舞台を重ねる (7)-ポアントという煩悩 

舞台を重ねる(7)-ポアントという煩悩

またレッスンを重ねているうちに少しずつ身体も戻ってきて、3回目の発表会を迎えることになりました。メンバー表が発表されてみると、私はまた「バレエシューズ組」でした。

はっきり言って落ち込みました。そりゃあ、先生の目から見て「客観的に」まだまだポアントで舞台に立たせる訳には行かない・・・・。自分の「技術水準」はその程度のものなんだろう・・・。

だけど、T教室ではずっとポアントで舞台に出ていたし、R教室のVa大会でだってポアントで踊った・・・。

私って、そんなにダメなんだろうか・・・。私ってそんなに下手なの????

ポアントで踊るだけがバレエじゃない・・・。それは、よぉっく分かっているつもり。頭では。

だけど、やっぱり「ポアントで踊りたい!」という煩悩に悩まされました。

特に、私より少し前に教室に入っていて、実際のバレエ歴では私より短い人が「ポアント組」で出場することになっており、そのことも私の煩悩を刺激することに・・・。

彼女達のポアントワークと比べて、私のポアントワークはそんなに劣っているのだろうか・・・。自分では、そんなに差はないと思うけれど、その「差」が見えないくらい私の技量って劣っているのだろうか。(>「違い」が分かるのも技量ですからね)

「大人から始めるクラッシックバレエ」の掲示板でも「人と比べちゃだめ」とアドバイスをもらったけど、やっぱり心の中は煩悩のうずまきでぐるぐる状態でした。

一方で、私より遅く入ってきても、上手な人はN先生の作品に誘われたりしている・・・。

基本的には「私がまだまだなんだ」と納得しようとするけれど、心は千々に乱れる。

「かけもち」してて、N教室に顔出す回数が少ないからいけないんだろうか・・・。そんなことも考えました。それでなくても、レッスン回数確保するのが難しいのに、「かけもち」してるから、ちょっと疲れていても、つい、「今日はやめておこう。明日R教室の方に行こう」(>逆もまた真なり)となってしまう傾向はどうしてもあったし、また、Va大会の練習が始まると、R教室の方を優先せざるを得ないから、N教室にとっては、当時の私は「発表会前になると突然来る人」という、バレエ教室における、「嫌われ者」の典型的なタイプの一つではあったんですよね。

「かけもち」しなきゃ、「私」というスケールで見た時、レッスン回数の確保は「かけもち」してる時よりずっと難しいし、結局そうやってレッスン回数確保してようやくコンスタントにバレエを続けていた状態だったし、前にも書いたけど、「私」というスケールで見れば、「私」はいつでも「頑張って」いるのだけれど、N教室の先生やレッスンメイトから見れば、そりゃあ、当然そうは見えないよね。

T教室での経験がなければまた、それはそれで、「そんなもんか」と受け入れることが出来たのだと思うんです。だけど、T教室で子どもと同じにやらせてもらってたし、とにかく舞台が楽しかったから、「なんでこんなに違うのかなぁ」ってなってしまうんですよね。

今となれば、教室は一つ一つみ~んな違う!っていうことが良く分かるんだけど。

この時は、今、思い出しても辛かったなぁ。今みたいにあんまり友達もいなかったし、それに、その数少ない友達はポアントで出るとなると、本人に「あなたと私とどこが違うの?」とも聞けないしね。

去年まで一緒にバレエシューズで踊ってた人たちが、ごっそり抜けて、一人だけおいてきぼりを食ったような、そんな孤独な気持ちでした。