回想録「真夏のシンデレラ館で」

この作品は小椋佳さんが代表で創っていたミュージカル、アルゴシリーズの第7作目。私はアルゴは三回目の出演でした。中3(15歳!!?)でした。当時アルゴ といえば、アニ?に並ぶ子供が目指すミュージカルの一つ。周りは、「夢は?」と聞かれれば「ミュージカルスター★」と答えるようなキラキラした子達の中、 私は相変わらず部活のようなノリで純粋に楽しんで舞台に立っていたのでした。

しかーし、なんと初の男役で ダブルキャストは妹香奈子!というわけで、それまでとはまた違った感覚で取り組んだ作品でした。この「真夏のシンデレラ館で」は大人になった今思い返して も、よくできた作品だなあ、と思う。今自分がお客として見ても、きっといろんなこと感じる舞台なのではないか、と思います。心の病、戦争の哀しさ、生きる 意味、などいろんなメッセージがこめられた作品でした。

今 でも実はこのHPに寄せられるメールや、頂くお手紙は、この「真夏のシンデレラ館で」のファンの方が7割は占めている。すごい事だ。私と妹は「純」という 男役をやっていたのだけれど、この「純」くんを今でも好きだ、といって下さる方がとても多くて嬉しい限りです。当時はよくほんとに男の子に間違えられてた なあ・・・。ちょと複雑だけど。

「純」含め、主役の真夏ちゃんなど、この作品のどのキャラクターも、実 は本稽古に入る前のワークショップでそれぞれ子供たちが自分で考えて演じたキャラクターが元となっているのです。演出家に犬石先生はとても繊細にそれぞれ のキャラクターを引き出してくれたと思います。

この作品、途中で主役の真夏ちゃんが戦時中にタイムスリッ プするのだけれど、私と妹は現代の「純」、戦時中の「純」二役を演じました。現代の「純」はびくびくしてて頼りないい人と関るのが苦手な男の子。一方、戦 時中の「純」は自分から少年兵に立候補する、りりしくて強い男の子。私は現代の「純」を演じる方が好きだったけど、妹は戦時中の「純」を演じる方が好きだ とよく言ってました。

なぜ私は現代の「純」のがやりやすかったか、というと、ただ単に戦時中の「純」と真 夏とのシーンが照れくさかったからかな。なにせ多感な時期?!でしたし、ちょっとラブシーンぽいのがあったりするのがなんだか恥ずかしかった・・。今思え ばかわいいな。戦時中の「純」はほんとにかっこいいし、あんな男の子がいたら私も好きになっちゃうなあ、なんて思います(笑)少年兵に志願するときの ミュージカルナンバーは今でも踊れる。好きなシーンでした。

アルゴの仲間とはとにかく長い時間を一緒に過ごしたなあ。ツアーもいっぱいあったし。日本全国回ってとにかく楽しい夏だった。いろんな余興もやったし。いっぱいバカもやったし。すごく大切な思い出です。千秋楽ではいつもみんな大泣きでした。

今も舞台続けてる子、お母さんになった子、いろいろだけどみんな今でも大切な仲間です。