NBT(ノーザン・バレエ・シアター)は私が大好きなバレエ団。日本のバレエ雑誌でも時々紹介されますが、日本人のプリンシパルが2人います。1人は熊川哲也さんの従兄で、熊川さんがバレエを始めたキッカケになったという高橋宏尚さん、もう1人は長尾千晶さん。私はこのチアキさんの大ファンです。
私とNBTとの出会いについては、また改めて書かせていただくとして、私はイギリスに行く度に、このバレエ団の公演がある時は日程が許す限り、たとえ泊まりがけになっても(NBTはイギリス全国をツアーで回ってますので)、舞台を見に行きます。
今回は、ノッティンガムまで1泊でNBTの「美女と野獣」を見に行きました。ロンドンで「嵐が丘」を見るという手もあったのですが、ちょっと日程的にきつかったので。
NBTには私が大好きなダンサーがもう1人います。それはダニエル・ドゥ・アンドラーデ。前回、前々回の舞台では、ダニエルのキャストの日じゃない日のチケットを買ってしまい、「残念!」ということになってしまったので、今回は、キャストを確かめ、チアキさんとダニエルが出る日を確かめました。
チアキさんが「ビューティ」、ダニエルが「プリンス」の日があったので、迷わず、1泊でノッティンガムまで出かけることにしました。
ダニエルはちょっと盛りを過ぎてるのかなぁ。サークル(2階席の前の方。これもても良い席)しかなくて、少し遠めだったせいもあるかもしれないけど…。私はチアキさんやダニエルをはっきりと見たいので、たいていストール(1階席)の前の方を買うんですが、今回は売り切れで…。
ダニエルについては、改めて書きたいんですが、彼は見るたびにすごく違う踊り手に写ります。すなわち演技力がむちゃくちゃあるってことなんだと思うんですが。彼のパフォーマンスはあと何回見られるのかな? 可能な限り多く彼のパフォーマンスを見たいです。
彼が引退後、どういう道に進むのか不明ですが、万が一バレエ教師の道を選んだら、絶対彼の教室でレッスンを受けさせてもらうつもり! 可能だったら個人レッスンを取っちゃうわ!
チアキさんから聞いた話ですが、ダニエルはとてもサポートが上手とのこと。チアキさんが安心して踊ってる感じで、男性ダンサーの能力っていうのは、単純じゃないよなぁと思いました。ジャンプなどの力が一見衰えたとしても、男性ダンサーの力はヴァリエーションだけに現われるんじゃなくて、女性をいかに美しく見せるかっていうところにもある訳です。「自分が目立つ」だけじゃなくて、「相手のことを考えて踊る」ということ。
ここのところチアキさんは新人の若い男性ダンサーと踊ることが多かったから、今回はベテランのダニエルとで、少し楽が出来たんじゃないかな。首に手をかけるだけっていうような、難しいプロムナードもあったんですが、軽々とこなしているように見えました。
「美女と野獣」というタイトルからしても、宣伝用のパンフレットからしても、「おこちゃま向け?」と思ってたけど、大人でも充分に楽しめました。デイヴィッド・ニクソンがディレクターに就任してから、NBTはテクニック的にも強くなったと思います。
ユーモラスな振り付けも満載で、また、悪い(ミゼラブル)妖精と良い妖精の闘いの場面も迫力満点でした。
野獣の踊りが非常に良かっです。野獣の内面の葛藤がよく出ていました。野獣のコスチュームやメイクもすてきでした。
NBTは演劇性の強いカンパニーだから、これだけ芝居しながら要所要所で回転やジャンプをビシっと決めるのって、すごく難しいんだろうなぁと改めて思いました。こういう中でプリマを続けていくって、並みの大変さじゃないだろうなぁ。チアキさんを改めて尊敬。
舞台がはねてから、チアキさんとダニエルへのプレゼントを持って出待ちしました。この「出待ち」というのも、「旅のお話を少し」でみなさんが「出待ち」した体験を読んで、思い切ってやってみたことです。
私のピラーティスの師匠とチアキさんが知り合いで(バレエの世界って狭いですよねぇ)、いつもプレゼントだけ置いて、カードに名前だけ書いて住所は書かずにいた私に、チアキさんが師匠に、「次に見に来た時には是非楽屋に会いに来て」って、伝言して下さったのにも励まされて、2年前くらいだったかな? 初めてチアキさんを「出待ち」したんです。そして、何と(!)、次の日、お茶していただいたんです。
あぁ、こんな幸せでいいのかなぁ。好きなダンサーがいるっていうだけでも幸せなのに、こんな風にお話し出来ちゃうなんて…。(ちなみにダニエルとも言葉を交わしたことがあります。それについては改めて)
ノッティンガムでは初日だったので、主役の2人はその後すぐにスポンサーとのパーティがあり、劇場の人がチアキさんをパーティ会場から呼び出してくれました(>チアキさん ごめんなさい。でも、お会いできてうれしかったです)。今回はダニエルには会えなかったけど、チアキさんにプレゼントをことづけました。
ダニエルへのカードには「MからノッティンガムまでNBTの舞台を見にくるなんて、クレイジーって他人は思うかもしれないけど、来た価値がありました」と書いて…。
チアキさんからは、「明日カンパニーのレッスンを見にこない? デイヴィッドに話しておくから」と言っていただいたんですが、仕事の方もだんだん切羽詰ってきているので、残念ですがMに帰りました。次回行く時は、ちゃんとあらかじめ連絡してから行こう!(と毎回思うのだけど、とにかく出国前も超ギリギリで、そこまで余裕もって準備できないのですよね~)
ネットで得た知識やネットで得た友人によって、私のバレエの世界は、こんな風にも広がりを見せているのです。