Clara編『バレエ名作物語』(新書館)によれば、ジゼルの初演は1841年、パリオペラ座においてでした。台本を書いたのは、アンリ・ヴェルノワ・ド・サン=ジョルジュ、テオフィール・ゴーティエ、そしてジャン・コラーリ、振付は、ジャン・コラーリとジュール・ペロー。
このゴーティエにとっては、これが初めて手がけたバレエ。そして主役は彼が夢中になっていたイタリア生まれのカルロッタ・グリジ。
この時期のヨーロッパはロマン主義全盛で、人々は現実を超越した不思議な存在や神秘的現象に心惹かれていたとのこと。ゴーティエは、ドイツの詩人ハイネの書いた本の中で、妖精ウィリの伝説を見つけ、ウィリの登場するバレエを作りたいと思ったとか。
どうやら、最初に2幕ありき…のバレエなんですね。
で、再び同書によれば、舞台は「かぐわしいぶどうの実る季節をひかえたドイツ、ラインの谷あいの村」とのこと。どのあたりかしら? この夏ドイツの葡萄の取れる地域に行ってみようかな。(以前チームを組んで仕事をした時のチーフが今ドイツに長期出張中なんですよね。で、その時のチームのメンツで彼を訪ねようかって話もあるんです)
で、この本のぶどうつみの娘達の挿絵を見ると、たしかに服は茶色っぽい農民の服だなぁ。これは衣裳を決める時の参考にしようと思います。
この本では、ペザントの踊りには言及してないんですが、第一幕の葡萄の収穫際の場面の説明では「ぶどうの収穫祭が楽しそうにおこなわれて、ジゼルも思わず仲間入り」(レニングラード国立バレエ団)とあります。ということは、ジゼルは本来は収穫祭のメインメンバーじゃなかったってこと? 逆に言えば、ペザントの方が主役?
本文の方でも「ぶどうをつむ娘たちの楽しげな踊りが始まり、踊りの大好きなジゼルとアルブレヒトもそれに加わります」とあるのよね。でも、収穫祭って、収穫前にやるのかなぁ…。だって、この本の舞台設定は「ぶどうの実る季節を」「ひかえた」だもんね。「祭」というよりは、単に、仕事が一段落したって考えた方がいいのかしら。当時の祭は、農業の区切りに行われたけれど、ちょっとした「遊び」は農業の合間(ある程度の区切りは必要。たとえばブタをつぶした時にその腎臓をボールにしてサッカーみたいな遊びをするとかね)にも楽しまれていたはず。
…ということで、ペザントの踊りは、まずは、ペザントの踊りが踊られるシテュエーションっていうのを把握するところから始めねばならないかも。で、ペザントを踊る娘のポジション…。
このあたりを考察しつつ、ジゼルに関する資料をさらに読み進めてみることにしようと思います。