そもそも「ジゼル」というバレエは、パリ・オペラ座で初演された…っていうことは、その初演の台本って読んでみたいですよねぇ。
平林正司『一九世紀フランス・バレエの台本-パリ・オペラ座』(慶應大学出版回)は、パリ・オペラ座のバレエ台本という過去のバレエを知るための「基礎資料」が全訳を収録したものです。
当時他の芸術分野でも力のあったロマン主義は、バレエにおいては、バレエ・ロマンティックとして体現したとのこと。で、まぁ、色々な時代背景や、バレエ・ロマンティックの盛衰における「ジゼル」の占める位置とか、難しいことは様々あるけど、とりあえず、「ジゼル」の台本だけを拾い読みいたしました。
で、このバレエの題名は「ジゼル、またはウィリたち」。
舞台はドイツののどかな谷間、「チューリンゲンの丘」という言葉も見えるからチューリンゲンが舞台? この夏、うまく時間がとれたらチューリンゲンに行ってみようかしら。
第5景の説明によれば、村娘が葡萄の収穫のためにジゼルを誘いに来るのに、「踊りと娯楽に夢中」なジゼルは、友達を「仕事なんかしないで踊りましょうよ…」と、1人で踊りはじめ、つられて友達も踊り始めるんだそうな…。そうだったのか…。
ジゼルって「無邪気」といえば聞こえは良いが、ひょっとして「仕事嫌い」の「怠け者」? 無邪気と無知・無神経・無思慮は裏表ですもんね~。あるいは、ジゼルを迎えにきた村娘達よりジゼルの方が年下なのかしら。困ったヤツだけど憎めない…・。あるいは他の村娘だって仕事ばっかりの生活なんてイヤ…でも、封建制度の下で農民
には「働かない」自由なんてない…。ジゼルって(無意識な)「反体制」?
で、それはともかく、この台本、ペザントへの言及がない!!!! 初演の「ジゼル」にはペザントはなかったのかしら???? ペザントの踊りが存在するはずの箇所には「人々は収穫祭を祝う」だけ。でも、その後「…」とあるんだけど、これって「全訳」っていいながら「抄訳」ってこと???
…ということで、ペザントそのものについては記述がなかったのだけれど、ジゼルとの相対的関係においてのペザントというのを考察してみましょう。どうもジゼルって「能天気」なヤツだったみたい…。で、どうもジゼルは他の村娘より若かったような気がする…。ということは、ペザントは「ジゼルより年上」っていう「設定」で踊ってみたら良いんだろうか。
今まで、「ペザント=可愛い」というイメージだったけど、ちょっと違うのかも…。少なくとも、村落共同体の一員としての「義務」というようなことを考えない1幕のジゼルよりは「大人」。「やるべきことはやる」「しっかり者」の面もある。でも、踊りはジゼルと同じように大好きでしかも上手。で、ジゼルに誘われるとつい一緒に踊ってしまう…。(しかし、このコールドの中にペザントは入っていると考えるべき?)
いつもは踊りより仕事を優先させないといけない…。でも、収穫際の時は無礼講。踊りまくっても叱られない。そんな中での踊りなのかなぁ・…。
ま、その他資料も読みつつ考えを進めて行きたいと思います。一体私のペザントはどこに行きつくのか…・。