私にとって、自分と同じような立場の大人と踊る…というのも、実は初めての経験でした。
T教室でも小品を大人の初心者と踊ったことはあるけど、この時は2人だったし、「2人の初心者を先生が懇切丁寧に指導する」という感じで指導していただいてたので、あまり「大人どうしで」というのは感じずにすんだ。
でも、N教室の発表会での作品は大人数名で踊る…というもの。
何にとまどったって、大人は「自分のことで精一杯」なのねってこと。T教室では子どもと踊ってたから、実は、私は子どもに「かばわれて」踊っていた…。そのことに初めて気づきました。私は「自分のことで精一杯」だったけど、ちゃんと周りにも気を遣いながら踊れる子どもと踊ってたからそのことに気づかなかった。
大人でまだ舞台経験が少ない人は、列をそろえるだとか、場合によっては最初に指示された場所じゃない場所に立って、「全体として」あまり「ヘン」に見えないようにする…とか、そういうところまで気を回して踊れない。「自分が間違いなく踊る」ということがまず第一に来る。
そういう、「列をそろえる」とか「隣の人を感じる」とか「すれ違う時に視線や笑みをかわす」とか、一見なんでもなく見えることが、大人には難しいことなんだ…ということ、そういうのを改めて認識しました。
で、T教室で私がこういうことが出来ていた訳ではなく、私のまわりの子ども達がちゃんとこういうことをやってくれていたので、それで私もなんとか踊れていたのだ…ということ、そういうことも改めて分かりました。T教室の子どもたちがいかに「大人」だったのか…ということも。
そして、私みたいな大人と一緒に、ハンディのある私にハンディをあからさまに感じさせずに、楽しく踊ってくれたT教室の子ども達と、そういう子ども達を育てていたT先生に、あらためて感謝しました。パが分かっていないだけじゃなく、「列をそろえる」などの「みんなで踊る」基本が分かっていない大人と踊ることが、どれだけ大変なことだったか…。私が「自分だけが出来ない」とみじめな気持ちになることなく、いつもいつも「楽しい」気持ちで踊れたのは、それは、色々な人に支えられてのことだったのだ…というのが遅まきながら、初めてわかりました。
だから、N教室での発表会の練習は、みんながバラバラで、一人一人が勝手に踊っているような、そんな印象があり、T教室での発表会とのあまりの違いに、最初はどうしていいか分かりませんでした。今になれば、そういう「みんなで踊る」というのも「技術」の一つで、そういう「技術」は簡単には身につかないのだ…ということが分かるのですが、当時はただただとまどうばかりでした。