イギリスでびっくり (2)-盗まれる方が悪い

イギリスの某有名大学の図書館で資料を読んでいた時のこと。机の上に次のようなインストラクションがありました。

「机の上にノートパソコンを置きっぱなしにするような考えなしの愚行をして、われわれの手を無駄にわずらわせるようなことは慎むように!」

うーむ、コンピュータが図書館の机の上に置いてあったら、「盗む」方が「普通」で、そういう「普通」の行為に対する備えのない「考えなし」の行動をするヤツが「アホ」らしい。

「物盗りが多いから大事なものを置きっぱなしにしないように気をつけてね」っていうような、そんな「ソフト」な段階はとっくに超えているっていうか・・・。

「盗む人」を責めるような、そんな段階はとっくに超えているっていうか・・・。

この大学は入るのはかなり大変である。「勉強が出来る人=モラルがある人」ではないから、そういう「難しい大学に入れる」人が、「盗みをしない」ということにはならないのかもしれない。

もちろん、日本の有名大学の図書館だって、しょっちゅう「盗み」は起こっていると聞く。

でも、慶○や早○田の図書館に「席を立つ時コンピュータを机の上に置きっぱなしにするような愚考は慎むように」っていう「注意書き」が貼られるとは考えにくいように思う。日本だったら「貴重品はいつも身につけておきましょう」だろうな。

日本では、現金は置きっぱなしにしたら盗まれるかもしれないけれど、ちょっとトイレに行くっていうくらいだったら、コンピュータを置きっぱなしにしておいても盗まれないんじゃないかなぁ・・・。

イギリスにいると、ちょっと目を離すと「なんでこんなものを持ってくかねぇ」っていうくらい、物はなくなる。

たとえば、駅のトイレに読みかけのペーパーバック(>ページのあちこちに折り目が入っていてグシャグシャ状態)をつい置き忘れた時、気づいて取りにもどったらもうなかった。

イギリスは長い間IRAがアイルランド問題に関連してテロを行っているので、おきっぱなしのカバンなどは、「安全のため」にすぐにもっていかれて「破壊」される。爆弾が入ってる可能性があるから。

でもさ、読みかけのグシャグシャのペーパーバッグだよ! 日本だったら誰も見向きもしないよね。

イギリスはセカンドハンド市場が健在で、「こんなもの売るか?」っていうようなものも商品になる。日本だったら「お金を払って持っていっていただく」ようなものを、ちゃーんと「お金を払って持っていっていただける」のである。

私の知人はセカンドハンド・ショップで買ったテレビを丁寧に扱ってきれいな状態で使っていたら、1年後に帰国する時に買った時より高い値段で引き取ってもらえたと言っていた。

こういう「物を大切にする」というのはイギリスの美風だと思うんだけれど、それが、「セカンドハンド市場で物が売りさばける」条件となっており、なんでもかんでも「盗む」のが当たり前っていうような状況を作っているのかしら。