとか、そういう記号って大事かも・・・。レガートとかスラーとかスッタッカートとかも…。
楽器をやったことのある人は、自分の踊るもの楽譜を研究する…というのは、ひとつの手かも…とふか~く思ったのでした。早く楽譜を入手して弾いてみたい!