夢のような日々 (3)- みんなが優しい

みんながポアントはいてる間に先生が私だけ「補講」して下さってる時って、子どもたちの前で「大人」なのに何もできない私が1人で「さらしもの」になってた訳なんだけど、そんなことも全く気になりませんでした。「踊れる」っていうことが幸せでたまらなかったから。そして、ポアントはきながら、真中で1人「基礎の基礎」をやってる私をなんとなく見ていたみんなの目が優しかったから。

ここの教室の先生達やレッスンメイト達は、本当に優しかった…。プリエが何かも知らない私、ゼロの私…。そんな私を知ってる人達に見守られながら、私はバレエの階段を一段ずつ上がって行きました。

先生もレッスンメイトも、ちょっとしたことで、よく誉めてくれました。私は腕は太いし(剣道やってたので)短いし、チビだし、バレエ向きのプロポーションじゃないんだけど、先生は「あなたは首が細くて長いからバレエに向いてるわ」とか「あなたは脚が外向きだから(つけ根は本当はそうでもない)バレエに向いてるわ」とか言ってくれて…。

レッスンメイトも、「少しの間にすごくうまくなったよ」とか、「あなたはうしろにそるのが柔らかいよね(後ろはマシっていう程度。前は超かたいので)」とか、色々声をかけてくれました。弱点だらけ、欠点だらけの私なんだけど、それでも一つまた一つと良いところを拾い上げては励ましてくれるんです。

中学生の子ども達とは、最初のうちはそんなに言葉をかわすこともなかったんですけれど(後にはおしゃべりもするようになった)、でも、きっとすっごくヘンテコな動きをしてた私を笑うような子は一人もいなかった。

それは何よりも主催の先生がバレエを好きで好きでたまらなかったから、先生の「バレエを愛する心」が生徒さんたちみんなに伝わってたから、だから「バレエを好きになった私」をみんなが暖かく受け入れて見守もってくれたんだと思うんです。